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気になるアレコレまとめました!医師の為の歯科コラム
歯科コラム

海外と日本、歯科事情にはどのような違いがあるか

「所変われば品変わる」「郷に入っては郷に従え」という言葉があるように、同じ物や習慣でも住んでいる場所によって事情は異なります。それは、歯医者においても同じことでしょう。これから海外で歯科医を開業しようと思っている人や海外に長期間住むという人は、そうした「日本と異なる海外の歯科事情」というものを知っておくべきです。

海外では「予防歯科」や「歯列矯正」の意識が高い

海外では「予防歯科」や「歯列矯正」の意識が高い
日本と比較すると、海外では「予防歯科の意識が高い」という特徴があります。日本でも予防歯科の重要性は知られていますが、実際にはあまり浸透しているとも言えない状態です。海外で予防歯科が重要視されている理由は「皆保険精度の有無」です。諸外国には、日本のような国民皆保険制度のような制度が存在しない国があります。先進国の中ではアメリカが有名です。もちろん保険自体はありますが、ランクにより受けられる治療内容や保障内容が異なります。例えばアメリカの場合だと、虫歯治療だけで10万円以上の治療費がかかることもあるのです。日本では考えられない内容ですが、保険の存在がやはり大きいのです。そうした「高額な歯科治療費」をかけたくないがために、その前の段階で抑えるための予防歯科が浸透しているのです。
また、外国では「歯並びの良さ」についての意識も高いといえるでしょう。不正咬合による虫歯や歯周病のリスクを下げるためでもありますが、「見た目の悪さを避ける」という目的も強いです。恋愛やビジネスなどの人生において大きな意味を持つ事柄に関して、歯並びの悪さはどうしてもマイナスに作用してしまうのです。
日本では未だに「歯が悪くなったら歯医者へ」という認識が強いため、この点では海外と大きな差があると言えますね。

保険の質によって歯科治療の質も変わる

保険についてはもう一つ、海外では「保険の質=歯科治療の質」のような風潮もあります。保険でカバーされる治療内容が少ないと、安い治療費で受けられる治療内容が限られてしまうのです。例えばドイツの場合、公的保険制度はありますがカバーされる歯科治療の内容はあまり多くありません。それなりの水準の治療を受けたい場合、民間の保険に加入する必要があります。一方でスウェーデンになると、かなり高い水準の歯科治療を受けられます。スウェーデンのような寒い地方の国になると、寒い冬を乗り切るために保存食を用意することになります。これが基本的に硬い食べ物であり、それを食べられるだけの健康的な歯を維持することは生き延びることにも直結するのです。今でこそ食品の保存技術が上がっているとは言え、そうした歴史を持つ国はやはり歯科治療の質も高いのです。他に注目すべきはイギリスです。イギリスでも皆保険のような制度がありますが、これで歯科治療を受ける場合は数日~数ヶ月待たされることがあります。歯科医師が不足しているようで、予約待ちになるのです。速やかに治療を受けたい場合、予約が空いている歯科医院を探すか、自費診療で治療を受ける必要があります。

世界から見た「日本の歯医者」

世界から見た「日本の歯医者」
そうした事情がある中で、では日本の歯科治療の事情はどうなっているかと言えば「かなり恵まれている」と言えます。皆保険制度により、虫歯や歯周病の治療は保険適用内でそれなりの水準の治療が受けられます。自費診療の場合であれば患者さんの希望をより高い水準で叶えられる高品質な治療を受けることもできます。最低限の治療を安く受けるか、多少高額でも高品質な治療を受けられるかを選べるのは嬉しいポイントでしょう。場所にもよりますがイギリスのように何日も予約待ちになることも少なく、歯が痛ければすぐにでも治療を受けることができます。そのため、海外に長期滞在する場合は、日本で歯科治療を受けてから行くことが勧められています。国によって「歯科治療の水準」や「保険適用範囲」が異なるため、下手をすれば歯が痛くてもまともな治療を受けられないこともあります。先進国と呼ばれる諸外国であっても、日本と同程度の治療を同程度の治療費で受けられるとは限りません。海外渡航が決まった段階で歯のトラブルを抱えている場合は、早めに治療を開始することをお勧めします。もしくは歯科治療のために一時帰国するといった方法も考慮する必要があります。
他には「歯並びに対する意識の違い」もあります。前述の通り海外では歯並びの悪さに対する意識が高く、矯正歯科の需要が高いです。ですが日本ではそれほど重要視されている様子はありません。それに日本では「八重歯」がチャームポイントとして扱われますが、海外ではかなりのマイナスイメージになっています。これは「ドラキュラ」や「悪魔」を連想させるらしく、これを矯正することについての意識が高いです。また日本では保険で安く虫歯や歯周病を治せるというシステムであるため、いざという時には治療を受ければ良いという考え方が定着しているという見方もできます。皮肉なことに、皆保険による歯科治療が受けられるというメリットが仇になっているとも言えますね。
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