子育て中の歯科医師が語る、仕事との両立の厳しさとは
現代は職場における女性の活躍はめまぐるしく、産後も仕事を続けるという女性が増えてきています。そんな中、「歯科」という医療分野においても、女性歯科医師が結婚・出産を経て現場復帰することも珍しくありません。医療現場という責任ある職業において、子育てと仕事の両立は難しい問題です。子育て中の歯科医師がどのように仕事と育児を両立させていけばよいのかご紹介します。
仕事と家庭の両立をめぐる現状
■昨今の歯科業界における女性歯科医師とは
厚生労働省の報告によれば平成20年12月31日現在、全国の歯科医師数に占める女性歯科医師の割合は20.2%。2年前の調査から6%も増加しています。年齢別では29歳以下の歯科医師の40.8%がなんと女性歯科医師。これからの歯科業界にとって、女性歯科医師はなくてはならない存在といえるでしょう。
■女性歯科医師の産後復帰は?
産後も復帰を熱望されるであろう女性歯科医師。「歯科医師」という責任ある職務であるだけに、結婚・妊娠は「仕事はどうするか」ということを考える分岐点です。勤務している職場で育児休暇を取り復帰するのか退職するのか。育児休暇を取るのであれば期間はどれくらいか。退職するのであれば復職はどのような形でするかなど、さまざまな選択肢が出てきます。
■家族や職場と事前に取り決めをしっかりと
産後、どのような形で現場復帰するのかまとまったら、家族と話し合っておきましょう。ご主人の仕事や、家族の協力の有無などによっても変わります。そして職場の意向もふまえ、自分の考える働き方で働けるかどうか事前に相談し、取り決めておく必要があります。
■事前に考慮しておいたほうがよいこと
家庭の事情や勤務先の方針などによって、事前に考慮しておいたほうがよい項目を挙げてみます。
・現在の職場を退職するのか、育児休暇を取るのか
・勤務時間帯はどうするか
・育児休暇を取る場合、子どもの預け先はどうするか(祖父母、保育園など)
・子どもが急な病気の場合、預ける先はあるか 等
事前に話し合い、産後の動きについて見通しを立てておくことは、仕事と育児を両立にもつながります。
女性歯科医師が仕事と育児を両立させるには
■復帰についてしっかりプランを立てておく
歯科医師として結婚後も仕事を続けていくつもりであれば、先を見据えてしっかりと夫婦で話し合っておきましょう。子どもが産まれてからは、毎日育児に時間を取られ、夫婦で話し合う時間を作ることさえ難しくなることも。事前にプランを立てておけば、心のゆとりにも繋がり、子育てにもじっくり向き合えるでしょう。
■最初から無理はしない
現場復帰する場合にも無理は禁物です。いきなりフルタイムとなると、朝早く子どもを保育園へ預けて夜まで勤務。それから保育園へお迎えに行き、自宅に戻って食事の支度からお風呂、寝かしつけまで働きっぱなしという事態にもなりかねません。
■パート勤務の求人を活用する
子育ても優先的にという女性歯科医師の中には、パート勤務をする人もいます。たとえば午前中だけ、午後だけなどの短時間。または曜日を決めて週に1、2回といった勤務体制です。歯科医院によっては、忙しい時間帯だけ医師を増やしたり、専門科の曜日を作るなどしてパート勤務医師を募集しているところもあります。
■空き時間を有効に活用する
歯科医師は医科に比べ、勤務時間はほぼ一定です。自宅近くの勤務先であれば、昼休みを利用して自宅へ戻り夕食の準備をすることもできます。休診日が平日にある医院もあり、土日に稼働しない役所の手続き等も動けます。このような空き時間を有効活用もひとつの方法です。
■無理せず自分のペースで復帰する
医療業界は、器材や薬剤も日々進歩しています。経験があるからこそ、長く臨床現場を離れることに不安を感じるかもしれません。しかし、子育ても貴重な時間。かわいい時期はあっという間に過ぎてしまいます。また、産後はしっかり体調を整えて復帰しないと、かえって体調を崩しやすくなってしまうことも。無理せず自分のペースで「いつ復帰するのがベストなのか」ということを考えてみましょう。
■育児も家事も完璧を求めない
復帰後すぐは、「ブランクを取り戻さなくては!」という緊張から、疲れやすくなったりするもの。帰宅後も家事に追われて疲れてしまっては本末転倒です。時にはレトルトやお弁当を利用して夕飯を作る時間を省き、洗濯物や掃除機を後回しにして子どもとのスキンシップの時間をつくるなど「ゆとりの時間」を持ちましょう。
歯科医療現場に求められる女性歯科医師
■これからの歯科業界に求められるウーマンパワー
そもそもワーキングママを、歯科業界は迎え入れてくれるのかという不安もあると思います。昨今の歯科業界は女性歯科医師の割合が増加している背景があり、専門分野に特化した開業医院が増えてきています。そこでさまざまな働き方ができるように変わってきています。
■患者に求められる女性歯科医師
患者は「歯科医師には言いにくいことでも、歯科衛生士であれば話す」という傾向にあります。これは、女性ならではの感性や、優しい雰囲気、細やかな気配りなどを感じ取るからこそでしょう。
女性歯科医師であれば、男性歯科医師には聞きにくかった質問なども聞きやすかったり、治療も細やかで丁寧だろうという「安心感」が生まれます。
■女性ならではの感性を活かせる職場
昨今、専門分野を活かした歯科医院が増加。女性歯科医師であるからこその感性を活かせる職場も増えているといえます。
たとえば、女性の患者様にとって、同性の歯科医師だからこそ悩みを打ち明けやすかったり、妊娠中の不安なども話しやすいと思います。また、デンタルエステなど美への感性も共感を持って施術してもらえるだろうという安心感が生まれます。
まとめ
医療業界においても、歯科医師は独立開業が可能であり、勤務時間もさほど不規則でなく「働き方」を選びやすい職種といえます。ひとりで頑張りすぎず、周囲の理解とサポートを受けながら、自分らしく無理せず働くことが、育児と仕事の両立に繋がるのではないでしょうか。