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気になるアレコレまとめました!医師の為の歯科コラム
歯科コラム

検査や治療の説明は不十分かも?不満を持っている患者の割合

歯科治療を受ける上で大切なことは、歯科医師と患者のコミュニケーションです。それにも関わらず、歯科医療に対する不満を持つ患者は今も後を絶ちません。その原因のひとつである「医師の説明不足」が必ず上位を占めている現状に触れてみます。

歯科医師に対する不満のトップは説明不足

歯科医師に対する不満のトップは説明不足

医科でも歯科でも、インフォームドコンセントが当たり前となった現在、依然として患者が自分の現状を今ひとつ理解できずに不満を燻らせていることが多いようです。治療に必要な検査やその結果をしっかりと理解している患者は3割にも満たないという、驚きの結果が出ています。

さらに驚くことには、年齢層が若いほど「理解できなかった」と答えた割合が高いことです。これは意外な結果かもしれませんが、若い世代が治療や検査の内容を把握していないことは、治療にも大きく関わることになりかねません。

この結果から、歯科医療に関して「今どんな状態でどんな治療が必要で今からこのような検査と治療を行う予定です」といった、基本的な説明が十分でないと思われます。現代では、SNSを中心にネットを通じて簡単に情報を得ることができます。良くも悪くも歯科医療に関する情報を簡単に知ることができるため、少しでも悪評が目に入ると、歯科医療全体のイメージにも大きく影響してしまいます。

そしてそれはきちんと説明しなかった歯科医師が悪い、ということに直結してしまうことを歯科医師側も想定しておく必要があります。これは歯科医療に対する「歯科不信」と言ってもよいかもしれません。では患者側はどんな不信感や不満を持たれているのでしょうか。歯科医師の説明不足による不満に焦点を当ててみます。

説明不足が患者とのトラブルを招く大きな原因

結局のところ、歯科医師の説明不足が患者の理解不足を招くことからトラブルに発展し、患者は歯科医療に対して不満を抱いてしまいます。

■説明もなく勝手に歯を削る
患者にとって説明もなしに勝手に歯を削られることは、最も不信感に繋がる行為と言えます。歯科医療の知識が浅い患者でも、歯はいちど削ると二度と元に戻らないことはよく分かっており、できる限り自分の歯を残したいと思っている中、説明もなしに勝手に歯を削られたときのショックは計り知れません。削る必要があるのなら、その旨を患者に説明し、治療の必要性を理解してもらうことはインフォームドコンセントの基本です。それにも関わらず、患者の心理と医師としての義務をも置き去りにした行為は、患者が不満を抱くのも当然でしょう。

■専門用語の羅列および検査説明について
患者は歯科関係者でもない限り、専門用語を使われてもまずわかりません。例えば「銀歯の下で二次カリエスになっています」と言われても、患者は二次カリエスが何なのか知らなくて当然です。患者の前ではわかりやすい言葉を使わないと、専門用語を羅列しても理解するのは難しいのです。

また検査の必要性についての説明もきちんと行われているでしょうか。一体何のための検査なのか、そこからどういうことが予測されるのか、治療方法にいくつかの選択肢はあるのかなど、ひとつの検査で説明しなければいけないことは山ほどあります。レントゲン撮影にしても、一緒に画像を確認することで患者はどの歯がどのようになっているのかを知り、歯科医師とともに治療計画を立てていくことができます。せっかく撮影した画像が活かされないのでは、患者もいまいち理解しにくいでしょう。

その他にも歯科医療に対する不満は多々あるようです。しかし治療のスタートラインは丁寧な説明と患者の理解です。患者の満足を引き出すか不満足を引き出すかは、スタートラインで決まるのです。

納得のいく治療を受けてもらうために

いくら治療の技術が高くても、最新設備を整えていても、結局は歯科医師と患者の信頼関係に勝るものはありません。昔ながらのスタイルの医院でも「先生にずっとお世話になって、信頼しているから」と他の医院には目も向けず、ずっと1人のドクターに任せている患者も少なくありません。これは完全に信頼関係が築けているからです。きちんと病状を説明し、患者も理解をしているからこのような信頼関係が成り立つのです。

しかし歯科医院の数が飽和状態な今の時代は、患者が歯科医院を選ぶ時代でもあります。虫歯治療や入れ歯治療だけでなく、今ではインプラント、矯正治療など口元の美を求めて治療を受ける時代でもあります。そして十分な説明を行うことは、患者自身が治療内容や検査内容をある程度把握し、自分の口腔内に対する責任感を引き出すことになります。

また事前にきちんと説明することで、歯科医師側も「以前も説明しましたが~」と切り出すことが可能となり、患者にも「最初に検査や治療についての説明をしましたよ」と再確認させることにも繋がります。つまり、聞いた、聞いていないなどのトラブルを防ぐこともできるのです。次に、患者が納得できる治療を受けるための治療の流れや説明について再度確認しましょう。

患者が理解し、納得するための治療の流れや説明とは

患者が理解し、納得するための治療の流れや説明とは

患者は言葉だけではなく、目で確認することで現在の状況、検査内容や治療の選択肢などを理解することができます。レントゲンなどの画像はもちろん、電子カルテを用いて説明すると、よりわかりやすく伝えることができます。

■必要な検査後、電子カルテや端末などを使って結果に基づいた丁寧な説明を行う
歯科治療においてまず必要なことは、患者の口腔内に関する情報の把握です。問診、歯式、パノラマ写真撮影、口腔内カメラによる撮影、また必要に応じて唾液検査なども行います。把握した情報を元に、パソコンやタブレットなどの端末を使いながら電子カルテ、画像を比較して丁寧に説明を行い、患者に状態を把握してもらいます。このスタートラインが肝心であることは、言うまでもありません。特に自費治療に力を入れる場合は、ここでほぼ全てが決まるでしょう。

■メリットとデメリットを踏まえた上での治療の選択肢を伝える
どの治療にもメリットとデメリットはつきものです。例えば歯を失った場合の機能回復手段には入れ歯、ブリッジ、インプラントがありますが、それぞれの特徴とメリット、デメリットをわかりやすく説明し、治療の選択肢を広げることで患者が最も納得のいく治療を選ぶことができます。

■患者の希望をできる限り聞くようにする
「どうしても歯を抜きたくない」「旅行に行くので治療はそのあとからにしてほしい」など、患者にも希望や都合があります。そのような希望を引き出してあげるような話し方、説明を行うことが大切です。話しやすい雰囲気をつくってあげましょう。

■治療経過が思わしくないときは、その旨をきちんと伝える
治療を行っている最中で、治療経過が思わしくないケースも起こります。現在の状況および治療方針を変更することを丁寧に説明することが大切です。

患者にとって大切なことは、歯の健康を理解してもらうこと

検査や治療の説明の大切さについて再考しました。患者の治療を終えることはゴールではありません。患者の口内環境をなるべく長期にわたって快適、そして維持することがゴールです。そのためには、治療においてだけでなく、そこからどのように歯の健康を維持してもらうのか。その大切さを伝えることが、歯科医師の本当の役目ではないでしょうか。

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