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歯科コラム

歯科もインバウンドを考える時!外国人患者への対応

外国人観光客が、日本を訪問することが近年増加し続けています。訪日外国人増加に伴い、多くの旅行会社や百貨店、テーマパークなどの企業は外国人への対応を強化させていますが、歯科医院もインバウンドを考慮するべきなのでしょうか。日本を訪れる外国人はどれほど増加しているのでしょうか。

外国人観光客、在留外国人の増加

外国人観光客、在留外国人の増加

法務省入国管理局の調べによると、平成28年末における在留外国人の数は238万2,822人に上り、統計を取り始めた1959年以降過去最高となったそうです。これは前年度に比べて15万633人、6.7%の増加です。これには日本に中長期に在留している外国人、または永住している外国人が含まれます。

ほぼ同時期に行われた日本の総人口の調査データと比べてみると、外国人の占める割合がどれほどなのか明らかになります。総務省統計局によると、平成29年1月1日現在の日本の総人口は1億2,686万人でした。従って、平成28年末の時点で日本の総人口における外国人の割合は約1.8%ということが分かります。
在留外国人だけでなく、日本に旅行で訪れる外国人訪問客も増加しています。短期、または中長期に渡って日本に滞在する外国人は決して少なくなく、今後も増加していく見込みもあります。

外国語対応をしている歯科医院

すでに、いくつかの歯科医院では外国人患者の診療に応じられるよう、外国語対応を強化し始めています。とある歯科医院では、常勤の院長がアメリカに留学していたという経験もあり、英語の問診表の準備や診療の際の説明、治療の際の説明などすべて英語での対応が可能です。アメリカだけでなく、ブラジル、フィリピン、ドイツ、インドネシア、中国、韓国、スロバキア、ロシアなど多くの国から来た外国人の治療を行っています。日本語が全く話せない外国人にも対応できる体制を整えることにより、多くの外国人が来院してきています。

歯科医師やスタッフは英語が話せなくても、外国人患者の来院に備えられます。NPO法人が準備した多言語医療問診表というものがあるので、シチュエーションに合わせて利用することができます。その中には中国語(北京語)、韓国・朝鮮語、タガログ語、ポルトガル語、スペイン語、ベトナム語、英語、タイ語、インドネシア、カンボジア語、ネパール語などの言語があります。歯科医院近隣の地域に、どの言語を話す人が多いかに合わせて、必要な外国語問診表を準備しましょう。

歯科治療が目的の訪日外国人も多い

日本で歯科治療を受ける外国人は、何も痛みや脱離など突発的な症状だけで歯科医院を探して来るのではありません。中には計画的に、日本で歯科治療を受けたいという目的で来日する外国人もいるのです。海外移住した日本人の中にも、現地ではなく日本で歯科治療を受けるためにわざわざ戻って来る人もいるようです。それらに共通しているのは、日本での歯科治療費が外国に比べて安いから、というのが大きな理由であることです。

例えば、アメリカでは歯科にかかる治療費は、全体的に日本よりも高額です。ニューヨーク州で毎月歯のクリーニングをする場合、11,400円から14,760円かかりますが、日本では700円から2,400円ほどの治療費で済みます。抜歯(簡単なもの)に関して言えば、ニューヨーク州では18,240円から27,600円ですが、日本では260円から780円の治療費です。また口腔に関する相談料はアメリカでは10,000円ほどかかりますが、日本では基本的に無料で行えます。ですから歯科治療のためだけに来院する外国人や、海外在住の日本人が帰国することが多いのです。

日本の歯科治療費は安い

日本の歯科治療費は安い

日本では、患者は普段から保険料を掛けておくことによって、窓口で払う医療費は全体の一割や三割で済むなど、患者には負担が少なくなるようになっています。日本で歯科医院にかかった場合でも多くの治療は保険適用がきくので、比較的安価で多くの人が治療を受けられます。

それに対し多くの国では、国の設ける保険制度がうまく運用されておらず、治療費は大抵の場合高額です。ある国では公的保険制度はあっても保険適用範囲が狭く、しかも費用も高額であることがよくあります。

海外の一部の国では、最先端の歯科治療を受けられますが、治療費はとても高額です。それに比べて日本では、海外に劣らないほど治療レベルが高いのに対して、治療費は安く済みます。日本においては、保険制度が確立されていることもあり、歯科治療費が安いのです。

外国語対応の際の注意点

外国人患者の場合は治療内容に関わらず、自費で歯科治療を受けざるを得ない場合があります。それは保険証の問題です。いくら治療内容が保険適用範囲内であっても、患者本人の保険証が確認できなければ、窓口での医療費負担は10割、全額自費負担になります。しかし外国人でも日本の保険証は持てます。

例えば、就労資格を持っていて会社に就労している外国人は、会社経由で加入する社会保険に加入しているので問題はありません。また外国人登録をして、日本での在留期間が1年以上見込まれる外国人は国民健康保険証を持っています。さらに日本に1年以上在留する留学生も必ず国民健康保険に加入しているので、これらのケースのいずれの場合も通常の保険診療を受けられます。

しかし、短期滞在者や在留期間を経過した場合は、これらの保険の対象外になります。それによって保険診療は受けられず、全額自費での負担になってしまいます。仮にこれらの点を説明しないまま治療してしまうと、自費の高額や日本語を話せないといったことを理由に、治療費を支払わない人が出てくるかもしれません。そうした事態を避けるために、前もってデポジット(前受金)をもらってから治療を始める方ssが安全でしょう。

治療の際の注意点としては、患者とのコミュニケーションを図るために、簡単な外国語対応マニュアルを作成しておくことも助けになります。外国語で書いた会話の表などを準備しておき、文面を指でさして、患者が意思表示できるようにすれば治療もスムーズに進めることができるでしょう。

まとめ

外国語に対応して診療可能な歯科医院というのは外国人にとって必要なため、今後もニーズが高まっていくことでしょう。現在の社会に見られる傾向も踏まえて、歯科医院におけるインバウンド対応を考慮しても良い時なのかもしれません。

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