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歯科コラム

他人事じゃない?歯科医師が行政処分を受けることはあるのか?行政処分の種類と対応方法

歯科医師が何らかの違法、不当行為を行うと、法律に基づいて裁かれる司法処分の他に、歯科医師として今後活動できるか否かを決める行政処分を受ける場合があります。

今回は歯科医師が受ける行政処分とは具体的にどのようなものなのか、またどんな罪を犯した場合に行政処分が下されるのかなど、詳しくご紹介していきたいと思います。

歯科医師が受ける行政処分とは?

歯科医師が受ける行政処分とは?
歯科医師が、何らかの違法行為や不当な行為を行った場合に受ける行政処分は次の3種類です。

①戒告
戒告は行政処分の対象となった違法、不当行為を戒め、再発防止に努めるよう注意を促す処分です。歯科医師が受ける行政処分の中では最も軽い処分になります。

②歯科医業停止
歯科医業停止は、一定期間内に歯科医業を行うことを禁止する処分です。停止期間は最長で3年とされており、停止期間を過ぎれば歯科医業を再開することができます。

③免許取消
免許取消は歯科医師免許を取り消し、その資格を剥奪する処分です。免許取消は歯科医師が受ける行政処分の中で最も重い処分で、将来にわたって歯科医師として働くことができなくなります。ただし、一定の基準を満たす場合には「再免許」を受ける制度があります。

行政処分を受けた歯科医師は氏名が厚生労働省によって公表されるほか、再教育研修を受ける義務も課せられます。
なお、上記に挙げた行政処分に満たない事案(不処分)に関して与えられるペナルティに「行政指導」があります。行政指導は対象となる行為や所作に対する指導や厳重注意にとどまり、氏名の公表や再教育研修などは行われません。

どのような場合に行政処分を受けるのか?

歯科医師が行政処分を受けるのは、基本的に罰金以上の刑に該当する罪を犯した場合です。歯科医師が裁判で罰金以上の刑に処されると、その情報が厚生労働省へ伝えられます。

その後、厚生労働大臣によってどのような行政処分を下すのかが決定されますが、実際にその内容や量刑を判定するのは医道審議会という機関です。医道審議会では処分内容に公平性や透明性を期すため、処分の目安などを公表しています。

■基本的には司法処分の量刑を目安にする
医道審議会による行政処分の内容や量刑の決定は、基本的に司法による量刑の大きさを目安にして行われます。例えば道路交通法違反に対しては戒告などの軽めの処分とし、また傷害、暴行、贈収賄、脱税などの違法行為に関しては、司法で下された量刑を参考に決定されます。

また、医療ミスになどに対する行政処分も基本的には司法による量刑を参考に決定されますが、歯科医師として明らかに注意義務が欠けている場合や、繰り返し行われるミスなどについては重めの処分(医業停止3ヶ月2年)を下すとしています。

■歯科医師の倫理に反する行為は厳しく処罰される
医道審議会は行政処分の目安として、医療を提供する歯科医師の信頼を失墜させる行為や歯科医師の立場を悪用した行為に対しては厳正な対処を行うとしています。

具体的には歯科医師法、歯科衛生士法、薬事法など歯科業務に関わる法を犯した場合や、麻薬や覚せい剤に関する犯罪などが該当します。またわいせつ行為や殺人、傷害致死などの悪質な事案に関しても厳しい処罰が下されます。

さらに歯科医師の立場を利用して虚偽の診断書を作成した詐欺行為、救護義務を怠ったひき逃げ行為などに対しても同様です。なお、これらの行為に対しては重い処分(医業停止1年~免許停止)を下すとしています。

不当な行政処分を受けたらどう対応すべきか

不当な行政処分を受けたらどう対応すべきか
歯科医師が違法または不当な行為を行った場合、歯科医師として何らかのペナルティを受けることは当然の処置です。しかしその処分が実際には不当であったり、また処分に対して不服がある場合は、再度の審理を求める救済手段があります。

■不当な行政処分を受けた場合の対応
自身に与えられた行政処分の内容に不服がある場合、その処分に対して不服申立を行うことができます。不服申立の手続きには「異議申立」と「取消訴訟」の2種類があります。

①異議申立
異議申立は厚生労働大臣に対して行う不服申立です。申立期限は処分があったことを知った日の翌日から60日以内とし、書面にて申し立てます。
異議申立の審理は厚生労働大臣が指名した審理員が担当します。また審理自体は書面で行われるのが原則です。
②取消訴訟
取消訴訟は処分の取り消しを求めて訴訟を提起する方法です。そのため申立や審査を行う機関は裁判所になります。
取消訴訟の出訴期限は処分があったことを知った日から6か月で、その後口頭弁論などを経て判決が言い渡されます。

■異議申立と取消訴訟の違い
異議申立と取消訴訟にはいくつかの違いがあります。
まず異議申立は処分の「違法性」と「不当性」を是正でき、また費用や時間などのコストが小さく済みます。一方、取消訴訟は是正の対象が処分の「違法性」のみとなり、また費用や時間などのコストは異議申立よりも大きくなります。
また、異議申立と取消訴訟のどちらを選ぶかは、受けた処分が決定されるまでの流れの中で「弁明」を経た処分なのか、「意見聴取」を経た処分よって変わってきます。行政処分を受ける流れの中で「弁明」を経た処分の場合は、異議申立と取消訴訟のどちらも選択できますが、「意見聴取」を経た処分の場合は取消訴訟のみしか選択できません。

※「弁明」と「意見聴取」
行政処分を決定していく上でその処分が不意打ち的な処分にならないよう、処分対象となる歯科医師に対して「弁明」や「意見聴取」といった意見陳述の機会が与えられます。処分内容が戒告か医業停止になる場合は「弁明」、医業取消か免許取消になる場合は「意見聴取」になります。

まとめ

社会的責任が強く求められる歯科医師は、違法行為に対して時に厳しい行政処分が下されます。もし自身が行政処分の対象となった場合は弁護士などに相談し、処分の軽減や今後の歯科医師活動に配慮できるよう、早めに対処することが重要です。
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