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気になるアレコレまとめました!医師の為の歯科コラム
歯科コラム

医師より高い開業率?歯科医師として開業すべきかどうか

街を歩けばいたるところにある歯科医院。駅前ともなると、数十メートル置きにあることも珍しくありません。今ではコンビニよりも多いといわれる歯科医院ですが、このような状況下でも歯科医師としては開業した方がいいのでしょうか。もちろん東京をはじめ、歯科医院の数が多い地域では廃業のリスクも高くなります。

一方で地方では競合も少ないですが、過疎化により人口が減り患者数が減っているのも事実です。そんな中でも開業をするべきか、将来を見据えながら歯科医師の開業についてご紹介していきます。

医師と比較しても多い歯科医師の開業率

医師と比較しても多い歯科医師の開業率

歯科医院の数が多いといわれる中、実際に医師と歯科医師ではどの程度開業率に違いがあるのでしょうか。まず歯科医師と医師の数を見ていきます。厚生労働省のデータによると、平成26年では、全国の届出「医師数」は 311,205 人で、男性が247,701 人、女性が63,504 人となっています。それに対し歯科医師は 103,972 人で、男性80,544 人、女性23,428 人です。

医師の方が人数としては多いですが、その中で開業医が占める割合、開業率は歯科医師が圧倒的に多くなっています。医師は病院(医育機関附属の病院を除く)に勤める割合が142,655 人と最も多く、「診療所」101,884人、「医育機関附属の病院」52,306 人となっています。これは約46%が病院に勤め、約33%が開業医である数値になります。

では、歯科医師はどのような比率になっているのでしょうか。歯科医師においては、「診療所」88,824 人、「医育機関附属の病院」9,052 人、「病院(医育機関附属 の病院を除く)」3,089 人となっています。つまり、開業率は約87%で、病院に勤務する歯科医師は約30%にとどまっているといえます。開業医の割合もデータがある1982年から常に増加し続けています。

また、少子高齢化に伴い、歯科医師の年齢も上昇傾向にあります。1,982年の平均年齢は33.1歳であったのに対し、2014年になると37.4歳にまで上昇しています。歯科医師は自営業でもあるため、定年もない代わりに退職金もないものです。そのため、年齢を重ねても診療を続ける歯科医師がいることで、平均年齢が高くなる要因の一つになっている可能性もあります。


今後の歯科医院数と未来は?

歯科医院の数は増加していますが、将来もさらに増え続けると2030年で8万件以上になります。これは現在の約1.2倍にもなる数値です。では、このような競争の激しい歯科業界の中で日々診療を行う歯科医師の収入はどれほどなのでしょうか。

歯科医師会が発行する歯科白書によると、2007年のデータではありますが、中央値で月収103万円という数値があります。年収にして約1200万円となります。もちろん地域によってかなり差はあり、競争の激しいエリアでは年収が500万をきるケースもあります。

しかしながら、1200万円の年収があっても一概に多いとは言えないケースもあります。それが開業資金の問題です。基本的に1つの歯科医院を開業する場合、平均して4000~5000万の費用が必要になるといわれています。ユニットをはじめとした設備や広告費、運転資金にあてるためです。

2代目として親の歯科医院を受け継ぐ場合には、大きく費用を抑えることが出来ますが、多くの方は銀行からの融資や勤務医時代の貯蓄を頭金にします。診療をしながら返済を続けるケースがほとんどになるため、1200万円から返済に充てる費用は減額されるイメージです。無理な資金繰りによって廃業に追い込まれるケースもあることからコンサルタントなどから適切なアドバイスを受けるなど理想的な資金計画を立てることも大切になります。


少子化と人口減の影響もあるがやり方次第では大きな可能性も

3つのベストプランニング

毎年、2700~3000人の学生が歯学部を卒業するといわれています。近年では、少子化に伴い人口減が進んでいます。人口の絶対数が減っている中で、医師が過剰の状況であることが指摘されています。さらに予防歯科の認知が広まるとともに、う蝕になる子ども数も減少傾向にあります。治療を行う症例自体も少なくなってきています。

そんな中でマーケティングを意識する歯科医院も増えてきています。歯科医院経営をうまく行うためには、集患、教育(スタッフへの)、採用の3つの柱が重要になります。

集患はホームページを始め、広告などを効果的に掲載し、来院へとつなげていく施策です。歯科医院では広告の表記に制限もあるため、ここは注意が必要です。スタッフ教育は受付や電話の応対をはじめ、患者さまへの満足をあげるためのポイントの1つです。歯科医院も人で成り立っていることから採用をうまく行わなければ診療自体に影響が及んでしまうことも考えられます。

最近では事務局を入れる歯科医院も増えてきており、治療以外の様々な事務作業を事務長に任せ、歯科医師は診療に集中できる環境を作っている歯科医院もあります。日々のミーティング、スタッフへの教育、採用の面接、会計処理など歯科医院の経営には治療以外に実に様々な作業が必要になります。

これらを任せることで歯科医師は診療の幅を広げることに集中することが出来ます。事務局を入れるには月間20万円程かかる場合もありますが、費用対効果は高いものです。

特にスタッフ教育は高いコミュニケーション力が必要になり、頭を悩ませている歯科医師も多いものです。ミーティングを任せることで直接、歯科医師に言いにくいことも吸い上げてもらえる環境が出来るため、従業員の満足度、離職率の低下にもつながります。うまくいっている歯科医院ではスタッフの離職率が低い傾向にあることも事実です。教育にかけるコストを減らしていくためにも、離職率を下げることも大切なポイントです。


まとめ

歯科医院の増加に伴い、開業に伴うリスクも高くなる傾向にはあります。しかしながら、患者さまの満足度を高められていない歯科医院が多いことも事実です。

そのため、ニーズを満たす歯科医院を作っていくなど、やり方次第では歯科医院を成功させる確率も上げることが出来ます。収入面でも勤務医と開業医では異なりますが、それ以上に治療、サービスを提供する自由度が開業の醍醐味でもあります。マーケティングも合わせて歯科医院を「経営」していくことで将来的により地域に必要とされる歯科医院になる確率が高くなることでしょう。


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