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気になるアレコレまとめました!医師の為の歯科コラム
歯科コラム

外国人患者の歯科診療|英語でやり取りについて

医療機関である以上、歯科医院とはいえ外国人患者を受け入れる機会がないとは言えません。そのような場合にスムーズな言語対応ができる体制の整った歯科医院もスタッフも多くないのではないでしょうか。

今回は歯科医院に外国人患者が訪れた際の言語対応について考えてみましょう。歯科医院内で既存スタッフに必要な受け入れ準備についてもご紹介します。

在日外国人の増加に伴い歯科医院が考えておくべきこと

在日外国人の増加に伴い歯科医院が考えておくべきこと

近年、外国人留学生や日本で働いている在留外国人の数が増えています。ですから外国人患者が歯科医院にいつ来院してもおかしくはありません。そのために備えるべきことを考えてみましょう。

■在日外国人の歯科医院への来院
外国人といっても言語や文化等は異なりますが、歯科医院に来院する目的は日本人患者と同じです。

ですから、あらかじめ歯科スタッフが対応や対策を事前準備しておけば、急に来院されても慌てることなく対応できるはずです。

■海外では「英語」で意思疎通を図るのが基本
アメリカを例にとってみると、さまざまな母国語を持つ歯科医師が開業しています。そして世界的な共用語である「英語」を使うことで、さまざまな国の歯科医師であっても患者であっても意思疎通が普通にできる環境です。ですから日本人歯科医師がアメリカで勤務する際でも英語で治療をおこなっています。

■医療現場におけるコミュニケーションの大切さ
どれほど歯科技術や対応が素晴らしい歯科医院であっても、患者とのコミュニケーションがとれないのではその技術も発揮できません。日本の歯科医院でも、これからは「英語」で会話しながら治療するという環境が増えてくると、診療の幅もさらに広がりを持つことと予想されます。


外国人患者受け入れに際した事前準備

では実際に、外国人を受け入れるにあたり、具体的にどのような準備をしておくと安心なのでしょうか。

■まずは外国人向けの診療マニュアルを作成する
外国人の受け入れにあたり、言語はもちろんのこと文化や習慣・宗教的な違いにも配慮が必要になります。そこで、既存のマニュアルを見直し、そのうえでどの場面で外国人の場合には確認が必要なのかを抜粋します。そして「外国人患者用受け入れマニュアル」を作成しておくと安心です。

■スタッフ同士で日頃からトレーニングを
海外の医療事情や言語に堪能な通訳のできる専属スタッフがいれば理想かも知れませんが、なかなかそのような歯科医院は多くありません。ですから、日頃のミーティングや院内勉強会を利用して、どのスタッフでも対応できることを目標に、作成したマニュアルを基にシミュレーションしておきましょう。

■外国人患者向けに院内表字や言語ツールを作成する
たとえば院内表示されているものの中で、外国人患者にも重要なものには英文字も列記するという工夫もよいでしょう。まずは「診療室」「受付」「トイレ」など簡単なものであればすぐに取り掛かれると思います。

簡単な英語での挨拶や問いかけのフレーズ、歯科に関することの単語や英文例、外国人患者に指差しで説明してもらえるようにしたシートなどの作成といったような準備をしておくとよいでしょう。

■多言語対応問診票を作成する
どの外国人患者も英語が話せるというわけではありません。日本語を話すことのできない外国人患者が来院した際に病状を母国語で伝えることが出来るように製作された「多言語対応問診票」を準備しておくと安心です。それを基に主訴や治療の希望、既往歴なども翻訳されて解って便利です。ネットでもさまざまな言語のパターンで確認できる多言語対応問診票のサイトなどもありますので活用するのもよいでしょう。


外国人患者が来院した際の対応

外国人患者が来院した際の対応

では実際に外国人患者が来院した場合、どのような対応をするべきであるのか考えてみます。

■「笑顔」での対応を心掛ける
笑顔で患者と接することは、外国人患者であることに関わらず医療人の基本ですね。特に外国で医療機関に罹ることになった場合のことをご自分で置き換えて想像してみてください。「ちゃんと訴えが伝わるだろうか」「どんな治療をされるのか」「医療費はどのくらい請求されるのか」と不安でいっぱいになりませんか?

外国人患者はこのような不安を抱えて来院します。そんな時、言葉を使わずとも意思疎通できる方法が「笑顔」です。そして、英語が苦手という人であっても「Hello!(コンニチハ)」は言えると思います。少しでも患者の心に寄り添える対応ができるとよいですね。

■習慣・宗教などの違いに注意する
外国人患者の対応で気を付けなければならないこととして「宗教上の習慣の違い」は特に注意が必要です。たとえば歯科において頭部は触れる機会が多くありますが、同じ仏教でもタイやカンボジア、イスラム教やヒンズー教などでは「頭」は神聖な場所であり、気軽に触れることができません。

国によって敬遠される色やしぐさなどは無知であるがゆえにトラブルになることも考えられます。会話のための英語を学ぶことも大切ですが、併せて国際コミュニケーションやマナーも学んでおきたいものです。


診療に関して使う英語について

どのような準備や対応がよいのかわかったら、実際にどのような中身にするかを考えます。日常的な診療の中で歯科ならではの用語もたくさんあります。

■患者との日常的な診療で使う会話を英文にして覚える
たとえば「My tooth aches」=「歯が痛いです」というような、日本人患者でも日常的な診療の中で使用する会話は例を挙げやすいと思います。それらを一覧表に示したマニュアルを作り、スタッフで共有しておきましょう。

他にも「My teeth feel very sensitive(歯がしみる)」や「I have swollen gums which ache(歯ぐきが腫れて痛い)」といったような具合です。

■歯科用語を英訳した一覧表を作る
歯科の現場では専門的な用語もたくさん出てきます。それらは歯科の診療科目や歯の名前、検査・診断、歯科の疾患名、虫歯治療・歯周治療・矯正治療・口腔外科的治療などに関するそれぞれの用語などさまざまです。

それぞれの項目に分けて一覧表を作っておくことで、患者としっかりとしたコミュニケーションを図るために活用できます。


まとめ

歯科医院に外国人患者が訪れた際、慌てることの無いように備えておくことはとても大切です。外国人患者であっても日本人の患者であっても「歯科に関わることで受診している患者」であることには変わりありません。日常的な診療でよく使われていることを整理し、共用できることの多い「英語」で対応できるように学びながら、さまざまな国の習慣や宗教なども考慮できる対応も心掛けたいものです。


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