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歯科コラム

患者に安心してもらうには?歯科医院で使われるジェネリック医薬品について

近年、ジェネリック医薬品という言葉は広く世間に浸透し、厚生労働省もその利用を推進しています。それに伴い、歯科医院でもジェネリック医薬品の導入が進んでいます。
新薬と同じような薬が、それより安く購入できるというのは、患者にとって大きなメリットとなります。しかし、様々な情報が飛び交う中で、その利用に不安を抱く患者がいることも事実です。

ジェネリック医薬品を安心して患者に使ってもらうには、どのような点に注意する必要があるのでしょうか。

ジェネリック医薬品の普及率

ジェネリック医薬品の普及率

ジェネリック医薬品は、既に諸外国では積極的にジェネリック医薬品が使われていますが、日本での普及率は約56%となっています。しかし、厚生労働省では2017年までに普及率を70%以上に、2018~2020年の間のなるべく早い時期に80%以上にするとの目標を掲げ、普及への取り組みが進んでいます。


新薬との違いと、ジェネリック医薬品のメリット

新薬(先発医薬品)とジェネリック医薬品は、具体的にどのような違いがあり、ジェネリック医薬品のメリットには、どのような点が挙げられるのでしょうか。

■価格の差
新薬を開発するには、多額のコストと長い時間が掛かります。新薬の開発にかかるコストは、300億円以上とも言われており、9~17年以上の長い時間を掛けて開発されます。新薬に20年~25年の特許期間が認められているのには、開発に掛かった莫大なコストを回収するという目的もあるのです。これに対し、ジェネリック医薬品は既に公表された有効成分で商品を作るため、研究開発のコストが掛かりません。さらに、安全性や有効性を確認するための臨床試験も行わないので、新薬よりも安価で販売されている場合がほとんどです。

このような開発過程による価格の差が、新薬とジェネリック医薬品の違いです。安価というメリットはジェネリック医薬品の最も大きなものであると言えます。

■含有される添加物などの違い
薬の有効成分は非常に微量で、その量では薬として成型することが難しいため、薬として適当な大きさになるように、色々な添加物を加えています。さらに、成型しやすくする成分や、薬によっては保存料などが含まれる場合もあります。添加物や製法はそれぞれの製薬会社によって異なるため、新薬とは成分が違ってくる場合があります。

しかし、ジェネリック医薬品が新薬と異なる添加物を使用する場合、有効成分の治療効果を妨げたりする物質を使用することは許されていません。
基本的には、使用前例のある添加剤のみが使用されており、使用前例の無い添加物を使用する場合には、毒性試験などを実施して安全性などの審査を受けることが決まっています。
さらに、添加物の成分や配合量が新薬と違っていると、それに伴って有効性と安全性に渡って違いが出ないよう、主成分の血中濃度の変化が新薬と同じであることを確認します。

■ジェネリック医薬品ならではの工夫
ジェネリック医薬品を開発する製薬会社は、新薬と同じ成分でも、薬の形状を変えるなど、独自の工夫をしています。それぞれの製薬会社が、薬の飲みやすさ等を追及して大きさや味などを改良しており、新薬よりも短時間で溶ける薬もあるようです。この点についても、患者にとって大きなメリットであると言えます。


ジェネリック医薬品のデメリットとは?

ジェネリック医薬品のデメリットとは?

ジェネリック医薬品は、厳しい審査を受けた上で販売されているので、安全性に問題はありません。しかし、体の中での溶ける時間や、有効成分の吸収率が新薬と異なる場合があります。有効成分の含有量については、その基準に数パーセントの幅が設定されているため、上限に合わせるか、下限に合わせるかで変わってきます。さらに、主成分の購入先が新薬とは異なる場合、微量ですが主成分の純度が異なる薬もあるようです。

その結果、新薬とは効能や用法用量が違う薬になってしまい、人によっては新薬と同じ効果が全く得られない場合もあります。


患者に安心してジェネリック医薬品を使ってもらうために

ジェネリック医薬品を安心して使ってもらうためには、患者に対してどのようなアプローチが必要なのでしょうか。

■正しい知識を持ってもらう
ジェネリック医薬品には、粗悪な海外の原薬が使われているから価格が安い等、いまだに正しい情報が伝わっていない現状があります。まずは、ジェネリック医薬品の価格が抑えられている理由や、安全性についてなどの正しい知識を持ってもらう必要があります。厚生労働省やメーカー等から分かりやすく情報をまとめたリーフレット等が出ているので、そのような説明ツールを使用するのが効果的です。
また、ホームページ等で詳しい情報を発信する歯科医院も増えており、正しい情報を伝えることで、患者の不安を払拭することに役立っています。

■価格の安さを前面に出すのは逆効果
医療を提供される患者にとって、医療費が抑えられるのは大きなメリットですが、歯科医院側から価格の安さを強くアピールされると、患者は不安になってしまいます。
患者にとって一番大切なのは、価格よりもまずは安全に服用できる薬なのかどうかです。
説明する際はその点に留意することが大切です。

■メリットとデメリットをしっかりと伝える
メリットとして挙げられる点は、「費用が抑えられる」「薬によっては飲みやすくなっている」等が挙げられます。そして、デメリットとしては「安全性は確認されているが、新薬とすべての成分が同じ薬ではないので、完全に同じ効能効果とは言い切れない」という点です。
メリットもデメリットも、感じ方には個人差があり、患者の状態やライフスタイル等で大きく違ってきます。したがって、患者自身が選択しやすい様に、個々の患者に合った情報提供を行う必要があります。


まとめ

ジェネリック医薬品の導入には、まずは歯科医院がジェネリック医薬品についての情報を積極的に収集し、理解を深める必要があります。

その上で、患者の病状や仕事、食生活などのライフスタイル等を考慮し、最終的にどの薬を使用するのがベストか提案してあげることが大切です。
患者が安心して治療を受けられるように、ジェネリック医薬品の特性や新薬との違いについて正しい情報を提供し、治療の選択肢を広げることが歯科医院の役割と言えるでしょう。


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