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歯科コラム

味を感じられない味覚障害に悩む方へ|歯科医ができる3つのアドバイス

「食べ物の味がよくわからない」「甘いものを食べているのに違う味がする」など、味覚に何らかの異常があるという方が近年増加してきているとのこと。味覚の異常は口のなかに原因があると思い、『味覚障害』についてご相談にこられる患者様は少なくないと思われます。

また、そういった『味覚障害』を抱えている患者様に歯科医からできるアドバイスはないかと思われている方もいるのではないでしょうか。そんな方々のために、今回は『味覚障害』の悩みを抱える患者様に歯科医ができるアドバイスや対処についてご紹介したいと思います。

味覚障害の種類

味覚障害の種類

一言に味覚の異常と言ってもそのタイプはさまざまです。まずは患者がどのタイプの『味覚障害』に該当するのかを把握しなくてはいけません。そこでまずは『味覚障害』の種類についてご紹介します。味覚の異常に悩む患者様がどういった種類の『味覚障害』に苦しまれているのかを理解し、それを指摘することもひとつのアドバイスになります。

■味覚減退
「味覚減退」とは、どんな食べ物も味が薄く感じる、味を感じにくいといった異常を感じるものです。何でも濃い味の食べ物でなくては味がしない、といった悩みを訴えてこられた患者様はこの「味覚減退」である可能性が高いです。

■味覚消失
「味覚消失」とは、どんな食べ物を食べても全く味を感じないといった味覚の異常です。辛味や苦味、渋味といった味覚を強く刺激するものまでもが、他の食べ物と同様に感じることができない。このような悩みを訴えてこられた患者様は「味覚消失」である可能性が高くなります。

■自発性異常味覚
「自発性異常味覚」とは、何も食べていないのに味がするといった味覚の異常です。苦味や渋味といった不快に感じる味を、食事をしていない時でも口のなかに感じるという悩みを訴えてこられた患者様は「自発性異常味覚」である可能性が高くなります。

■解離性味覚障害
「解離性味覚障害」とは、多種に渡る味のなかでごく一部の味がわからなくなってしまうといった味覚の異常です。多くの例としては「甘み」を感じられなくなってしまうことが「解離性味覚障害」の特徴です。他の味はわかるが甘みだけがわからないといった悩みを訴えてこられた患者様は、この「解離性味覚障害」である可能性が高いです。

■味覚の錯覚
食べているものと感じる味が異なるという異常も『味覚障害』の症状です。たとえば「甘いものを食べているのに苦い」「しょっぱいものを食べているのに渋い」といった、実際に感じるはずの味が違う味として感じることです。これを「異味」もしくは「錯味」とも呼びます。味を感じることはできるが違う味がするという悩みを訴えてこられた患者様は、この障害である可能性が高いです。


口のなかに原因がある味覚障害

『味覚障害』のなかには、歯や舌の異常などが原因となっていることもあります。味覚の異常について悩まれている患者様の歯や舌の状態をチェックしてみると、異常があったためにそれが味覚に影響していたということもケースとしてあります。

■歯周病
「歯周病」に罹っている患者様の症状のなかに「変な味がする」というものがあるかと思います。「歯周病」が進行すると歯肉が化膿した状態になることがあり、その際にしょっぱい味がするという方もいます。また人によって苦いという方もいれば甘いという方もいます。これにより「自発性異常味覚」や「味覚の錯覚」などの症状を訴えている方もいるかもしれません。ただし歯周病の治療を行っても症状が改善できなければ、異なる要因である可能性が出てきます。

■舌の異常
味覚に異常が表れる舌の病気として「カンジダ症」があげられます。「カンジダ症」になると舌に白いできものが発生し、膜に覆われた状態になります。これにより味が感じにくくなってしまっていることもケースとしてあります。そのため「味覚減退」の症状を訴えている方は「カンジダ症」にかかっている可能性もあります。

また「舌苔」も味覚異常の原因となることがあります。歯みがきとともに舌のクリーニングを行っていない方や、疲れなどにより体の免疫力が落ちている方は通常より舌に舌苔がついていることがあります。そうなると味覚が薄れてしまうこともあるため、ぜひチェックしてみてください。

■唾液の減少
唾液の量も味覚を左右することがわかっています。唾液は食べ物に含まれている成分を溶かし、舌が成分の味を感じやすくする役割も兼ねているからです。そのため唾液の量が減少し、「味覚減退」を起こしているケースなどもあります。『味覚障害』のほかにドライマウスにも悩まされている患者様は、唾液の減少が原因となっているかもしれません。


そのほかに考えられる原因

そのほかに考えられる原因

『味覚障害』は口のなかの異常よりも全身状態とつながっていると言われています。ここでは『味覚障害』の原因としてよくあげられるさまざまな例についてご紹介します。

■嗅覚の異常
嗅覚と味覚は強くつながっているため、食べ物は嗅覚が失われるとほとんど味がしなくなるものです。風邪や花粉症などにより鼻炎や鼻づまりの状態になっていると一時的に味覚が失われることがあります。そのためまずは患者様に最近体調不良などになっていないか確認をするようにしましょう。

■薬の副作用
『味覚障害』の原因の多くは薬の副作用によるものであると言われています。高血圧や糖尿病といった生活習慣病から、不整脈、パーキンソン病、抗がん治療など、非常にさまざまな治療に使用される飲み薬に味覚異常の副作用が確認されています。そのため日常的に何らかの薬を服用されている患者様は、薬の副作用による『味覚障害』で苦しまれている可能性が高いと言えます。患者様が何か薬を服用されていないか、よく確認すると良いでしょう。

■亜鉛不足
薬の副作用と並び、よく『味覚障害』の原因とされるのが『亜鉛』の摂取不足です。食生活の偏りにより『亜鉛』が不足したことが原因で『味覚障害』となっている若者が増えており、現在社会問題にもなっています。また『亜鉛』のほかに、ビタミンB2の不足も『味覚障害』の原因であるとの可能性も指摘されています。そのため亜鉛やビタミンB2を摂取できるよう食生活を改善することにより『味覚障害』が回復できることもあります。

■脳の異常
食べ物の味を感じているのは舌と嗅覚であり、それと同時に脳が感じているものでもあります。そのため脳に何らかの異常がある際に、その症状として『味覚障害』があらわれることもあります。また脳に異常がある場合は、味覚異常のほかに手足の痺れや視界の狭窄、言語障害などさまざまな症状を併発している可能性もあるため注意が必要です。

■精神的な要因
精神の健康状態も味覚に作用することが判明しています。日常的に強いストレスを感じている方や、うつ病や心身症といった精神的要因により『味覚障害』があらわれることもあるのです。また精神疾患において処方される飲み薬にも味覚異常の副作用を持つものがあるため、既往歴などをよく確認するようにしましょう。


味覚障害の原因はひとつではない

味覚に異常があらわれる原因は非常にさまざまなケースがあることから、決してひとつではないということを念頭に置かなくてはいけません。よって原因は断定することが難しいこと、あくまで可能性であるということとともに、この3点をアドバイスすることも忘れないようにしましょう。

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