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歯科コラム

歯科医師1人あたりの診れる患者数は?歯科医院の1日の平均患者数

歯科医院が乱立する時代ですが、どの歯科医院も集患や経営に頭を悩ませていると思います。経営が難しいと言われている歯科医院ですが、歯科医院の1日平均患者数はいったいどのくらいでしょうか。

歯科医院の1日平均患者数と、歯科医師1人に対する1日平均患者数

歯科医院の1日平均患者数と、歯科医師1人に対する1日平均患者数

歯科医院の1日の平均患者数および、歯科医師1人に対し1日に治療できる患者数は、歯科医院の治療スタンスにより大きく違いが出てきます。少し前のデータですが、1日平均患者数は16.9人、歯科医師1人に対する患者数は12.3%と報告されています(2010年時点)。

また増加傾向にある歯科医院数に対し、来院患者数は年々減少傾向にあると言われています。この数字はあくまで平均データであり、各歯科医院の治療スタンスや立地条件などで違いが生じてきます。

■保険治療か自費治療かで大きく変わる
1日の来院患者数は、治療内容が保険診療中心か自費中心なのかで大きく異なります。
保険診療のみ、または保険診療中心の歯科医院では、まず来院患者数の確保が絶対条件です。特に都市部は歯科医院が密接し、どの歯科医院も集患に頭を悩ますのではないのでしょうか。また地方は人口数により差が出ますが、一日の来院患者数、歯科医師1人あたりの治療人数も少ないと考えられます。

最近は高齢化が進んでいることもあり、受診する年代も年々高くなっています。予防歯科が推進されているとはいえ、地方の小さな町では保険診療が圧倒的に多く、採算が取れない歯科医院はやむを得ず廃院に追い込まれることも決してめずらしくはありません。

保険治療は、今の日本の保険制度では患者数をこなさないとまず赤字経営になると言われています。スタッフの人件費、材料費、光熱費そして高額な歯科機材のリース料など費用のことも考えなくてはなりません。

歯科医院が増えるほど、1日の来院患者数が減少する傾向に歯止めが効かないことは事実です。例えば根管治療などは保険点数が低いわりに意外とコストがかかるため、たくさん患者数をこなさないと確実に経営難に陥ります。

歯科医師が儲かっていた昔と異なり、今は新規開院しても、経営難に陥った医院は開業3年で閉院するとも言われています。このため、保険診療を中心とした経営なら、1日50人や60人は診療しなければいけないことになります。そうするとどうしても1人1人にかける時間は少なく、10分程度でチェアから降りてもらうことなど当たり前となります。このような事情から、保険治療は質より量だと言えるかもしれません。

例えば歯科医師1人、歯科衛生士そして数名の助手というスタッフ構成では、歯科医師1人で1日50~60人の患者を診ることはほとんど不可能であり、助手の手なしではとてもこの数の患者を診ることはできません。実際に、これら採算を合すために歯科助手に治療に当たる行為をさせた疑いで、ニュースに取り上げられている医院もあります。

それに対し自費治療は1日10人以下の患者数でも十分採算が取れます。しかし新規開業となると、よほど何かに特化していないとたちまち廃業へ追い込まれるリスクが非常に高いでしょう。インプラントひとつで考えても、認定医である、最新設備と技術を備えているなど、何かしら特化していなければこの時代を生き抜くことは難しいでしょう。

■経営者目線を持つことが出来るかできないか
勤務医時代とは違い、開業することは同時に経営者になることです。歯科医師としての腕と同時に経営者としての腕も必要になってきます。この歯科飽和時代において、どのような治療スタンスで患者を集めるかが分かれ道となります。年収1,000万以上の歯科医院はほんの数%、年収200万以下は確実に廃業へ追い込まれます。年収1,000万以上の医院は、医療法人化することで1日の来院患者数は1日平均25.9人(2010年調べ)という結果が出ています。保険治療で1日3~40人治療する歯科医師や、自費治療で1日5~6人のみという診療スタイルの歯科医師もいますので、この数字はあくまで平均です。

■患者のニーズと歯科医院のスタイルがマッチしているかどうか
例えば保険治療のみ、1時間に診る患者数は7~8人、1人あたりの診療時間が平均8分のスピード重視、質よりも数をこなすスタイルでは良い治療は望めません。

しかし患者にとって「すぐに診てもらえる」「痛いところをとりあえず取り除いてもらえる」「被せ物は白いものじゃなくても銀歯で十分」など、とりあえずあまり待たずに治療をしてもらえれば満足という方もいらっしゃいます。そのため、治療時間が短く、説明もどこを治療したかどうか程度のものでも満足する患者もいるということです。

こだわる患者は、治療を受ける歯科医院探しの段階から自費治療を行っている歯科医院に絞っていくでしょう。保険治療のスピードか、自費治療のこだわりか、それは患者の意思であり、選ぶのも患者です。

自身の歯科医院にくる患者がどういったニーズを求めているのか、またその患者に合わせてどういうった方針で進めていくべきかを判断することが大切になります。

来院患者数を確保するためには

来院患者数を確保するためには

では患者の意思を引き寄せるためにはどうしたらいいのでしょうか。言い換えれば、患者を獲得するためには何が必要なのでしょうか。それは「自分のカラーを最大限に出すこと」が表現として最も的確でしょう。歯の治療内容は患者の症状にもよりますが、大きくいえばどの歯科医院でも同じはずです。

勤務医は経営のことを積極的に考える必要はありませんが、院長は経営者であり、医院全体を運営する立場です。近辺にはないサービスを始めるのか、スピード重視か、エステサロンのようなおもてなしか、小児歯科に特化するのか、高度技術、難症例に特化するのか。歯科医院が増える一方で患者は減少しています。しかし歯の治療を求めて来院する患者は必ずいるのですから、歯科医院は絶対に必要なのです。

そもそもたくさんある歯科医院の中から、なぜここに来てくれたのか、なぜここを選んだかを知ることは大変重要です。来院の動機を知ることは、経営における大きなヒントとなるため、これを生かすかどうかは院長の経営能力次第です。そして新規の患者に「ずっとここでお世話になりたい」と思っていただけるかどうかは、経営者である院長の経営努力にかかっているのです。

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