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気になるアレコレまとめました!医師の為の歯科コラム
歯科コラム

患者様が喜ぶ歯科医院の特徴とは?治療法とコンセプトのあり方

患者は歯科医院でどんな治療を受けると満足するのでしょうか。それは虫歯治療がすぐに終わることでしょうか。詰めた歯が再び虫歯になってしまったら、また再治療してすぐに治療を終えることでしょうか。では、そういった現状になってしまった原因を患者は知っているのでしょうか。ただ治療をして終わり、というだけで患者は満足するのでしょうか。

今は昔と違い、治療方法も多岐に渡り、各歯科医院の特徴も様々です。歯科医院の数が増え、患者も歯科医院を選べるようになりました。今通っている歯科医院に不満を抱えている方も多く、転院するケースも多くあります。それは、その歯科医院に満足していないからです。では、患者が満足する歯科医院のコンセプトはどういったことなのでしょうか。

患者が望むことと歯科医師が提案することのギャップ

患者が望むことと歯科医師が提案することのギャップ

人は歯を失って初めて、歯の大切さを痛感します。それまで当たり前のように行ってきた食事が満足に噛めない、抜けてしまった歯が気になって会話が楽しめないなど、歯を失ってどれだけ自分の歯が大切であったのかを実感するでしょう。歯科医院側として、大切な患者がこのような思いをしないために、どんなことができるのでしょうか。

■二次カリエスになりやすくなる危険性を認識しているのか
歯の痛みが原因で来院した患者が、診断で虫歯だとわかり、治療を開始した場合、ほとんどのケースが虫歯になった箇所を削って詰めて終わり、というパターンです。また深い虫歯の場合、神経を取り、数回の通院で根の治療を行って銀歯などの被せものを装着して終わりです。ではここから先はどうなのでしょうか。

歯は一度削ると再生しません。ごく初期の虫歯であれば、再石灰化を促すようフッ素入りのペーストを使用することで進行を止めることが可能です。ただ、虫歯治療で削って詰め物をすると、いったん治癒したように思われますが、その後再び歯と銀歯や詰め物の隙間から、二次カリエスと呼ばれる虫歯になりやすい状態になります。二次カリエスになると詰め物を外して歯を削り、また詰めるという繰り返しになり、やがて歯が脆くなって最終的に抜かなければならない状況になってしまいます。重要なことは、何回も虫歯治療を繰り返す患者自身がこの二次カリエスのことを認識しているかどうかということです。

患者は「歯磨きを疎かにしたから虫歯になった」「治療したけどその後ほったらかしだった」と自責の念を感じると思います。もちろん一人ひとりの口腔内管理も問題となりますが、これは歯科医院側の説明不足が根本的な原因です。歯科医師が「なぜこうなるのか」という原因説明と「これからどうやって虫歯を作らないか、あるいは歯周病を予防していかなければならないか」という予防に関する知識提供を十分に行わなかった結果と言えます。

虫歯を削って詰めて「終わり」ではありません。ですが患者は「治療が終わった」と思い込んでしまい、この後「どうやって自分の歯を守っていくか、また歯が悪いと全身にどのような影響が起こるのか」ということは知らないままではないでしょうか。本当に大切なことは、患者が歯や噛みあわせなど口の中のことを正しく知る必要性を理解されること。歯科医院は、患者に知っていただくための説明をきちんと行うコンセプトが確立しているかどうかです。

本当に怖いのは歯周病であること

本当に怖いのは歯周病であること

口腔内に異常が見当たらない場合、これから先に気をつけなければならないことは歯周病です。歯周病はテレビでもよく取り上げられており、患者もある程度の知識は有していると思われますが、実際に歯科医院でクリーニングなどの処置を受けているかどうかとなると、難しいようです。その原因として、歯周病は虫歯と違い痛みをほとんど伴わないため、症状が進行しないとなかなか歯科医院へ足が向かない点が挙げられます。歯ぐきの腫れや出血が続き、やがて歯が揺れ動きだして初めて歯科医院に駆け込むパターンが多くみられます。歯周病は虫歯以上に歯を失う原因となることを歯科医院が説明をしっかりと行い、併せて歯を失うことで全身にどんな影響が及ぶのかということまで説明が必要です。

また、患者自身が自分の口腔内がどんな状態になっているのかを知る必要性も生じてきます。モニターやタブレットを使ってご本人のパノラマ写真を一緒になって見てもらい、説明を受けることで患者自身が現在の状態を把握できます。このような姿勢が、患者の歯周病に対する意識を高めることになるのです。

予防を行うことで歯周病を防ぐことの大切さ

予防を行うことで歯周病を防ぐことの大切さ

歯周病は、セルフケアだけではなかなか防ぐことは困難です。自費診療でPMTC、フッ素塗布、リナメルなど健康な歯を予防する方法と、歯周病治療の一環として保険が適用される歯石除去、SRP(歯肉縁下の深い場所にある歯石除去)を行う方法があります。どちらも定期的に行うことで歯周病予防だけでなく、口腔内を確認することで小さな異常を発見することができます。また噛みあわせに異常がないかなど、口の中を総合的にチェックすることで健康的な口腔内を保つことができることを患者に伝え、リコールを促します。

リコールの患者が定着している歯科医院は、3~6ヶ月ごとの定期健診の案内をするなど細やかな対応を行っています。リコールの定着=その歯科医院への満足度と言えるでしょう。

「抜く」ことが全て悪いのか

「抜く」ことが全て悪いのか

歯は、できるだけ抜きたくないものです。患者にとって「歯を抜く」と言われれば、やはり怖さを覚え、できれば抜きたくないと思うでしょう。
予防歯科が主流となっている現在、できる限り歯を残す治療法が望ましいと言えます。しかしこれは定期的にメンテナンスを行っている場合や、歯周病にかかっていても歯周治療で現状維持出来ていることが前提であり、どうしても抜かなければならない状態になった場合、患者の今後を考えて歯科医師が抜歯の提案をします。いつまでも残しておくことで歯周病菌が増大し、やがて歯槽骨が吸収され始めると他の歯にも影響が及んでしまいます。

「抜くタイミング」をも含めた明確な説明をし、その後の治療(入れ歯、ブリッジなど)をきちんと行うことで患者は納得します。補綴物を入れ、再び噛むことができる喜びとともに、残った自分自身の歯の健康に関する関心が高まることが期待できます。

いつまでも、自分の歯で食事を楽しめることが本当の満足

いつまでも、自分の歯で食事を楽しめることが本当の満足

悪くなった箇所を治療し、痛みや不快感を取り除くことだけが歯科医院の仕事でしょうか。悪い歯だけを治療するだけでなく、歯が全身に与える影響など、トータルに知っていただく必要があります。歯科医院一丸となり、患者に寄り添って歯と全身の健康を考え、アドバイスをすることが患者にとって一番満足感を得られるのではないでしょうか。

良い歯科医院のコンセプトは、「患者にきちんと知ってもらうこと」です。患者は、いつまでも自分の歯で食事や会話を楽しみ、健康でいられることが一番の喜びでしょう。

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