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歯科コラム

虫歯予防の説明は十分?具体的な食生活指導で他院と差の出る歯科治療

歯が痛くなり、歯医者さんにみてもらうと虫歯だった、ということはとてもよくあります。歯科治療の中でも虫歯は、数ある歯科疾患の中で最もポピュラーな疾患で、小さな子供だけでなく大人になっても虫歯で歯科医院を訪れる人はとても多く、虫歯は年代を問わずかかりやすい疾患であると言えます。昔は虫歯にならないためには「食後の歯磨きをしっかりすること」と言われてきました。しかし今は「予防」の時代であり、歯磨きだけではなく、フッ素塗布やシーラントなど、虫歯になりにくいよう様々な処置が施されるようになってきました。そしてそれだけではなく、最近では歯によい食事や虫歯になりにくい食生活を指導する「虫歯予防」を提案する歯科医院が増えてきました。虫歯の治療はどこの歯科医院でも行っていますが、今後は他の歯科医院との差別化を図るために、患者への虫歯予防に対する十分な説明が必要ではないでしょうか。患者側から考えても、歯を削り、状態が酷いときは神経を抜くような処置までしなければいけないことは避けたいものです。ただ単に虫歯を治療するだけでなく、予防という観点を考えると、これからの歯科治療はいったいどういったことが必要になってくるのでしょうか。

治療だけで終わるのではなく、説明をしっかりと行う

治療だけで終わるのではなく、説明をしっかりと行う

「虫歯にならないために甘いものをたくさん食べない」「食後の歯磨きをしっかりすること」は、虫歯予防の基本であり、家庭でもそのように指導されていると思います。しかし家庭での指導だけではなかなか行き届かず、大人になっても口腔内ケアが不十分であれば簡単に虫歯になってしまいます。そこで歯科医院で一歩踏み込んだ、いわば専門家からの指導や説明を受けると、患者の虫歯予防に対する意識は変わるのではないでしょうか。

治療後、どういった処置をしたかという説明はほとんどの歯科医院で行われます。しかしただ治療内容説明のみの歯科医院と、今後虫歯にならないために、また虫歯になりにくくするためにどんな食生活をすればいいのかという説明をしてくれる歯科医院では、どちらのほうが満足度が高いでしょうか。虫歯治療という最もポピュラーな治療にあたり、他の歯科医院との差別化を図るために虫歯予防に関して十分な説明を行うというのは、患者への印象もより強くなります。

そんな中「歯科栄養士」「歯科食育アドバイザー」など、患者の健康を考え、口腔内を通した食生活や食事の取り方などを提案する専門家が在籍している歯科医院が最近よく見られます。昔は歯磨きで虫歯を予防するよう言われてきましたが、「虫歯は生活習慣病」とも言われている今、なぜ虫歯が出来てしまうのか、虫歯になりにくい食事方法やおやつの取り方などが注目されています。ただ単に砂糖の摂り過ぎは虫歯が出来やすいという当たり前の知識を話すのでなく、砂糖を摂りすぎるとこういう仕組みで虫歯になりやすくなる、口の中が酸性だと虫歯ができやすいため、口腔内を酸性にしない食生活に改善するなどといった説明を受けると、患者にとっても非常に説得力があるでしょう。子供とその親に対して「おやつ指導」をする歯科医院もあります。食べる回数や時間をきっちり決め、だらだら食べないこと、食後の歯磨きをしっかり行なうことで虫歯を防ぐことになります。保健センターや小学校などでの歯科指導で、甘い飲み物やお菓子に含まれる砂糖の量をイラストやグラフに表し、説明をするのと同じように、歯科医院でも説明の時間を取り、こういったことをしっかり話すと効果的です。また甘いものだけが虫歯の原因になるわけではありません。スポーツ飲料などをたくさん取りすぎて歯が溶けてしまう酸蝕症の話も併せて行うことも患者にとって新たな知識を得ることになります。


患者の虫歯予防への意識を高める説明

患者の虫歯予防への意識を高める説明

そして食事指導ですが、唾液と虫歯の関係性や、食物をよく噛むことが顎の発達にもなり、歯並びにも良い影響を与えてくれるなど、虫歯予防だけでなく口腔内全体に関わる説明に繋げることで、患者の健康を支えることになります。

食事指導などと聞くと、思い浮かぶのは小学校などで歯科衛生士が行う集団指導ではないでしょうか。子供が虫歯に関するお話を聞いて、自宅で歯磨きをしっかりするよう意識付けるように、歯科医院でも虫歯予防の説明をすることは、虫歯を作らない、作らせないという患者の意識を高めるためにもとても大切です。フッ素塗布などだけではなく、日常から虫歯になりにくい口腔内環境を作ることを患者に提案することが、歯科医院にとってとても大切な役割です。

歯科治療の一環として行われる虫歯予防の指導は、日常生活の中で虫歯になりにくい食事や食生活の見直しなどです。例えば唾液の役割は消化機能をあげるだけでなく、虫歯予防にも大きく関わっていることをどのくらいの患者が知っているでしょうか。唾液は細菌をなくしてくれる働きがあり、その唾液分泌を促進するようなマッサージや食物繊維の多い食品、キシリトールガムなどをよく噛んで唾液の分泌を促進させることが虫歯になりにくい歯を作り出します。このようなことを伝えることで唾液と虫歯予防の関係性が患者に伝わりやすくなります。また間食や普段の食生活において歯を強くする栄養素や、それらを含んだ食材などの説明だけでなく、そういった食材を使ったレシピの冊子などを置いている歯科医院もあります。虫歯になりやすいおやつに関しても、我慢するのではなく、歯科メーカーからキシリトールが含まれた虫歯になりにくいチョコレートなども発売されていることを伝えてあげると、患者にとってストレスになりにくいのではないでしょうか。また歯の原材料ともいえるカルシウムをたくさん含んだ食品はもちろん、歯の表面を覆っているエナメル質を強くするためにビタミンAをたくさん含んだ食品、腸から吸収したカルシウムを歯や骨に送る働きをするビタミンD、歯を支える歯槽骨を形成し、カルシウムの吸収を助けるマグネシウムなどといった歯に大切な栄養素を歯科医院から説明されることで、これまで知らなかった知識を得ることが出来ます。またこれらが不足することで歯が受ける影響などを虫歯予防の説明に加えることで、患者が受ける印象はより強くなります。


まとめ

このように、虫歯予防の説明を含めた歯科治療は、予防の観点で患者に様々な情報を提供し啓発することで、他の歯科医院との差別化を図る大きなポイントのひとつとなるでしょう。

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