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気になるアレコレまとめました!医師の為の歯科コラム
歯科コラム

歯科治療が困難な方への配慮|歯科医師ができることとは

障害や高齢で歯科治療が困難な場合があります。歯科治療を行う上でどのようなことを配慮したら良いか、どこまで治療することが出来るのか。経過の観察や、歯ブラシの指導などでメンテナンスを行っていくかなど、歯科医師の判断が大切になってきます。

障害者歯科で大切なこと

障害者歯科で大切なこと

障害者歯科は色々な理由があり、うまく歯科治療が受けることが難しい人達が対象になります。
どのようなことに配慮することが大切なのでしょうか。
まず、どのような人達が来院するかを把握しておく必要があります。自閉症や知的な遅れのために自分の意志をうまく伝えることが出来ない方や、治療をすると快適な口腔内の環境になるということを理解することが出来ない方など、治療に協力を得ることが出来ない場合があります。
まずは、どのような障害があるのか把握することと、どのようなことに不安を抱くのかを理解し、そして診療室の雰囲気に慣れてもらうことから始めることが大切です。
歯科治療の器具や、スタッフ、何をするか分からないという不安から騒いでしまったり暴れてしまったりということもあります。治療することの細かい声かけや出来るだけ分かりやすい説明を行っていく必要があります。
言葉の説明だけでは理解をすることが難しい場合には、治療の順番などを絵で描いたカードを用意しておくと分かりやすいです。
治療する際の不安がどうしても取れない場合には、笑気麻酔や安定剤などを使用してコントロールしてあげると患者様の負担も少なくなります。
また、治療をするのは通常よりかなり患者さんにとってストレスを与えてしまうので、出来るだけ予防する方向で進めていくことも大切です。
患者様自身への歯磨きの指導はもちろん、ご家族の方にも一緒にケアしてもらうことが大切です。
出来るだけ予防でコントロールして、治療を少なくすることの重要性をしっかりとお伝えし、日頃のプラークコントロールを大切にしてもらいます。
もちろん、リコールで定期的にブラッシングが行き届かない部分のクリーニングは行っていきますが、毎日のケアを続けてもらうことも大切です。


自宅でのケアの方法について

自宅でのケアの方法について

自宅でのケアはどのようにしていったら良いのでしょうか。その患者様の個性にもよるので、どのような方法が良いかポイントを掴んでおくと、ご家族の方の負担も少し軽減されます。
まずは、1回で全部完璧に磨こうとするとお互いの負担になるので、慣れてもらうことに重点を置きます。食後に磨く際には、1日のトータル3回の歯磨きで綺麗にしようという姿勢でのぞむことです。
少しずつ慣れてくることや口をあけている時間が増えるなど、小さなことを褒めることによってやる気がでてくることが多いです。
そして、自分で出来るようであれば自分で磨くように促すことも大切です。食後に磨くことが望ましいですが、嫌なイメージがついてしまったり、身構えてしまう場合には機嫌の良い時間帯を選んで歯磨きを行ったりと柔軟な対応も必要です。
嫌がる場合の対処法でお口を開けない場合は、一番奥の歯の歯肉を少し押してもらうと反射でお口が開くことがあります。また噛んでしまって開かない場合には自宅でバイトブロックのように、割りばしにガーゼを巻いて使用します。噛んでもらうことによって、隙間から歯ブラシを当てることが出来ます。
このように自宅での対処法をお話しさせてもらいながらその患者様に合った方法を一緒に探していくことも大切です。


障害の特性によっての配慮

障害の特性によっての配慮

ダウン症の場合の歯科における問題点がいくつかあります。先天的欠損や歯周病になりやすいことがあげられます。歯周病になりやすいのは歯周病菌が定着しやすく、歯列不正などが原因です。また、舌突出などの原因で食べ方が上手にできず、丸呑みしてしまうことも口腔内の環境には良くありません。
また、さまざまな合併症を併発することが多く、心疾患や筋力の低下やうつ、アルツハイマーなど全身疾患にも注意が必要です。
合併症が原因で口腔内に良くない影響がある場合もあるので、その場合には内科や精神科の先生との連携が必要になってきます。
新しいことが苦手なので、歯科に慣れてもらうことも重要です。そのためのステップとして定期検診はとても大切です。
自閉症の場合の歯科の問題点もいくつかあります。自閉症は、言葉の発達の遅れや対人関係が困難という特徴があります。また、活動や興味の範囲が狭いので、自分が気になったことや興味があることにはとことんやるといった粘り強い一面もありますが、気に入らないことは中々受け入れようとしないという面があります。
対処法としては、あらかじめ診療内容を絵などで順番を説明しておくことも大切です。
予定が分かっていないと不安になってしまうので、順番が分かることで安心感を得ることが出来ます。
時間を区切ってあげることで安心感を得ることはできるので、10カウントのタイマーを使用することも有効です。
自閉症のタイマーも市販されています。
以前に治療して嫌なイメージがついてしまうと、フラッシュバックで強く思いだしてしまうので、無理な治療や強いにおい、刺激を嫌うので慎重に治療を進めていくことがとても大切です。
脳性麻痺の場合の歯科の問題点は、緊張してしまうと姿勢を保持することが難しいことや、お口を開けておくことが難しいことがあげられます。
姿勢はどの位置が良いか最初に判断し、無理の無い位置で治療したり、開口するのが大変な場合も多いので、休みながら治療することも大切です。また、補綴物の調整も本人に日常の姿勢で調整することが大切です。
噛み合わせが変わることもあるので、周りの残存歯に負担をかけないような噛み合わせを目指していくことも必要です。
自分でのセルフケアが難しい場合には、電動歯ブラシの使用をすることによって、ブラッシングが上手にすることが出来るようになる場合があります。
電動歯ブラシにすることによって、治療の際の音や振動を受け入れやすくなるとも言われています。


まとめ

歯科治療が困難な患者様の家族は、歯科治療を受ける際に他の来院している患者さんに迷惑をかけてしまうのでは無いか、歯科治療がスムーズに進まず、スタッフに迷惑をかけてしまうのではないかと気にされている人が多いです。
まずはコミュニケーションを取ることによって、ご家族の方の不安を少しでも解消することが大切ですし、患者様本人の状態を聞く上でもコミュニケーションを取ることはとても大切になってきます。
無理なく少しずつ治療することが出来る所、メンテナンスで経過を見ていく所などを見極めて進めていくことが大切です。


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