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歯科コラム

院内販売品についても把握してる?キシリトールガムで起こるトラブル

近年ではコンビニやスーパー、薬局など、どこにでも見かけるようになった「キシリトール」を使ったガムやタブレット。

砂糖やブドウ糖などに代わる甘味料になると同時に虫歯予防にも効果があることから、最近は「キシリトール」を使った子供用のお菓子も見かけるようになりました。それにより「キシリトール」に関心を寄せる人も年々増えており、歯科専用の「キシリトール」を100%使用したガムやタブレットも知られるようになってきました。

しかし「キシリトール」が歯に良いからという理由で「キシリトールガム」を延々と噛み続けることはあまり良いことではありません。なかにはストレス発散を理由にガムを噛み続ける方もいるようですが、これに警鐘を鳴らしているところもあるようです。
そこで今回は「キシリトールガム」の噛み過ぎによる歯のトラブルについてご紹介します。

ガムによる歯の咬耗

ガムによる歯の咬耗

「キシリトールガム」は虫歯予防に効果があるということは、現在では歯科医院に限らずあらゆるところでも提唱されていることです。また近年では虫歯に対する意識も高まりつつあり、歯磨き以外における虫歯予防も積極的に取り組む人が増えてきています。それが食事や間食の工夫による虫歯予防です。

特に「キシリトールガム」を噛むことは虫歯予防ができるだけでなく間食を抑制できることにもつながるため、一石二鳥の健康効果もあります。

しかしそこで問題となってくるのが、ガムの噛み過ぎによる「歯の咬耗」です。「キシリトールガム」を噛めば噛むほど歯の健康を維持できると考え、必要以上にガムを噛み続けることにより歯に負担がかかっているケースが意外と多いようです。

それによりエナメル質の磨り減りや補綴物の破損などが見られることもあります。また金属の補綴物の場合は破損するケースは少ないものの、硬質レジンやセラミックなどの補綴物が割れるケースは非常に高いと言えます。

ガムの噛み過ぎにより知覚過敏や補綴物の作り直しをする必要が出てきてしまっては本末転倒です。そういったことにより「キシリトールガム」を扱っている医院では患者への注意喚起と正しい使用方法の説明を行っているところもあるようです。


その他のトラブル

ガムの噛み過ぎによる悪影響は歯だけにとどまりません。そこで「キシリトールガム」を噛み過ぎた場合に起こりえるさまざまなトラブルの例についてあげていきたいと思います。

■顎関節症
ガムを噛み過ぎると歯だけでなく顎周辺の筋肉も必然的にたくさん使うことになります。それにより起こりえるのが「顎関節症」です。

通常であれば食事の時しか使われない顎周辺の筋肉を、それ以外の時にもたくさん使えば筋肉の酷使による筋肉痛のような状態になってしまいます。それにより「顎関節症」になってしまう人も少なくありません。

■頭痛、肩凝り
顎を使うことは顎周辺だけでなく、顔全体の筋肉も使っていることはご存知でしょうか。特にぐっと歯を噛み締めた際に筋肉がこわばるのが「頬」の部分と「こめかみ」の部分です。そのため、ガムの噛み過ぎにより慢性的な頭痛をひそかに抱えている方も少なくありません。

また日頃から肩凝りを抱えている方もガムの噛み過ぎが原因となっていることもあります。物を噛むときは顎から下の首の筋肉も使われています。そのため首の筋肉とつながっている肩までもが、筋肉の使いすぎの影響により緊張状態になってしまうというケースは決して珍しくありません。

またこういった症状を抱えている人の多くは、ガムの噛み過ぎが原因であると自覚していないようです。そのためガムを噛み続けながら原因不明の頭痛と肩凝りに悩まされる日々を送るという悪いループが生まれてしまうのです。

■骨隆起
ガムの噛み過ぎだけで起こることはあまりないかもしれませんが、「骨隆起」の発生も懸念されます。

骨隆起は、普段から歯に過剰な力がかかり続けることにより発生することがあります。「骨隆起」そのものは歯槽骨の一部がこぶのように大きくなる現象であり、病的な心配はないため深刻に捉えられることはあまりありません。しかし人によっては「骨隆起」を何かの病気かと不安に感じたり、食事や会話の弊害になったりすることもあるようです。

また「骨隆起」がもっとも弊害となってしまうのが「義歯」です。
「義歯」があたるトラブルが多いと言えるのが歯槽骨に「骨隆起」が見られる患者であり、将来的に考えるとなるべく「骨隆起」の発生を抑えることがベストと言えます。

■下痢
ガムの噛み過ぎだけでなく、一度にキシリトールを大量に摂取したり、頻度を多く摂取したりすることで「下痢」を起こすこともあります。

ガムだけにとどまらず、キシリトールを配合した食品には「下痢」をしてしまうおそれがあることを表示してあります。しかしそれをちゃんと読んで理解している人ばかりではないため、キシリトールを多く摂り過ぎると「下痢」をしてしまうことをしっかり説明しておく必要があります。


ガム以外のキシリトール商品

ガム以外のキシリトール商品

最初に「キシリトール」を配合した食品として登場したのが「キシリトールガム」でした。それにより「キシリトールといえばガム」という思考は広くかつ深く浸透しているようであり、多くの人が虫歯予防には「キシリトールガム」を購入するようです。しかし現在はガム以外でもキシリトールが摂取できるよう商品の開発が進み、さまざまな食品において「キシリトール」が摂取できるようになってきているのです。

その代表といえるのが「キシリトールタブレット」です。ガムのように口のなかに長くとどめておくことはできませんが、摂取することでガムと同等の予防効果が得られることがわかっています。そのため、歯の咬耗や顎関節症などが見られる方はガムの代わりに「キシリトールタブレット」を勧めるケースもあります。

また近年では甘味料の代わりに「キシリトール」を使用した「チョコレート」や「キャンディ」なども登場してきています。こういったキシリトール商品の開発の背景には、一度虫歯になると予防が難しくなってしまう幼児期の子供ほど「キシリトール」を摂取しやすいようにという配慮もあるようです。

そのため大人だけでなく子供も積極的に「キシリトール」を摂取するよう呼びかけるべきなのかもしれません。


院内販売と患者の状況を把握しよう

自身の医院においてどういったキシリトール商品を販売しているのか、また患者がどういったキシリトール商品を摂取しているのかを把握することはとても重要なことです。

またキシリトールガムを使用している場合は、正しいガムの食べ方と注意事項をしっかり説明しておくことで、ガムの噛み過ぎによるトラブルを防ぐこともできます。

歯の治療だけでなく、普段から患者がどういった予防をしているのかについても関心を広げることで患者に寄り添う歯科診療を今からでもはじめてみてはいかがでしょう。


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