子供の歯医者嫌いをクリニック内で克服!?通いたくなる環境づくり
歯医者さんといえば、「子供は嫌がって泣くもの」というイメージありませんか?
恐怖心が植え付けられたまま診療すれば、いつまでたっても子供は歯医者さんが嫌いなままです。
歯医者嫌いを歯科医院に通っていただきながら克服するため、わたしたちはどういう環境を整えてあげればよいのでしょうか?
子供たちが安心して、泣かずに楽しく通える歯科医院にするための方法をご紹介します。是非参考にしてください。
待合室から始まる「安心」と「信頼」
子供たちは小さな胸いっぱいの不安を抱えて来院します。まずは、玄関を入るところから、子供は勇気をもって扉を開けるのです。玄関周りや待合室は明るく、子供が入りたくなるような工夫があるとスムーズです。
まず入ってすぐに目が行くのが受付スタッフ。子供と目を合わせることのできる高さの受付が理想です。難しい場合は、入って来たら必ず「目を合わせて笑顔であいさつ」を心掛けましょう!優しく明るい笑顔に癒され、一気に緊張がほぐれます。
待合室は明るく穏やかな雰囲気を。子供用の本やおもちゃが充実し、清潔に整理されていると、親子で安心して待ち時間を過ごすことができます。子供用のイスやスリッパ、トイレの便座や洗口コーナーなど「子供目線」の備品を揃えることで、来院意欲アップにつながります。
診療室では「夢」と「プロフェッショナルケア」を!
子供が苦手なのは、歯科医院の器具や音。無機質な診療室では、せっかく待合室でリラックスできても、診療室に入ったとたん一気に緊張してしまいます。
待合室同様、診療室も明るく子供が楽しめる雰囲気や工夫を!診療器具はユニットに上ってからブラケットテーブルに出すなど、子供の目につかないような配慮をしましょう。
「白衣を見ただけで恐怖心を持つ」という子供もいます。可能であれば、術衣に工夫を取り入れたり、マスクや防護メガネ等をせずに対応したりしましょう。
歯科医院での対応を「子供への対応」とひとくくりにはできません。年齢や性別、性格、障害の有無などで、ひとりひとり対応は違うもの。まずはその子を観察し、しっかりと問診し、その子に一番合う対応を探ります。気づいたことは、どのスタッフが対応しても共有できるように申し送り用のメモを活用するとよいでしょう。次回来院時も、好きなものを覚えてもらえていたりすることが「信頼」につながるのです。
子供が「この歯医者さんなら行きたい!」と思う信頼関係を築くことが、歯医者嫌いを乗り越える原動力になります。そこで、診療を進めるうえで、子供に言ってはいけない言葉をご紹介します。
1.ウソをつかない(「今日は〇〇しないよ」「痛くないよ」など)
2.ネガティブな言葉を使わない(「泣いていたら注射するよ」など)
3.子供を悪者にしない(「ちゃんと歯みがきしないからだよ」など)
このような言葉かけは、自宅で来院前に保護者にも言わないように促しておきましょう。
年齢別対応
ひとりで診療ユニットに上り、泣かずに診察を受けることのできる境界線は3~4歳。
それまでの乳幼児は「泣くのが当たり前」の時期です。説明や説得はまだ理解できませんが、術者の声色や優しい対応はきちんと理解しています。トーンを高く、楽しい雰囲気で声かけしてあげることで、泣き止む場合も。「どうせ解らないから」ではなく、泣いていても楽しく声をかけながら診療に当たりましょう。
保護者のもとを離れ、ひとりで入室し診療を受けることができるようになってきます。同時に器械や道具、機械音などに恐怖を感じるようになる時期です。理解力が年齢とともに向上するので、何を使って何をするのか説明しながら行う方法「Tell Show Do法」が有効になってきます。不安要素を取り除くことで、泣かずに安心して診察を受けることができるようになります。
歯医者さんが楽しくなる工夫を!
1.Tell:これからどんなことをどうやって行うか説明する。
2.Show:使用する機械や器具を見せて解説する。
3.Do:鏡を持たせ、実際に見せながらデモンストレーションする。
これらを行う際に、子供が「楽しいことをするんだ!」というワクワク感が持てるよう、声かけや方法を工夫します。
子供が知っているであろう物に、歯科機械や器具をたとえて解説すれば、イメージしやすく理解力もアップします。また、実際の治療の際にも、事前に例えておいたもので伝えることで恐怖心が和らぎます。
1.エアシリンジ=「お口に風が吹いてくるよ~」
2.ウォーターシリンジ=「水鉄砲でバイキンを洗い流そうね~」
3.バキューム=「掃除機でお口の中のお掃除するよ~」
4.エアータービン=「お口に飛行機が飛んでくるよ~」
5,麻酔薬=「これはムシバイキンを眠らせるお薬だよ」
6.ラバーダム=「お口にマスクをしてバイキンマンがのどに逃げ込まないようにするよ」「歯にレインコートを着せてあげてお水から守ってあげようね」
など。
この時の注意点は、脅すようなマイナスなたとえをしないことです。そして「今日は〇〇しないよ」などと嘘を言うのはやめましょう。
いわゆる「アメとムチ」の応用です。保護者から離れ、ひとりでユニットに上り、診察を終了したら、とにかくそのがんばりを「おおげさに褒め」ます。できたという「自信」を持たせて保護者の元へ戻すことが大切です。
診療後は笑顔でスタッフとタッチして笑顔で帰す。また、シールや玩具などの「小さなご褒美」も次も頑張って来院したい!という意欲につながります。
まとめ
子供が歯医者嫌いを克服するには「またこの歯医者さんに来たい!」と思う気持ちです。
これまでご紹介したように、「楽しい本があるから」とか「先生の話が楽しいから」という理由ももちろんです。
そこにもうひとつ、子ども自身がお口に関する情報を吸収し、定期検診の大切さを理解する。そして自分から「そろそろ歯医者さんでお口のチェックしてもらわないと」と言える、高い意識を持てる子になることが理想です。
子供が「歯医者さん行きたい!」と言ってくれるような歯科医院づくりを目指しましょう!