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気になるアレコレまとめました!医師の為の歯科コラム
歯科コラム

女性歯科医は男性歯科医に比べて診療所で勤務する人が多いのか

医療分野における歯科医師という資格は、比較的安定した職業だとみられているかもしれません。ですが、実際に歯科医師という職業は女性にとっても良い職業なのでしょうか。

女性歯科医である彼女たちは、どんな形で勤務したいと望んでいるのでしょうか。女性たちは一生の仕事として歯科医師を続けていけるのかどうかについて、ご紹介します。

全体の歯科医師数と歯科診療所の近年の推移

全体の歯科医師数と歯科診療所の近年の推移

まず歯科医師は国家試験に合格した後、約1年の臨床研修を経てから歯科医師としてのキャリアがスタートします。よく見られるのは、先に歯学部付属病院などの病院もしくは診療所で数年勤務してから、数年後に自分の診療所を開設するというパターンです。

歯科医師数は断続的に増加し続けてきました。平成24年と平成14年の10年間を比べるだけでも、歯科医師数と歯科診療所数の双方に増加傾向が見て取れます。

平成24年の歯科医師総数のうち医療施設従事者は9万9,659人。平成14年の歯科医師数は9万499人でした。歯科診療所の施設数は、平成24年で6万8,383施設。平成14年では6万施設を少し超える程度でしたが、10年で7万施設に手が届くほどに増加しています。この調査結果から読み取れるように、経験を重ねたら自分で診療所を開設する事は歯科医師にとって一般的なのです。

しかし、男女の内訳を見ると、男性歯科医に診療所開設者が多いことが分かります。歯科医師総数の勤務先の58.3%は診療所の開設者なのですが、男性歯科医の68.2%が診療所開設者なのに対して女性歯科医はわずか22.4%です。

また診療所勤務者の男女割合では反対の傾向が見られます。診療所勤務者は女性歯科医が54.8%ですが、男性歯科医は18.9%しかいません。これは、決して女性歯科医師数が減少していることが原因なのではありません。


女性歯科医の増加

女性歯科医の増加

女性歯科医師数はここ10年ほどでますます増加しています。平成14年では30歳代全体の2割しか女性歯科医はいませんでした。ところが平成24年には30歳代全体の33.5%、29歳以下に至っては全体の42.1%が女性歯科医です。もはや歯科医師の二人に一人は女性になりつつあります。先に述べたように歯科医師数は毎年増え続けていますが、近年の増加の原因は主に女性歯科医と言えるでしょう。

しかし、それほど女性歯科医が増加しているのにも関わらず、診療所で勤務する女性歯科医の割合と比べて、診療所を開設する女性歯科医は少ないのです。


女性歯科医の勤務先

では女性歯科医は主にどこで勤務しているのでしょうか。最も多いのは診療所での勤務です。次いで診療所の開設者、医療機関の勤務者、の順で多いですが、この2つに割合の大きな差はありません。

しかし、一般的には歯科医師として経験をある程度積んでから診療所を開設することが多いものです。そうであれば、勤務年数の増加につれて開業する歯科医師の割合が増えるはずなのに、女性歯科医の場合、勤務先別の割合は各年齢層を見てもほとんど変化がありません。30歳代や40歳代でも診療所での勤務者を続けている女性歯科医の割合が多いのです。

このデータは、女性歯科医にとって自ら開業することはハードルが高いという事実を示しているのではないでしょうか。

女性歯科医の診療所開業の難しさ

女性歯科医の診療所開業の難しさ

男性歯科医か女性歯科医師かを問わず、開業を目指す歯科医師は多いです。勤務医として働き続けるのは嫌だ、自分の考える理想の治療をしたい、という思いがあるのは女性歯科医でも同じでしょう。そんな女性歯科医の開業ハードルを高くするのは、女性特有の出産や結婚に伴う問題に対する不安が大きいからです。具体的にどんなハードルがあるのでしょうか。

■出産のタイミング
いつかは開業したい、でも出産もしたい、と思いながら診療所で勤務している女性歯科医もいます。しかしその後、妊娠が分かった時点で開業をあきらめてしまうのです。

出産のブランクをはさんでの職場復帰は、自分の手技が落ちていないかという不安があります。もしかしてその頃は開業が経済的にも無理で、そのさき育児にお金がかかっていくのに開業費用なんて工面できない状況かもしれません。診療所での歯科医師勤務に復職するのも難しいと感じている女性なら、以前に開業を考えたことはあっても開業しないまま退職していくことでしょう。中には医師としてのブランクを避けるために、前もって学生の間に出産することにした女性もいます。

しかし妊娠や出産は計画通りにはいかないこともあります。もちろん開業後に出産することもできますが、出産前後に数か月間閉院しなければならないのは固定患者数の減少する恐れがあります。

■勤務時間
いざ自分の歯科医院を開業するとしたら、まずその地域の特徴や人口割合、求められる歯科医院のあり方などについて調査し、失敗しない歯科医院経営を目指すものです。考慮した結果、来院できる患者数を増やすために1日の診療時間を長く、または土日祝日も診療しなければならないとしたら、果たして開業できるでしょうか。

結婚している女性歯科医なら、いま住んでいる地域で歯科医として開業するのは現実的ではないと考えて、開業をあきらめてしまうのです。

■家族のサポート
家族が歯科医師として開業したい妻(母)をサポートする体制にあるかどうかも、女性歯科医が開業できるかどうかを左右します。夫の職業なども関係してくるでしょう。

もし診療所を開業すると、必然的に妻が家にいる時間は短くなります。そんな中でも家事や子どもの世話などを夫にも分担してもらうようお願いし、協力が得られれば開業と家事の両立も可能かもしれません。開業を考えていることを家族に相談し、理解と同意が得られた上で、やっと開業に踏み出せるかもしれません。


まとめ

全体的に女性歯科医の診療所での勤務は、男性歯科医に比べて多いです。もともと診療所での勤務を希望していた女性歯科医もいます。開業という目標を掲げながら診療所で勤務している女性歯科医もいます。

しかし出産もしたいとなると、先に開業をあきらめざるを得ないと考える人もいます。出産と開業を両立している女性歯科医も最近は増えてきていますが、そのハードルはいまだに高いです。

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