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歯科コラム

女性小児歯科医委員会が目指す歯科とその取り組み

「女性小児歯科医委員会」というものをご存知でしょうか。平成22年度、小児歯科学会において新たに設けられた委員会です。このような組織が発足するに至ったのにはどのような経緯があったのでしょうか。そして「女性小児歯科医委員会」が目指す歯科においての役割とその取り組みをご紹介。小児歯科に携わる女性歯科医でまだご存じなかった人は是非ご覧いただきたいと思います。

「女性小児歯科医委員会」誕生について

「女性小児歯科医委員会」誕生について

■なぜ「女性小児歯科医委員会」が発足したのか
そもそもこの委員会が発足に至った経緯はどのような事からなのでしょう。「日本小児歯科学会」に所属の歯科医師の男女比は、現在4割もの割合で女性歯科医が増えています。さらに言うならば、年齢区分で分けると20代と30代の小児歯科医は6割以上が女性歯科医です。このように女性歯科医が小児歯科の分野を多く占めるようになってきたことが、発足のきっかけとされています。

■女性歯科医ならではの悩みをサポート
女性は結婚・出産等で休職を余儀なくされる時期があるというケースが多いと思います。特に医療関係者は有資格者であることから、産休を経て別の職種に転職するよりも同じ職種に復帰する人が多い傾向にあります。そこで、産休・育休明けの復職や転職など、今後働いていくうえで小児歯科のネットワークを通じ、支え合っていけるようにサポートできる場として「女性小児歯科医委員会」が発足したのです。

■「女性小児歯科医委員会」の役割とは
女性小児歯科医委員会の役割として、上記のようなネットワークを広めていくことが目標です。ネットワークが確立されれば、産休などで一時的に休職が必要となった場合の穴埋め作業をスムーズにできます。また、復職したい人にとっても職場探ししやすくなります。そしていずれは、歯科衛生士のサポートにもつながっていくことでしょう。

「女性小児歯科医委員会」の理念

「女性小児歯科医委員会」の理念

■女性小児歯科医委員会が掲げた理念とは?
女性小児歯科医委員会では、女性歯科医が生涯にわたり仕事を続けていけるよう、目標として「3つのS」を掲げました。まずは「Specialistの育成」。次に「Skill-UP(技術・能力向上)」そて「Social( 親睦・社会活動)」の3つです。これらを掲げ、次世代育成のためにも積極的なサポートを行っています。

■アンケート実施で現役女性歯科医の生の声を取り入れる
まず発足初年度には、小児歯科学会に登録している女性歯科医にアンケートを実施しました。「本音トークアンケート」と称したアンケートで、各自問題意識を見つけられるような、気づきの生まれる内容でした。その結果をもとに、組織づくりを進めていくことになりました。女性が持つ豊かで質の高い情報と女性の視点から小児歯科医療にかける情熱を共有しあえる内容で、ネットワークづくりの一端をになうものとなっています。

「3つのS」における取り組みは?

「3つのS」における取り組みは?

■女性歯科医の実態調査アンケートの結果について
小児歯科学会所属の女性歯科医へのアンケートの結果、産休後も仕事を継続していくことへの意欲は高い回答が多かったようです。しかし現状として、職場環境の整備が十分とは言い難く、現在は家族の協力に頼ることで補っていることが推察される結果となりました。この結果を、どう活かし「3S」に繋げていくかがポイントとなるでしょう。

■Specialistの育成
委員会は、スペシャリストの育成を掲げています。そこで、専門医申請・更新の検討(産休・育休・介護等必要な場合)や、理事会・委員会へ参加しやすい状況を検討することとしました。

■Skill-UP(技術・能力向上)
女性ならではの視点から、技術や能力に関してのスキルアップも大切です。そこで学会活動への参加の場を増やすことや小児歯科学会での講演会やシンポジウムを開催するなど、活躍の場と学びの場をバックアップすることとしています。たとえば地域公衆衛生問題や母子保健問題、虐待問題など、小児や地域との関わりに役立つ情報等です。

■Social(親睦・社会活動)
女性歯科医が活動するうえでの社会活動や、同業者同士での親睦を深める場を提供することで、情報を共有し高め合うことで頑張る意欲を保つことにも繋がります。たとえば、女性歯科医が活動するための支援として「保育システム」や「復職支援システム」を確立させたり、全国女性歯科医師の会でも講演会やシンポジウム等の紹介なども行います。

アンケート結果を「3S」実現に活かすために

アンケート結果を「3S」実現に活かすために

■子育て中のママ歯科医へのサポートを充実
アンケート結果の中で「学会主催の大会や講習会に参加する際、子連れで参加できない」という意見が多く見られました。また、子育て中は遠方の学会参加等難しくなります。近郊地域での開催が増えてほしいという意見や、在宅でのセミナー受講ができればという意見もありました。これらに関して、託児所の設置などで参加しやすい環境づくりが必要となるという結果に至っています。

■ライフステージに応じた働き方のできる環境整備
また、専門医の申請および更新に関しても高い関心度であるという結果もありました。今後、多様な人材が小児歯科医療に携わると推測され、活躍の場を増やせるようなダイバーシティーマネージメントが重要となってくると思われます。そのため委員会では、女性歯科医が離職することなく、育児や介護などのライフステージに応じた働き方のニーズに対応できる組織づくりを考えています。

■小児歯科学会「女性小児歯科医委員会」への登録
小児歯科学会のホームページでは「女性小児歯科医委員会」のページにて、活動内容や育児支援の状況報告、地域ごとの女性小児歯科医委員会連絡協議会議事録、「本音トークアンケート結果 女性の私生活と仕事に関する調査」の調査結果などを会員限定ページにて公開。是非活用していただきたいと思います。

まとめ

「女性小児歯科委員会」はまだまだ発足したばかりでこれからの組織でもあります。とはいえ、これまで女性歯科医が結婚・出産したあと復帰して働く上でのさまざまな弊害が、時代のニーズとともに改善されて行きつつあります。小児歯科では女性歯科医が多く求められている現実。これからの時代、結婚や出産が壁と感じることのないように不安を取り払い、志望者を募るだけではなくサポートしていく組織の仕組みが必要とされているのでしょう。

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