Quick Search
気になるアレコレまとめました!医師の為の歯科コラム
歯科コラム

歯科医師会の男女共同参画社会の実現のために

近年、社会における女性の活躍は昔と比較すると、業種や職種に差はありますが、働く女性は格段に増えています。背景に、現在の日本の経済状況や雇用状況などが決して良いものではなく、女性は結婚して出産しても、保育所や託児所などに子供を預けて、社会復帰しなければならない状況が多く見られます。日本政府もこの流れを受けて、働く男女が意欲に応じ、あらゆる分野で活躍できる社会作りを推進しています。それが平成11年に公布、施行された「男女共同参画社会基本法」です。男女共同参画社会の実現するための5つの柱は「男女の人権の尊重・社会における制度または慣行についての配慮・政策等の立案及び決定への共同参画・家庭生活における活動と他の活動の両立・国際的協調」と定められています。男女それぞれが一個人として尊重され、対等に、そして相互に協力しあうことで、ひとりひとりの豊かな人生を造り出していくという理念が打ち出されています。

歯科医師会における女性歯科医師の立場

歯科医師会における女性歯科医師の立場

女性歯科医師が働きやすい環境や社会での在り方を協議する機関やグループが自治体主催で行われています。
例えば東京都では、東京都女性歯科医師の会というグループが、都内在住や就業中の女性歯科医師を対象に、女性歯科医師の立場や女性の目線で意見を交換する、親睦を深めるなどの活動を行なっています。このように、女性歯科医師が生き生きと働けるよう歯科業界内での在り方や働き方などの討論の場や、フォーラムが開催されるなど、積極的な活動が行われています。

そして、日本歯科医師会男女共同参画推進検討委員会では、女性歯科医師が加わることで、歯科医師会事業の新たな展開に期待できる、女性の視点からの政策提言に期待ができるなどの意見が出されており、女性歯科医師ならではの意見や目線が加わることで新たな展望が開けるのではないかとの期待が持たれていると報告しています。その一環として、女性歯科医師が役員として就任することを期待する声は、女性より男性のほうが多いというところが興味深いところであると言えるでしょう。しかし実際は、女性は仕事に加えて家事、育児などで時間を取られることが多く、役員の業務に時間を十分に割く事が難しいなど余裕がないことから、女性歯科医師が役員に就くことはまだ難しいという意見も多数を占めています。このように、歯科医師会の間でも女性歯科の活躍の場を推奨されている一方で、男女平等性、社会通念、しきたりなどはまだ男性のほうが優遇されているように感じるという結果が報告されています。歯科業界における男女格差はまだまだ大きな問題です。

また「女性歯科医師の活躍のための環境整備等に関する調査報告(平成28年2月)」中における女性歯科医師の活躍を推進するための策によると、「職場内の託児、保育施設の拡大・復職の支援システム」が多数の割合を占め、出産後も復職しやすい環境づくりを整えることが女性歯科医師にとって活躍できる大きな事案であることが報告されました。このように、女性歯科医師の活躍を推進するためにも、国の政策として保育施設の拡充が強く望まれていることがわかります。復職支援同様、歯科医師会、大学、同窓会、学会などが各機能に応じて役割分担し、議論の場を歯科医師連盟が設ける策が必要と言えるでしょう。

歯科業界における男女比と展望

歯科業界における男女比と展望

それでは歯科業界における男女共同参画社会の実現のビジョンですが、歯科医師会はこの定義をどう見ているのでしょうか。
平成24年のデータでは、日本の歯科医師総数は102,551人、そのうち女性歯科医師は22,295人で全体の約22%です。そのうち29歳以下の若い世代の歯科医師は7,460人、うち女性歯科医師は3,104人で約42%を占めています。つまり日本の歯科医師総数の中で見ると、女性歯科医師の割合は約20%ですが、若い世代は男女比が逆転しています。これは現在、全国歯学部29校中20校以上で歯学部の学生は女性が半数以上を占めていることに象徴されます。しかし、開業している日本歯科医師会会員総数64,707人のうち、女性歯科医師は5,782人で1割も満たないということが、今の歯科医師会の現状です。今後いかに女性が生き生きと活躍できる職場環境に転換できるかが重要になってきます。

これからの女性歯科医師に求められること

これからの女性歯科医師に求められること

今の世の中は、女性の進出がめざましいと言うものの、世界水準で見ても日本は相当低い位置づけにあります。その中において、日本の医科や歯科はまだまだ女性が生き生きと活躍する環境はそこまで整っていない状況です。
女性歯科医師は、男性に比べると結婚、妊娠、出産など女性特有のライフイベントが問題となり、ここでどうしてもキャリアの差が出てしまいがちになります。特に就労の分野における女性の参画において、30代が妊娠、出産、育児に充てる割合が最も多く、就労に関していちばん底に位置しています。このことから考えられる課題として、男女の均等な待遇の確保、男女間賃金格差の解消、非正規労働者と正規労働者の均衡待遇の推進、M字カーブ解消に向けた子育て支援策の充実、再就職の支援体制の充実等女性の就業継続支援などに取り組んでいくことが挙げられています。

そんな中で女性歯科医師に求められることとして、女性らしい目線と繊細さ、細かさで社会活動へ携わる歯科医療が期待できます。例えば、保健センターなどで行なわれる小児歯科検診や訪問診療、学校歯科検診など、行政や地域に密着した歯科業務に女性歯科医師はとても適しているといえるでしょう。そして麻酔歯科、小児歯科など、専門的な診療に特化することも女性歯科医師の新たな働き方のひとつと言えます。

まとめ

このように、女性歯科医師だけではなく女性全体が社会へ進出し、男性と対等な環境で仕事をすることはまだ難しく、まだ改善しなければならない課題がたくさんあります。男女共同参画社会を真の意味で実現するためには、それぞれが意見を出し合い、理解を深めて改善し、女性歯科医師がもっと活躍できる体制作りや、充実した環境を整える策を進めていかなければならないでしょう。

お問い合わせ
当サイトに掲載されているコラムの内容や求人情報に関するご質問は左のボタンからお問い合わせください。

^