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気になるアレコレまとめました!医師の為の歯科コラム
歯科コラム

女性歯科医師ならではの悩みと働き方

平成26年度の調査によると、全国歯科医師総数は103,972人、そのうち男性歯科医師が80,554人、女性歯科医師が23,428人という割合です。女性が歯科医師としての免許を持ち、ずっと仕事を続けていくことに対して大きな問題があります。それは結婚、出産、育児という、女性のライフスタイルを考える上でとても重要なことと言えるでしょう。結婚、出産を経て歯科医療の現場に戻ることに悩みを抱える女性歯科医師(以下女性医師)は多いかもしれません。女性医師が継続して働き続ける割合は、男性歯科医師と比べると圧倒的に低いという事実は否めません。結婚、出産を経て社会復帰することにどうしても二の足を踏まざるをえないという状況が、このような割合を作り出していると思えます。
そこで今、女性医師としての働き方の方向性が議論されています。勤務形態やサポート内容等、女性医師が再び歯科医療現場に戻る環境づくりはどういったものなのでしょうか。

子育てとの両立の難しさ

子育てとの両立の難しさ

いちばんの課題は、子育てとの両立でしょう。子供を保育園に預けても、熱を出した等体調不良の連絡を受けたときはお迎えに行かなくてはならないし、また朝から急遽病院へ連れていかなければならないこともしばしばあります。これでは患者はもちろん、他スタッフにも多大な迷惑をかけてしまうことになります。ここが女性医師の抱える最大の悩みではないでしょうか。

最近では診療時間の長い歯科医院、日曜日にも診察している歯科医院が増えてきました。子供や家庭のことを考えると、どうしても遅い時間まで勤務することや日曜出勤などは難しくなってきます。数名の歯科医師が勤務する法人ならば、急な欠勤に対してもなんとか融通がききそうですが、そうでない小さな規模の歯科医院で勤務医というのも、時間的拘束がなかなか厳しいかもしれません。ここで常勤という体系から思考を外し、短時間のパート勤務という形を取ると、ある程度時間の融通はききやすくなるでしょう。これは歯科医師に限らず、どんな職種でも仕方ないことです。
自分自身が開業医であれば、他に勤務医や代診医師を雇わない限り、なかなか難しいのではないでしょうか。
こういったことで、勤務医を雇う雇用主側も慎重にならざるをえない、という声があがっています。雇う側の都合というよりも、どうしても女性医師側の都合によるところが大きいということでしょう。


女性歯科医師の活躍に関する動き

女性歯科医師の活躍に関する動き

そういった女性医師の働き方や活躍のあり方に関するフォーラムが平成28年2月に行われました。結婚、出産から一度職を離れた女性医師が、再び活躍の場に就く為に様々な議案が出されました。主なテーマは
『女性が継続して就労するために必要な体制の整備』
『結婚・出産等に伴う離職や復職に対する体制の整備』
『女性歯科医師の活躍に対する支援のあり方』
『女性歯科医師に期待される活躍の場について』『女性歯科医師の活躍等をはじめとした歯科をめぐる課題解決のあり方』

というものでした。内容についての要約は以下のとおりです。

■結婚、妊娠、出産等ライフイベントに合わせた様々な働き方など、状況に応じた勤務形態の容認という業界全体の必要性。

■歯科業界における、育休等に対する取り組みの遅れの懸念。

■高齢者の増加による介護の負担による離職の増加に伴い、就労と介護の両立支援を促すような環境整備の期待。

■女性歯科医師は妊娠、出産等によって離職するケースが想定され、キャリアを伸ばすために継続して就労が行えるような両立支援が重要。

■女性歯科医師の活躍のために、歯科診療所における産休・育休の取得の促進の期待。

■歯科診療所において、女性が働きやすい環境や仕組みの整備とそれに伴う環境づくりの困難さに対する案として、好事例等インターネットや新聞等を通じた情報の共有が、各医療機関での取り組みのきっかけになるのではないか。

■行政等で行われている歯科保健教育、歯科検診、親子教室等における育児中の女性歯科医師等の活用。こういった取り組みが女性医師の新たな活路、分野を見出されるのではないかという期待。

■歯科麻酔医などの非常勤勤務、小児歯科あるいは歯科訪問診療等のニーズにおける女性歯科医師への復帰への期待。

■女性歯科医師の活躍をはじめとした歯科保健医療のあり方について、歯科医師会、大学、学会等で議論する場の必要性。

■女性歯科医師の働きやすい環境づくり=男性歯科医師にとっても働きやすい環境づくりに繋がるのではないかという期待。

■女性歯科医師の支援を円滑に進めるための、女性歯科医師の現状把握についての調査の必要性。

こういった内容がフォーラムで議題に上がり、討論されたとのことです。
このように、働く女性医師のための環境づくりや勤務体系のあり方などについて、まだまだ議論の余地が必要です。女性医師ならではの視点で仕事に向かうことで、女性にしかできない社会貢献が大変重要になってくるのです。社会的にも、女性歯科医師がもっと活躍できる場を整えるべきだという声の表れが、こういったフォーラム開催に繋がっているものと考えられます。

ブランクのある女性医師の復職を応援する独自のプログラムを行っている医療機関や事務局もあります。仕事と出産、育児との両立させるような復職サポートを充実させ、歯科訪問診療などニーズが高まっている分野で再び活躍する体制を整えています。ブランクに悩む女性医師にとって、とても前向きな気持ちを抱かせてくれる制度が浸透してきていることがうかがえます。
また、女性歯科医師だけでなく歯科衛生士、助手など女性スタッフに対し充実した制度をとっている歯科医院もあります。ある歯科医院では「女性スタッフプロジェクト」という、女性スタッフにとってとても働きやすい環境で医院を運営しています。育児休暇の取得は勿論、既婚女性スタッフは定時に退勤し、診療終了時間まで独身スタッフがサポートをする。子供が体調を崩したときに預ける病児保育に対する助成金支給など、「女性が活躍する場だからこそ女性スタッフに対するサポートを手厚くする」というスタンスで作り上げられています。そこには出産後、パート勤務として働く女性医師もいます。


まとめ

女性歯科医師

このように仕事と家事、育児の両立など、女性医師には仕事を続けていく上で立ち塞がる問題がいくつもあります。それに悩み、諦めてしまうことでせっかく得たスキルを引き出しの奥へしまいこんでしまう事になってしまいます。しかし今は社会が一体となり、女性医師も仕事を継続しやすい環境づくりも活発に行われています。女性医師にとって家庭と仕事の両立は本当に大変ですが、個々のライフスタイルに合わせた勤務体系ができること、そういった社会体制が作られることが望まれます。

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