歯科医と家庭を両立するうえで、残業の少ない歯科医院を選ぶとなると、いくつかのポイントに注目する必要があります。なぜなら、残業の少ない歯科医院には比較的見分けやすい特徴があるからです。これは一般的な職種とは異なり、病院や歯科医院独特の特徴といえるでしょう。

歯科医院で残業が多くなる理由として、急患が多いという点が挙げられます。特に、大きな病院や急患を積極的に引き受けているような歯科医院では、必然的に残業が多くなりがちです。そのため、家庭と歯科医の両立が難しくなる傾向にあります。ですから、転職活動をする際に、そうした急患が多かったり、容体が急変するような患者さんを多く受け入れていたりするような施設は、残業が多い傾向なので要注意です。もちろん、そうした職場にはさまざまな体験ができるため、働きがいを感じる場面も多くなるでしょう。しかし、家庭と歯科医を両立するという点では、あまり好ましくない職場環境といえます。

最近では増えてきましたが、歯科医院のなかには完全予約制をとっているところもあります。診療は予約のみを受け付けているため、おのずと残業も減ってくるでしょう。診療全体が時間通りに進むことで、定時に帰宅することも難しくないのです。こういった歯科医院は、家庭と歯科医を両立したい歯医者にとって、非常に適した職場環境といえるでしょう。

歯科医院というと、定期的に研修や勉強会などを実施して、スタッフの知識や技術を高める取り組みを行いますが、これが勤務時間外に行われることが多く、家庭と歯科医を両立させたい歯医者にとっては、転職先としてのマイナスポイントとなります。そのため、そうした勉強会などが勤務時間内に行われるという点を事前に確認しておきましょう。確かに、はじめから「勉強会には参加しない」と決めておければ良いのですが、それでは周りのスタッフや院長との関係も悪くなりかねません。そのため、できるかぎり参加する方向で勤務したいものです。

歯科医の求人情報には、明確に「残業なし」と表記されたものもあります。これほどわかりやすい求人はありませんが、転職を決めた際には念のため、詳細について確認しておきましょう。面接の段階で歯科医と家庭を両立させたい旨を伝え、残業することができない現状を理解してもらいます。そのうえで、「残業がない」という勤務形態について詳しく問い合わせておきましょう。もしかしたら、表記に誤りがあるかもしれませんので、記載をすべて鵜呑みにせず確認をとっておくことが必要です。

日本全体の傾向ともいえますが、女性が出産や育児を経て、社会復帰を果たせるような流れが強まっているのは確かです。特に、女医や女性歯科医師の復帰については、業界全体が歓迎しており、より再就職しやすい環境づくりに取り組んでいます。そのため、たとえ残業が決して少なくない職場であっても、歯科医と家庭を両立させたい旨を伝えることで、職場全体が支えてくれることも多い傾向です。

また、短時間勤務を奨励している歯科医院も徐々に増えてきています。これは家庭と歯科医を両立させたい歯医者にとってはメリットが大きいです。同時に、1日のうちで患者数にムラがある歯科医院にとっては、忙しい時間帯に勤務してもらうことで、経費の節約にもつながるといえるでしょう。つまり、お互いにとってメリットの大きい勤務形態が短時間勤務といえます。

出産や育児を経て、歯科医として再び診療を行いたい場合は、コネクションを使って再就職するのもひとつの手であるといえます。例えば、以前に勤めていた歯科医院に再就職したり、知り合いの紹介で転職をしたりするなど、コネクションを頼りに転職活動をするといろいろなメリットを享受できるでしょう。最も大きなメリットは、家庭と歯科医を両立したいという現状を理解してもらいやすい傾向にあるからです。とりわけ、以前に勤めていた歯科医院であれば、ひととなりも十分に理解してもらえているので、再就職しやすいといえるでしょう。

このように、家庭と歯科医を両立するためには、まず残業の少ない歯科医院を探す必要があります。上述した通り、残業の少ない歯科医院にはいくつかのわかりやすい特徴がありますので、それらを参考に、転職活動を行ってみてはいかがでしょうか？じっくり探してみると、残業が少ない歯科医院というのは意外に多いものですので、そこまで苦労することはないかもしれません。