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気になるアレコレまとめました!医師の為の歯科コラム
歯科コラム

女性歯科医のための育児支援制度にはどのようなものがある?

近年、歯学部や歯科大学における女子学生の占める割合が増加しつつあり、50%に近づきつつあります。それに従い、歯科医全体に占める女性歯科医の数も年々増加しているのです。
女性歯科医には、出産や育児などの重大なライフイベントがあり、そうしたときには就業が制限されるので、いろいろなサポートが欠かせません。
そこで今回は、女性歯科医のための育児支援制度についてご紹介します。

歯科医師会などによる女性歯科医師の育児支援制度

歯科医師会などによる女性歯科医師の育児支援制度

歯科医師会では、従来疾病によって就業できない場合に会費を減免することを定めた規定はありましたが、産休や育休によって就業できない場合の規定はありませんでした。
そんな中、北海道歯科医師会が、出産や育児を行う場合に年会費を減免することを認める規定を定めました。
歯科医師会からの女性歯科医への育児支援としては画期的といえるでしょう。

■北海道歯科医師会の女性歯科医師サポート臨時委員会の例
北海道歯科医師会は、「女性歯科医師サポート臨時委員会」を立ち上げ、北海道歯科医師会へさまざまな答申を行っています。
女性歯科医が出産や育児によって就業が制限された場合、収入が減ってしまうことが予想されます。
そこで、北海道歯科医師会では、出産支援や育児支援を目的に女性歯科医師サポート臨時委員会からの答申に基づいて、歯科医師会の年会費の減免が行われることになりました。
出産の場合は、1年間の会費の免除、育児の場合は小学校に就学するまでの期間、年会費を半額にしたのです。
これは、既存の会員はもとより、入会時点で未就学児がいる場合にも適応されます。
また、歯科医師会主催の講習会では、託児所を設けるようになりました。
既存の会員だけでなく、新規入会者にまで出産支援、育児支援の輪を広げることで、女性歯科医をしっかりとサポートしていこうという姿勢が伺えます。

■いわて女性歯科医師の会
この女性歯科医の会では、出産・育児支援に関することも検討されており、女性歯科医の出産や育児、介護等を支援するシステム作りから休業中の女性歯科医の代診システム、子育て支援、臨床に復帰するための研修システムの構築などを提言しています。


大学における育児支援制度ついて

■東京医科歯科大学
特任教授をはじめ専任スタッフ数人で運営される女性研究者支援室が設けられています。
学内保育園もあり、男性歯科医師の育休取得例もあります。

■九州大学病院きらめきプロジェクト
きらめきプロジェクトとは、女性医療者がキャリアを継続できるように支援する文部科学省の支援プログラムのことです。
女性歯科医を含めたものは、九州大学病院だけのようです。
九州大学病院では、出産や育児を担いながらも医療の世界で活躍できることを目的にして実施されています。
そのひとつである復職支援コースでは、復帰前の研修や再教育、再就職を支援しています。
また、ワーキングコースでは、非常勤歯科医師によるワークシェアやフレックス制による勤務体制を運営しており、復職やキャリアを継続するためのステップアップの場を提供しています。
その他に、e-ラーニングを使った教育学習支援も行われています。


学会からの育児支援への取り組み

学会からの育児支援への取り組み

女性歯科医が、出産や育児を経験しても生涯にわたって仕事を続けていくために、スキルアップを目的とした取り組みを行っている学会もあります。

■日本小児歯科学会の例
女性小児歯科医委員会を立ち上げています。
ここでは、3S[Specialist(専門医の養成)、Skill-up(技術向上)、Social(社会貢献)]を目的として、女性歯科医をサポートするために活動しています。
産休や育休によって、専門医の申請や更新が出来なくなるという事態にならないようにしています。


育児支援に関係する行政からの助成金について

女性歯科医に限った話ではありませんが、厚生労働省も両立支援等助成金として、雇用保険法に基づいて事業者に対して育児休業支援を行っています。

■代替要員確保コース
3ヶ月以上の育児休業による代替要員を確保して、育児休業後に同じ職務に復帰させた場合に支給されます。

■期間雇用者継続就業支援コース
育児休業した期間雇用者を、育児休業後にもとの職に復帰させた場合に支給されます。

■育休復帰支援プランコース
育休復帰支援プランに基づいて3ヶ月以上育児休業をした者を育児休業後に継続的に雇った場合に支給されます。


まとめ

現在、歯科医師国家試験の合格率の低下に伴い、新規歯科医師数も減少し、歯科医師が高齢化しつつあります。
そして、歯学部での女子学生の増加により、女性歯科医の占める割合が年々増加しています。
女性歯科医には、結婚や出産、育児などの重大なライフイベントが起こり得ます。
出産や育児に際して就業が制限されたりすると、収入の減額にもなりますし、離職した場合は、再就職のための就職活動も必要です。
女性歯科医の割合が高くなりつつある現在、女性歯科医に対してしっかりとした育児支援をしていくことは、歯科医師会だけでなく歯科医師全体で取り組んでいかなければならない課題と言えるでしょう。
「育休で休んでいたあそこの歯医者さん、また戻ってきてくれたわ」といった会話が患者さんから普通に聞こえてくるような歯科界にしていきたいものですね。


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