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気になるアレコレまとめました!医師の為の歯科コラム
歯科コラム

女性歯科医の就業状況と働くために利用可能な支援制度

女性の社会進出が進む近年、女性歯科医師の数も年々増加傾向にあります。歯科大学の学生や、歯科医師国家試験の女性の合格者の割合は40%を超えており、歯科業界における女性歯科医師の活躍が期待されています。

しかし、結婚、出産、等のライフイベントにより、歯科医師の仕事を一時的に離れざるを得ない状況になる方も多いのが現実です。女性歯科医師として働き続けるにはどうしたら良いのか、女性歯科医師の就業状況と、就業支援制度などをご紹介します。

女性歯科医師を取り巻く環境

女性歯科医師を取り巻く環境

平成28年、日本歯科医師会による「女性歯科医師の活躍のための環境整備等に関する調査報告」によると、20代、30代の女性歯科医師の就業状況などが明らかになっています。

■働いている施設について
大学付属病院を含む医育機関に勤務している方が約50%、歯科医院を開業している方は約30%、歯科医院に勤務している方は約20%でした。年代別に見ると、20代では大学付属病院を含む医育機関に勤務している方が約80%と多いのですが、30代になると歯科医院を開業している方の割合が増える事が分かりました。

■勤務形態について
常勤で働いている女性歯科医師が70%を超えているという結果が出ています。年代別に見ると、20代では常勤の割合が60%以上で、30代では70%以上と、30代のほうが常勤の方が多い事が分かりました。

■子どもを持つ女性歯科医師
子どもを持つ女性歯科医師は、全体の約30%という結果となりました。年代別に見ると、20代で子どもを持つ女性歯科医師は約10%と少なく、30代では約40%でした。そして、勤務形態からみると、常勤の女性歯科医師のうち、子どもを持つ方の割合は31.7%で、非常勤の女性歯科医師のうち、子どもを持つ方の割合は34%でした。


女性歯科医師を続けていく上での課題点

女性歯科医師としてのキャリアを築いていく過程では、仕事を続ける事が困難になるケースも見られます。歯科医師は研修医を終えて一人前になる時期と、結婚や出産の適齢期が重なってしまうのが大きな要因となっています。

■結婚、夫の転勤
結婚する事よって、パートナーの転勤などで転居しなければならないケースがあります。

■妊娠、出産
妊娠すると、個人差はありますが悪阻などの体調の変化で、妊娠前と同じペースで仕事をこなす事が困難になる場合があり、出産前後はしばらく仕事を離れなければなりません。

■育児
仕事をしている間に、子どもを預けられる場所を確保する必要がありますが、核家族化や保育施設の不足などにより、このような場所の確保が難しい場合があります。


女性歯科医師が必要としている支援制度とは

女性歯科医師が必要としている支援制度とは

女性歯科医師が働きやすい環境作りの為に、具体的にどのような支援制度が求められているのでしょうか。

■非常勤歯科医師の為の就業制度
非常勤で働きたい歯科医師と、非常勤の歯科医師を必要とする歯科医院のマッチングを目的とした登録システムが必要とされています。また、代診のシステム作りや、非常勤で働く歯科医師の実例を紹介するなど、情報を広く共有する必要性も増します。

■学生、研修医に対する支援制度
学生の頃から、女性歯科医師としてキャリアをどのように築いていくのか、自らの将来像を明確にするキャリアデザイン教育が必要されています。

女性歯科医師としての働き方には、たくさんの選択肢がある事を積極的に提示する事が大切です。歯科医師会や、同窓会と連携して現場の声を学生に伝える事で、女子学生が持つ将来への不安を払拭する事に繋がります。

■復職がスムーズに行える為の支援制度
出産等の理由で離職した後、復職がスムーズに行える為の環境設備を整える必要があります。

復職の為の相談窓口や、復職支援の為の研修制度、人材バンクの設置などが必要となります。
また、自宅にて研修が受けらえるように、eラーニングでの研修を開催するなどの対応が求められています。

■女性歯科医師の活躍の場を広げる為の支援制度
女性歯科医師としての特性を活かし、活躍の場を広げる事が求められています。

例えば、学校での歯科検診や、妊産婦向けの健康教育、市民講座や親子教室の開催、さらに、小児歯科や訪問歯科なども女性の特性が活かせる専門治療となっています。それと同時に、このような現場での就業がスムーズに行えるように、専門的な知識や技術を習得する為の研修制度などが必要となります。

■子どもを持つ女性歯科医師の為の環境作り
子育てしながら勤務している女性歯科医師の為に、院内に保育施設を設置するなどの支援が求められています。また、専門的な知識などを習得する為の学会や研修会の場に、託児施設を設ける事も求められています。


女性歯科医師を支援する取り組み

女性歯科医師が継続して活躍できる為に、実際に利用できる制度はたくさんあります。

■健康保険や雇用保険などの制度
健康保険では出産育児一時金や、出産手当金、雇用保険では育児休業給付金が支給されます。

■日本歯科医師会
日本歯科医師会では、出産や介護等の様々な理由で離職した女性歯科医師や、キャリアアップを希望する女性歯科医師の為の就業支援に取り組んでいます。歯科医師を募集している歯科医院の紹介や、研修や制度などの紹介も行っています。

■女性歯科医師の会
様々な地域にて女性歯科医師の会が設置されており、休業中の女性歯科医師によるネットワーク作りや、復帰の為の研修システム、開業の際の相談など広く支援の輪を広げています。

■人材採用支援企業による就活イベント
ネット上ではなく、実際にコミュニケーションを取りながら就職活動できる就活イベントが開催されています。さらに、歯科医院とのマッチングだけではなく、就業や開業に関する相談会も同時に開催されており、キャリアデザインについての情報も得る事ができます。

■歯科医院単位での取り組み
ブランクがある女性歯科医師の採用を積極的に行っている歯科医院も多く存在します。復職の為の研修制度や、実際に子どもを持ちながら非常勤で働く歯科医師の事例なども詳しく紹介されています。

さらに、歯科医院内に事業内保育所を開設し、歯科医院のスタッフや、患者の子どもを預かっている事例もあります。
女性歯科医師としてキャリアを築いていくためには、乗り越えなければならない色々な課題が存在します。それらを乗り越える為には、家族や職場からの協力と、様々な制度を利用する事が必要不可欠になります。

最近では、女性歯科医師を応援する新しい支援への取り組みが広がっている事が分かりました。これらの制度をうまく利用し、利用した結果を情報として伝えて行く事も大切です。既に歯科医師として働いている女性も、歯科医師を目指す女性も、歯科が女性にとって働きやすい業界となるように、自分らしい働き方を見つけていけたらいいですね。


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