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気になるアレコレまとめました!医師の為の歯科コラム
歯科コラム

女性歯科医の活躍の場|訪問・在宅歯科診療とは

女性歯科医師は妊娠、出産などのライフイベントによる離職率が高くなり、復帰後もこれまでと同じような働き方が難しく、培ったキャリアを生かしきれずに悩んでしまうかもしれません。このような女性歯科医師の活躍の場として、訪問・在宅歯科診療が注目されています。

女性特有のライフイベントによる離職

女性特有のライフイベントによる離職

女性には、結婚、妊娠、出産という大きな人生のライフイベントがあります。女性にとって大きな意味を成すライフイベントですが、いちど離職をして再び現場に復帰した場合、これまでのようにフルタイムで働くことが難しく、復帰を諦める女性歯科医師も少なからず存在します。

特に小さな子どもがいる場合、保育園に預けて長時間働くことに抵抗を感じる女性歯科医師も少なくありません。これまでのようにフルタイムではなく、パートやアルバイトの雇用形態で復職を望む女性歯科医師が多い中、離職前とは違う位置での活躍が望まれるケースが多くあります。それは訪問・在宅歯科診療です。


歯科治療を必要とする高齢者が急増

高齢化社会が進む日本において、要介護認定を受けている人は、平成21年4月の時点で約469万人。前後のデータによると、10年間で約2倍に急増していることが示されています。そしてそのほとんどが、口腔内に何らかの問題を抱えており、治療を要する状態であるにもかかわらず、実際には適切なケアや治療を受けられていないのが現状です。

■虫歯や歯周病などの発生率が高い
口腔内ケアが適切に行われていない場合、虫歯や歯周病に罹患する率が非常に高く、口腔内の状況は悪化の一途を辿ります。特に歯周病がそのまま放置されていると、誤嚥性肺炎を引き起こす大きな要因となってしまいます。
高齢者の場合は身体機能の低下もあり、この誤嚥性肺炎が起こりやすいため、歯周病を放置すると命にかかわることもあります。

■義歯不適合
義歯をお使いの高齢者は、顎の骨の変化などに伴いだんだんと義歯が合わなくなる義歯不適合も頻発します。合わない義歯を使い続けることで咀嚼力が落ち、認知症の恐れが出てきます。

■生活の質の低下を招く
口腔内管理がきちんとできていないため、口の中にトラブルが発生することで食べることが苦痛に感じてしまうでしょう。美味しく食事をいただくことは、心身を健やかに、そして豊かにする栄養源ですが、食べる楽しみがなくなってしまうと生活の質を低下させることとなるでしょう。

このような状況により、要介護高齢者は健康な高齢者と比べ、口腔内のトラブルが頻発しています。厚労省によると、要介護者の74.2%は何らかの歯科治療が必要な状態にもかかわらず、実際に歯科治療を受けた人は26.9%というデータが報告されています。この極めて低い数字の要因から考えられることは、介護者の意識が口腔内の健康まで行き渡っていないことではないでしょうか。

健康な高齢者は、自分の身の回りのことは行い、口腔内の手入れもある程度きちんと行えていますが、要介護の高齢者については、介護者が口腔内ケアまで手が回らないため、口の中が不衛生になってしまうという現状が浮き彫りになっており、過酷な介護の現実が垣間見えると言えます。


在宅、訪問歯科の必要性

ここで必要となるのが、在宅および訪問歯科です。自宅で介護生活を受けている高齢者、あるいは老人ホームなど施設に入所している要介護高齢者に対する歯科診療は、絶対数が不足しているのが現状です。

特に介護保険における居宅療養管理指導では、歯科医師による実施は4.0%、歯科衛生士による実施ではわずか2.7%と、極めて低い割合が露呈されています。特に在宅による歯科診療は減少傾向にあると言われています。
歯科医師は日々の診療で手一杯で、ニーズがあるにも関わらず訪問歯科に何時間も時間をかけることができない、という人も少なくないはず。そこで女性歯科医師の活躍の場として訪問、在宅歯科診療が大きく注目されています。

そしてその重要な役割を担うのは、女性歯科医師がとても適しているのではないかと言われています。育休後の復帰などでパートとして勤めやすいという事情を除いても、女性歯科医そのものが求められているのです。


女性目線ならではの柔らかい対応、細かな気配り

在宅、訪問歯科の必要性

女性の多くは妊娠、出産あるいは両親の介護など、人生のライフイベントに応じて様々な経験をします。特に介護を経験している女性歯科医師は、自身の経験から接し方などといったきめ細やかな対応が期待できるのではないでしょうか。女性ならではの柔らかな応対、細やかな目線や気配りを生かすことのできる訪問、在宅歯科診療は主に以下のような内容です。

■口腔内ケア(口腔内清掃、義歯清掃など)
 口の中の状態に合った歯ブラシやスポンジブラシなどを利用し、口腔内を清掃すること  で清潔な口腔内を整える。また義歯にこびりついた汚れなどを洗浄することで、義歯の清潔を保つ。

■口腔リハビリ(口の周りの筋肉や舌のトレーニングなど)
 口の周りにある筋肉の運動、また舌の動きを活発にさせるためのトレーニングを行い、咀嚼力の回復や嚥下をスムーズに行えるようにする。

■食事の支援
 持ちやすい・食べやすいなど食事を行いやすくするサポートを行う。

■虫歯、歯周病、義歯調整などの歯科治療
 ポータブル式タービンなどを使った虫歯治療、ハンドスケーラーを用いた歯石除去をはじめとした歯周病治療や、義歯の調整を行うことで口腔内の健康を整える。

特に在宅歯科診療は生活環境が関わるところが大きく、そういった状況を理解するとともに患者の口腔内の悩みに寄り添った適切なアドバイスを送ることで、親しみを覚えてくれることも期待できます。このように、女性ならではの親しみやすさを生かした訪問、在宅歯科診療は、とても女性歯科医師に適していると言える分野なのです。


増える傾向の女性歯科医師と高齢者

今後、女性歯科医師の数は増加傾向にあると予想されています。そして高齢化社会は止まることを知らず、ますます高齢者は増加の一途をたどると言われています。これに比例するように、訪問・在宅歯科診療の需要も増えることが考えられます。

働く女性特有のライフイベントによる生活スタイルの変化により、これまでと同じフルタイムでの勤務が難しい場合。無理に歯科医院内での勤務を選ばなくても、このような働き方で女性歯科医師は働き続けることが十分可能です。常勤に捉われず、パートとして存分にスキルが発揮できることが期待できる訪問・在宅歯科診療はむしろ、女性歯科医師が中心となる活躍の場として今後さらに大きな注目を集めるのではないでしょうか。


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