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気になるアレコレまとめました!医師の為の歯科コラム
歯科コラム

早めの準備がおすすめ|女性歯科医師の人生設計

現在、全国の歯科医師に占める女性歯科医の割合は約20%となっており、29歳以下ではなんと約40%が女性歯科医となっています。これからの歯科業界にとって、女性歯科医師の活躍は必要不可欠となっていくでしょう。
しかし、男性歯科医師に比べて、女性歯科医師が順調にキャリアアップし、生涯歯科医師を続けていく事は難しいと言われているのが現状です。
女性歯科医師の人生設計にはどのような選択肢があり、その準備としては何が必要なのでしょうか。

女性歯科医師として働き続ける事の難しさ

女性歯科医師として働き続ける事の難しさ

なぜ、女性歯科医師が順調にキャリアアップし、生涯歯科医師を続けていく事が難しいのか、それは結婚、出産、育児という人生最大のイベントがあるからに他なりません。
開業するにしても、勤務医として働き続けるとしても、結婚や出産を希望するならば、仕事との両立を考える事が非常に重要になります。

■歯科医師としての人生設計
歯科医師にとって、6年間大学に通い、卒業後研修を終えてようやく働き出す20代後半は、修行の期間と言えます。通常の治療業務と平行して、最新の知識や技術を習得しなければならず、多忙を極めます。その結果、歯科医師の結婚は晩婚傾向にあり、30代でやっと一人前になった頃に結婚のタイミングを迎えます。
女性歯科医師が結婚した場合、パートナーの仕事に対する考え方がキャリアに影響を与える場合や、パートナーに異動による転勤があった場合の事も考えなければなりません。
さらに、女性歯科医師の場合は、タイムリミットがある出産のタイミングを考える必要があります。結婚、出産は、女性歯科医師としてのキャリアをどうするのか、人生における大きな分岐点となります。

■女性歯科医師の離職年齢
厚生労働省調査「女性歯科医師の活躍のための環境整備等に関する調査報告」によると、女性歯科医の離職年齢で最も多かったのは30代でした。子供を持たない女性歯科医師の離職率が6.9%に対し、子供を持つ女性歯科医師の離職率は高く、62.6%でした。このデータから子供を持つ女性歯科医の6割強は、出産、子育ての為に一旦職を離れている事が分かります。


出産を希望する場合の人生設計

結婚し、子どもを持たない場合は、出産、子育てによるブランクの心配はありません。
一方、出産を希望する場合は、さまざまな選択肢が出てきます。
そして、出産、子育てと仕事を両立する場合は、家族や勤務先など、周囲の協力が必要不可欠になります。

■出産のタイミングを決めるのは難しい
妊娠は、希望するタイミングで出来るとは限りません。場合によっては不妊治療が必要となり、治療中は仕事に専念できない時期もあります。
また、妊娠中はつわりなどによる体調の変化が激しいので、自分で思っているような働き方ができない場合があります。

■出産後の復職について
勤務している歯科医院で育児休暇を取り復帰するのか、もしくは妊娠を期に退職するのか。育児休暇を取るのであれば期間はどれくらいか。退職するのであればどのような形で復職するか、自分の希望するキャリアに照らし合わせて考える必要があります。
復職した場合、パートナーと家事の分担について話し合う事や話し合う事はもちろん、勤務医であれば歯科医院側の意向も聞きながら話し合っておく事が大切です。

■子育てについて
子どもの預け先について、祖父母や保育園など、どこに協力を求めるか決めておく事が必要です。さらに、子どもが急な病気の場合の預け先も確保しておくと安心です。
子育てに関しては、みんなで子どもを育てていくと考え、周りにたくさん助けてもらう必要があります。子どもは環境の変化に敏感で、特に母親と離れる事に大きなストレスを感じる事が多く見られます。復職前から子どもを預け先に慣らしておき、復職した事で、子どもを取り巻く環境が急激に変化しないように準備しておきましょう。


仕事と子育てをうまく両立するには

仕事と子育てをうまく両立するには

■復職のタイミングを焦らない
出産後の女性の体は、自分が思っている以上にダメージを受けています。それに加えて子どもの世話や家事に追われるので、まずは体調を万全に整え、ある程度の生活リズムを掴んでから復職する事をおすすめします。勤務時間についても、最初からフルタイムで働くのではなく、子どもの様子や自分の体調をみながら、少しずつ時間を延ばしていく事が理想です。

■無理のない働き方を考える
子育てなどによるブランクは、長くなればなるほど復職が難しくなります。日々治療技術は進歩しているので、今持っている知識や技術はどんどん古くなっていきます。しかし、少しずつでも臨床の現場に関わっていれば、その心配はありません。パートとして午前中だけ、午後だけなどの短時間の勤務や、週に1、2回といった勤務体制で働く事も選択肢としてあります。歯科医院によっては、忙しい時間帯だけ医師を増やしたいと、パートの勤務医師を募集しているところもあります。

■全てに完璧を求めない
歯科医師の仕事は、責任もプレッシャーも大きい仕事です。それに加えて家事や育児にも完璧を求めてしまうと、結果的に自分を追い込んでしまい、仕事を長く続ける事ができなくなってしまいます。

女性歯科医だからこそできる仕事

現在、歯科業界の動きは治療中心から予防歯科、小児歯科、そして高齢化社会の象徴とも言える訪問歯科へと変化しつつあります。小児歯科においては、自身が子供を持つことにより、子供への接し方や、保護者に対してのアドバイスなど、新たな目線で治療を行うことができます。また訪問歯科は、これからの高齢者の健康を支えるために欠かせない業務です。男性には真似できない、女性ならではの柔軟さ、優しさを生かすことで、これまでのスキルがさらに生かせる事が期待されます。

働く女性にとって、結婚や出産のタイミングを考える事は悩みの種でもあります。
しかし、歯科医師は独立開業が可能であり、勤務時間がさほど不規則ではないので、働き方を選びやすい職種であるといえます。周囲の理解とサポートさえあれば、仕事と育児を両立する事は可能です。その為には女性歯科医師としてどのようにキャリアを積んでいきたいのか、早い段階で人生設計を立てて準備をしておく必要があります。
女性ならではのライフイベントを前向きに捉え、出産や子育ての経験を強みにして、自分らしい働き方を見つけたいですね。


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