歯科恐怖症の女性患者が女性歯科医師を求める理由
どんな人でも歯科の予約を取って来院することは多少の緊張感があります。ですが不安な気持ちがありながら歯科を受診するすべての人が歯科恐怖症という訳ではありません。歯科恐怖症に当てはまるのは一部の人たちだけです。
歯科恐怖症を知る
簡単に言うと、歯科恐怖症とは患者が歯科受診に対して極度の不安を持っているゆえに歯科受診ができなくなることです。単に歯科医院に行くのがこわいという意味ではありません。主な症状は、歯科受診を想像するだけで胸がドキドキする、気持ち悪くなる、呼吸がうまくできない、めまい、大量の汗をかく、震え、パニック状態などです。歯科恐怖症を発症する原因としては、過去に歯科を受診して痛かったり怖かったりしたから。または、過度の恐怖心などが考えられます。歯科恐怖症の患者にとって歯科受診には大きな困難が伴います。歯科治療中の不安や緊張を人一倍感じることは言うまでもなく、恐怖心ゆえに歯科医院に通院することも難しくなります。
歯科恐怖症患者が歯科受診する流れ
患者が歯科恐怖症でも、事前に策を講じておくことによって受診することは可能です。歯科恐怖症である患者自身の視点からどのように歯科受診できるかを事前に、また具体的に知っておくなら、歯科従事者としての歯科恐怖症に対する理解を深めることができます。最初に初診の予約を取った時点で、自分が歯科恐怖症であることをあらかじめ話しておく患者もいるかもしれません。では実際に来院してきたら、歯科恐怖症患者はどのように歯科を受診したいと思っているのでしょうか。
■事前に歯科医院の歯科恐怖症に対する取り組みをきく
まずその歯科医院に通いはじめる前に、歯科恐怖症患者は自分にあった歯科医院を選ばなければいけません。歯科恐怖症に対して歯科医院側がどんな対策を講じているのか知り、もし歯科医師が治療計画などを丁寧に説明してくれるなら通院したいと思うかもしれません。仮に今後、治療を継続することが無理だと思った場合も無理強いはせず、患者の意思を尊重するつもりでいるということも説明すると、歯科医院また歯科医師としてさらに信頼を得られるでしょう。
■自分の症状を説明する
それから患者は自身の口で自分の歯科恐怖症がどんなものなのかを歯科医師に説明します。まだ分からないのだがもしかして歯科恐怖症かもしれない、という人もそのことを伝えます。この時、患者にとっていつどういった場合に、どのような形で症状がでるのか、些細なことも含めて事こまかに説明する時なので、よく患者の話に耳を傾け理解するべきです。もし患者が症状の具体的な部分を歯科医師に伝えることをためらってしまうとそれから始まる治療に支障をきたす可能性があるので、歯科医師の真剣に患者に接する態度が重要です。
■治療中の共通のサインを決めてから治療する
「痛かったら左手をあげる」「うがいしたい時は診療台を左手の指でたたく」などの具体的なサインを決めておきましょう。治療中でも自分が苦しいと思ったらいくらでも中断できると知っているなら、患者は恐怖心をいくらかやわらげ、安心して治療に臨めることができます。決めたサインは歯科医師や歯科衛生士、アシストに付く歯科助手にも共有させます。
女性の歯科恐怖症患者の求めるもの
女性には女性特有の悩みや不安があります。特に歯科恐怖症の女性なら、過去に歯科受診した際に男性歯科医には言えなかったこと、さらには口の中を見せたくなかったこともあるかもしれません。どれだけ技術的に優秀な歯科医と分かっていても、男性歯科医の前では圧迫感や威圧感に押しつぶされるそうで、口の中の悩みを言いだせません。女性歯科医と話せる時になってやっと心を開いて言い表せるものです。彼女たちにとって歯科治療の結果は実はそれほど重要ではありません。自分が治療の前や治療中に感じる様々な不安や心配を理解し、察してほしいという気持ちのほうが大きいのです。
女性歯科医にできる対応
歯科恐怖症患者が来院した際には上記のことを総合的に踏まえた上で治療していく必要があります。では女性歯科医として、さらに具体的にどんな風に女性の歯科恐怖症患者に対応できるでしょうか。
■話しやすい雰囲気をつくるよう心がける
女性歯科医の中にもいろいろなタイプの人がいます。カリスマ的な存在感を放つ人もいれば、言葉数は多くなくてもそばにいて癒される雰囲気を持っている人などもいるでしょう。どんなタイプに当てはまるかに関係なく、女性歯科医が求められている理由は同性の患者にとって話しやすい、緊張させない落ち着く人であるからです。女性同士の同じ感覚を持っているという土台ができている上で、治療に対する心配や不安感などの些細なこともこの人は理解してくれるという安心感が女性患者に必要なのです。よく患者の話を聞き、共感し、自分もそうだという点が伝わるように接しましょう。
■丁寧な診療
歯科恐怖症の患者の場合は特に言えることですが、口腔内というデリケートな部分なのに雑に治療されてしまったと思うと、その歯科医にまた治療してほしいとは思いません。また女性歯科医には女性本来の手先の器用さなど、男性にはない部分を兼ね備えた繊細な治療が期待されています。普段の治療よりも神経を使うかもしれませんが、口腔内の手指一本一本の動きや置き方、触れ方なども含め、少しでも不快に思われないように丁寧に治療を進めていくべきです。
■歯科衛生士と協力する
歯科医という人そのものに対して恐怖感を抱いている患者であるなら、先に歯科衛生士と話してもらうようにすることもできます。歯科衛生士に対してはそれほど緊張することなく自分の言いたいことを言える、という患者も少なくありません。歯科衛生士に先に話してもらう理由は、女性歯科医も歯科衛生士と同じように打ち解けて話せる人なのだと分かってもらうためです。衛生士と同じように女性歯科医も気持ちを察して接してくれるのだとわかるようになると、その後も徐々に歯科医に慣れていきやすいでしょう。
歯科恐怖症患者にも信頼される雰囲気づくり
女性の歯科恐怖症患者が女性歯科医に診てもらいたいと思うのは、男性にはない心遣いを求めているからです。技術よりも医師としての人柄を重視している患者にも選ばれるように、安心感がある、居心地の良い歯科医院の雰囲気をつくっていきましょう。