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歯科コラム

アスリート専門の歯科医師として他院と差別化|スポーツデンティストの資格

「スポーツデンティスト」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。スポーツドクターやスポーツトレーナーなどと比べてあまり耳慣れない言葉に思われますが、これは歯科医師がスポーツに携わる人たちの口の中と歯の健康管理を行い、最高の結果を出せるようにサポートするスペシャリストのことです。特にアスリートにとって噛み合わせは大変重要であり、少しのズレや違和感で、持っている力が出し切れないことがあるのです。最近ではスポーツデンティスト専門の歯科医師が常勤する歯科医院も存在し、他の一般歯科との差別化を図っているところも見られます。アスリートにとって歯は命です。このアスリートたちを支えるスポーツデンティストについて、詳しくみていきます。

スポーツデンティストと資格

スポーツデンティストと資格

スポーツデンティストとは、日本体育協会、日本歯科医師会が認定しているメディカルコンディショニング資格を保有する歯科医師のことです。一般的に、歯科医師免許取得後4年を経過しており(平成24年4月1日以前に取得)、都道府県歯科医師会、または日本スポーツ歯科医学会および日本体育協会加盟競技団体より推薦された人が受験し、医科とスポーツ歯科医学の養成カリキュラム(計46単位)を修了後、審査を通ると資格が得られ、スポーツデンティストとして認定を受けることが出来ます。


スポーツデンティストの役割

スポーツデンティストの役割

スポーツデンティストの役割は、資格を持った歯科医師によるスポーツ選手やアスリートなどの負傷予防や外傷の診断、スポーツ医学の研究や教育、布教活動などです。アスリートやスポーツ選手のデンタルチェックや虫歯、歯周病など一般的な歯科疾患、応急処置や治療など歯科全般サポートします。またスポーツ外傷による歯の破損や顎骨の骨折などの応急処置や治療などを行います。

各都道府県歯科医師会が独特の取り組みを行なっており、アスリートやスポーツに携わる人の口の中の管理を行っています。例えば岡山県歯科医師会では、スポーツデンティストの有志が集まり、「アスリート・サポートセンター」を立ち上げ、サッカーチームなどの診察や噛み合わせなどのチェックを行なっています。

中には、自分自身がスポーツの最中に口腔内に怪我を負った経験がきっかけで、アスリートの怪我の予防に関心を持ち、スポーツデンティストの資格を取ろうと思ったという歯科医師もいます。

また超高齢化社会を迎えている今、いつまでも健康であるために運動は不可欠です。生涯を通じてスポーツを楽しみ、健康を守るためには口腔内が健康であることが最重要です。スポーツデンティストはアスリートだけでなく、生涯を通じた健全なスポーツ活動を通じて健康寿命延伸のお手伝いすることも目的としています。歯科医師がスポーツデンティストという資格を持つことでこのような側面から健康をサポートするのです。

アスリートは歯がとても大切

アスリートは歯がとても大切

近年、スポーツにおける歯科の重要性がとても高まっています。平成23年8月に「スポーツ基本法」、また平成24年4月に策定されたスポーツに関する基本計画に「歯学」「マウスガードの着用に効果の普及啓発を図ること」といった基本方針が明記されています。
これはスポーツにおいて噛み合わせなど、口腔内の状態が競技の結果を大きく左右することを意味しているものと思われます。アスリートが最高の結果を出すためには、口腔内の状態を整えることが重要で、虫歯や歯周病などの一般的な治療はもちろん、歯並びや噛み合わせの調整も行ないます。噛み合わせは特に重要で、噛み合わせがズレていると脳の働きが鈍くなり、集中力が低下すると言われています。また野球のフルスイングなど、瞬間的な力を必要とする競技は奥歯を噛み締めることで力を発揮することが多いため、自分の体重以上の力がかかってしまいます。このとき奥歯にかかる負荷は相当なため、奥歯が健康でないと、噛み締めたときの力に負け、歯が割れたり砕けたりする恐れがあります。そのためにマウスガードを装着することがありますが、このマウスガードは衝撃から歯を守るだけでなく、噛み合わせを調整する役割も持ち合わせています。スポーツに怪我はどうしてもつきものですが、ラグビーやバスケットボールなど、接触の多いスポーツでは歯の破損などの危険性が高まります。口腔内を守るためにもマウスガードは必需品です。アスリートが持つ力を最大限に引き出すためにも噛み合せは非常に大切であり、その噛み合わせを守り、怪我を避けるためにマウスガードを作成し、その効果を普及することもスポーツデンティストの大切な役割です。


増えつつあるアスリートのための歯科医院と歯科医師

増えつつあるアスリートのための歯科医院と歯科医師

最近では、スポーツ選手やアスリートの間でも歯と口腔内のコンディションを整えることは、競技の成績や記録と重要な関連性があることに関心が高まっています。そしてスポーツ選手やアスリートに特化した歯科医院も増えてきました。一流のアスリートは自分の歯をとても大切にし、海外で活躍するプロの日本人選手も帰国をした際に、かかりつけの歯科医院でスポーツデンティストによるデンタルチェックを行なっています。こういったこともあり、スポーツデンティストが在籍する「スポーツ・アスリートのための歯科」「スポーツ歯科外来」などという名称で通常の歯科治療に併設されるところが多く見られます。保険診療ではなく、自費治療が主で、料金は歯科医院により様々です。パノラマレントゲン撮影 咬合力測定 身体重心動揺度検査、マウスガード作成の型取りなどといった検査項目を行なうことが多いようです。
またスポーツデンティストの資格を持つ歯科医師は、日本スポーツ歯科医学会の認定医としてマウスガード製作の実習や講習会などで講師を務めるなどの活動も行なっています。
2020年には東京オリンピックが開催されることが決定しており、ますますスポーツデンティストやスポーツ歯科の需要が高まっています。


まとめ

このように、アスリートが自己の力を最も発揮する環境を作り出すために、スポーツデンティストと連携することはとても有効手段です。そして私たちの生涯の健康を支えるためにも、スポーツデンティストとの関わりは今後さらに深くなっていくでしょう。


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