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気になるアレコレまとめました!医師の為の歯科コラム
歯科コラム

歯科医師にもある専門医療制度と各種の紹介

一昔前は、専門的な分野は歯科大学等研究機関で科に分かれており、一般的な歯科医院ではひとつの分野に特化して診療するということはほぼありませんでした。昨今、歯科業界は医院数過多が問題視されています。開業医も専門性を持った歯科医院を打ち出し、生き残りを図らなければ難しい時代になってきています。そこで歯科業界での「専門医療制度」を詳しくひも解いてみることにしましょう。

歯科医院での標榜における歯科医師の「専門医療制度」とは

歯科医院での標榜における歯科医師の「専門医療制度」とは

・歯科医院の標榜について
一般的に歯科医師免許があれば、開業する際の標榜科名は自由に標榜できます。現在、「歯科」「歯科口腔外科」「矯正歯科」「小児歯科」の4科の標榜が認められています。
これらは法的な拘束力を持つ資格があっての標榜ではないため、特に専門性がなくても掲げている歯科医院もあるのが実状です。

・歯科医師の「専門医」のありかた
歯科医師免許は他分野の医師と違い、診療科ごとに分かれて交付されません。そこで、各診療分野の学会が専門分野のスペシャリストとしての認定を行っています。現在「専門医資格」の他に、「学会認定専門医」「認定医」「指導医」などがあります。これらの資格を取得し、どのように活かしていけばよいのでしょうか?

・専門医資格所有のメリット
平成14年、広告規制の緩和により、専門医としての広告を出すことが可能になりました。標榜科名は自由に掲げることができますが、専門医資格については、各学会から認定された「専門医」資格を持っていないと広告できません。それゆえ患者の選択肢としても有意であり、医院側としては専門性の高い歯科医院である証明になります。差別化の意味も見出すことができる制度であるといえるでしょう。

歯科医師の「専門医資格」の分類

歯科医師の「専門医資格」の分類

・「登録医、専門医、認定医、指導医」別概要
歯科医師の専門性はいくつかその呼び名が分類されています。それぞれに認定する機関や認定方法が異なります。その分類と違いを見てみましょう。

・学会登録医
学会に登録している歯科医師で、まだ認定を受けていない場合や、認定制度のない学会はすべて「登録医」とされています。

・学会認定医
高度な知識や技量・経験を持つ歯科医師として学会が認定。それぞれの専門系の学会で認定医となるための条件を定めています。たとえば、研修指定病院での勤務期間、学会や講演会の出席回数などです。それらをふまえ試験が行われ、合否がなされます。最近では筆記試験だけでなく、実技試験を行う学会も増えてきています。

・学会専門医
認定医よりもさらに高度な知識や技量・経験を持つ歯科医師は、学会の認定によりその分野の「専門医」と位置づけされます。
現在、口腔外科専門医、日本歯周病学会認定歯周病専門医、小児歯科専門医、歯科放射線専門医、歯科麻酔科専門医の5つの専門分野で設けられています。

・学会指導医
認定医や専門医などを指導する立場にある歯科医師として、学会が認定し専門性の高い歯科医師を生み出す指導者です。分野ごとに必ずしも存在する訳ではなく、中には専門医が認定医や登録医を指導することも含む場合もあります。

「専門医」資格の違い

「専門医」資格の違い

・「専門医」と「学会認定専門医」の違い
「専門医」は歯科医院の広告として標榜するにあたり、医療法に定められた研修体制や試験制度などの基準に適合するものとして厚生労働大臣に届け出た学会のこと。現在5団体認定されています。似た名称ですが「学会認定専門医」は、厚生労働省の未指定団体(学会)が専門医を認定するものを言います。

・厚生労働省未指定でも「専門医」と称されるのか?
未指定自体は全く問題ありません。歯科業界の開業医が専門性を持つという認識の歴史が浅く、昨今増えている診療科目数に対する厚生労働省の指定が極端に少ないためにこのようにわかれてしまっているのです。

認定資格の種類

認定資格の種類

・学会認定専門医の種類
現在、以下の5項目が、厚生労働省認定外の学会が認定する専門医資格です。
口腔インプラント専門医
口腔病理専門医
歯科保存専門医
日本矯正歯科学会専門医
インフェクションコントロールドクター

・認定医の種類
現在、以下の15項目が、「認定医」とされています。中には、厚生労働省認定の「専門医」が認定する「認定医」も含まれています。
日本矯正歯科学会認定医
日本歯科麻酔学会認定医
日本成人矯正歯科学会認定医
日本歯科審美学会認定医
日本補綴歯科学会認定医
日本口腔衛生学会認定医
日本歯科放射線学会認定医
日本障碍者歯科学会認定医
日本顎咬合学会認定医
日本顎関節学会認定医
日本全身咬合学会認定医
日本歯内療法学会認定医
日本歯科東洋医学会認定医
日本スポーツ歯科医学会認定医
日本レーザー歯学会認定医

歯科業界における専門医の現状

歯科業界における専門医の現状

・「学会認定専門医」は専門医として適切か?
学会認定専門医の中でも、主体が2つにわかれています。ひとつは「教育・研究機関」が主体である団体。もうひとつは「開業医主体」のスタディーグループ型の団体です。
もとはスタディーグループであった団体が法人化し、学会を名乗るようになって認定を行っているのが現状。そのため1人の歯科医師がいくつも専門分野での「専門医」「認定医」を名乗っていたり、「専門医」という言葉が適切なのか?という例もあります。

・医療広告に関して
開業している歯科医院の広告に関しては、管轄が都道府県になっています。そこで、インターネットなどでの医療広告は行政指導がほぼ介入していません。
現状としては、歯科医院の構造物に標榜する際は厚生労働省が定めた標榜でなければならないが、インターネット上でのHP等での広告には、未指定の専門医資格も使用可能というのが現状です。

まとめ

いまや歯科医院は、患者側がより専門的なサービスを選ぶ時代がきています。この時代の流から、歯科業界の在りかたも開業医レベルで専門的歯科医療を受けることができるようにならなければ厳しい状況です。
このような時代背景も考慮し、歯科業界も医科業界と同じように患者側・歯科医院側双方が解りやすい制度であるべき時が来ているのではないでしょうか?一日も早く、厚生労働省認定の専門医資格が増えることが期待されます。

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