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気になるアレコレまとめました!医師の為の歯科コラム
歯科コラム

歯科大学入学から歯科医師になるまでの道のり

歯医者を取り囲む環境は年々厳しくなっています。歯科医師過剰問題としてメディアに報じられて以降、国も歯科医師数を減らす方向で方針転換を始めました。

しかし、歯医者を誕生させる大元である歯科大学の入学定員や歯科大学数には変化がありません。とは言っても歯医者はこれからの時代医師よりも必要とされます。これは決して歯科大学に通わせたいというわけではなく事実だからです。今の時代に歯医者という選択肢を選ぶ学生諸君に幸多かれと願ってこの記事を書きます。歯医者が誕生するまでの6年間が皆さんに伝われば幸いです。

歯科大学は入るのが簡単で出るのが大変

歯科大学は入るのが簡単で出るのが大変

歯科大学はアメリカの大学の典型的な逆パターンです。アメリカの大学は入学するのが大変ですが修業年数をクリアすれば卒業は容易にできます。
歯科大学は入学するのが簡単になっている傾向があります。その背景には冒頭の報道による歯医者不人気があります。「歯医者は食べていけない」「歯医者はワーキングプア」という偏った情報が歯科関係者のいない家庭へ流れると歯学部は将来大変な思いをするからやめておこうとなります。

また入るのが簡単な理由は学費面でも言えます。私立歯学部の学費は平均6年間で3000万円でした。それに下宿先の生活費も含めると6年間で4000万円~5000万円まで膨らみます。奨学金機構でも歯学部には満額で1200万円までしか貸付をしていないので残りの金額を弾き出しても支払うことができる過程は限られてきます。

1990年代から2000年代までは順調に入学者数も確保していましたがリーマンショックで入学者数にも変化が出ました。リーマンショック以降は実際に銀行も歯医者への新規開業資金を貸し渋るようになり、そしてあの報道です。
入学者数は一気に落ちてしまいここ10年弱は入学者数の定員割れを引き起こしている歯学部も少なくはありません。

歯学部を卒業すれば歯医者の国家資格がもらえると思っている人がいますが、間違いです。歯学部を卒業してもらえるのは歯科国家試験の受験資格だけです。国家試験を受ける権利しかもらえません。

通常の大学であれば卒業するまでにゼミに入り研究をして卒業論文を書いて受理されれば卒業ですが、歯学部に卒業論文なんて言葉はありません。卒業論文の代わりに卒業試験があります。しかし、この卒業試験が問題になっているのです。

卒業するのは茨の道

歯学部を卒業するのは非常に厳しい時代になっています。その理由として国家試験の合格率が関係してきているのです。街中にある予備校や塾で「県立高校進学率県内No.1」や「◯◯高校合格率◯%」といった広告を見ませんか?
あの広告はこの予備校からならどこの学校へ何パーセント程度で受かるんだなと一般の人へ周知させるためのものです。

歯学部も歯科国家試験の合格率が何パーセントなのかというのを新入生獲得のツールとして活用しています。
そのため数字のトリックを使って合格率が高くなっているかのように見せかけているのです。

実際には150名ほど6年生がいても国家試験会場へ行けるのは60名前後だと思ってください。そして60名のうち55名合格すれば驚異の合格率90%越えとなるのです。その線引きをするのが卒業試験です。卒業試験はグレーな問題が多く、正答率を下げることで誰が卒業しても・誰が卒業できなくても文句が出ないようにしておく悪徳大学もあります。

では、残りの90名は全員留年するのでしょうか?今までは卒業できなければ留年してやり直しでしたが、近年はそうでもないようです。国家試験を受験できなかった人の中から卒業できる人を選抜する試験を行います。その試験からも漏れてしまうと留年となるわけです。

歯学部の良いところ

歯学部の良いところ

歯学部の良いところは先輩・後輩関係が密になっているというところです。中でも全日本歯科学生総合体育大会(通称・デンタル)と呼ばれる大会が夏と冬の競技に分かれて行われます。全国の歯学部学生間の交流を目的として行われていて、歯学部生の約60%程度は何かしらの部活に所属しています。
その部活動の先輩・後輩のつながりは特に強く歯医者になっても繋がっていることが多いです。

歯学部で大変な事

やはり一番大変なのは勉強面です。勉強面では遅れてはいけないので予習や復習をする時間を確保しておきましょう。
さらに実習も学生生活の中で大変だった事トップ3には入ります。実習は基礎実習と呼ばれる模型を使った実習と病院実習と呼ばれる実際の患者さんを相手にする実習に分けられます。

基礎実習は矯正治療や入れ歯作り・歯を削る実習など歯医者さんになるための実習です。病院実習は実際の患者さんの入れ歯を直すこともあれば歯を削り実習することもあります。

これらに対して実習前に手順の確認をしておき実習後にフィードバックをもらい反省をしていると時間はあっという間に過ぎてしまいます。
病院実習の際は遅い学生で22時近くまで学校に残ることもあるのです。
歯医者という職業は現在強い向かい風の中にありますが、この先は必ず必要とされる職業です。もし、志す人がいれば頭が割れるほど勉強に精進してください。

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