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気になるアレコレまとめました!医師の為の歯科コラム
歯科コラム

増え続ける歯科医院。歯科医師が生き残るための選択肢

もう10年以上前から「歯医者は開業するだけでは稼げない」といわれ続けています。歯科医院が乱立し「正直しんどい」と感じている院長も少なくないでしょう。
しかし、過当競争に打ち勝つための「当たり前の取り組み」すらしていない歯科医師が意外に多いのも事実です。つまり、工夫をすれば、歯科医院が売上を伸ばすことはまだまだ可能です。
「歯科医師が生き残るための選択肢」を紹介します。

「数字」で危機をとらえる

「数字」で危機をとらえる

「危機感を持っている」「患者確保が大変だ」という歯科医師は多いのですが、その危機を数字でとらえている院長は多くはありません。

例えば歯科医師で「歯科医院がコンビニより多い」ということを知らない方はいないでしょう。しかし、どれほど多いのかご存知でしょうか。
答えは、歯科医院はコンビニの1.6倍もあります(2011年)。

また「歯科医師は供給過剰」といわれています。これも、どれくらい過剰なのかご存知でしょうか。
国内の医学部の定員は内科から外科まですべての診療科を合わせても9,000人にすぎませんが、歯学部は「単科」にも関わらず定員は2,500人にもなります。

このように数字で危機的状況を「見える化」しないことには、現在は把握できません。現状を把握できないと、目標も立てられません。目標が立てられないと、対策の打ちようがありません。
対策に乗り出せないということは、現状のままということです。
現状を変えたい歯科医師は、まずは「数字」をつかみましょう。


どの数字を把握すべきか

危機感を持った歯科医院院長が数値化すべき事項は次のとおりです。
●3年前と現在の患者数、患者単価、1回当たりの治療時間
●3年前と現在の売上高、人件費、医材料費、利益
●3年前と現在の市町村内の歯科医院の数
●3年前と現在の市町村内の人口と人口構成

まずは3年前と現在の比較だけで十分です。上記の数字を拾い集めるのは、院長1人では大変なので、歯科衛生士や事務員に手伝ってもらいましょう。
またスタッフに数字拾いを手伝ってもらうことで、クリニック内で危機感を共有できるようになります。


数字をどう使うのか

拾い集めた「自院の数字」は、目標づくりに使います。もし3年前に比べて現在の患者数と患者単価が落ちていたら、3年前の数字の「1.5倍」を目標に掲げます。
「3年前の数字に戻す」という目標ではスタッフのモチベーションが高まりませんし、「3年前の2倍にする」という目標は大きすぎてスタッフのやる気をそいでしまいます。
だからその中間の1.5倍が目標値にはちょうどよいのです。


IT投資を進める

IT投資を進める

「歯科医師が生き残るための選択肢」では、IT投資は欠かせないでしょう。電子カルテやレセコンの導入だけでは普通です。他院と差別化できません。
おすすめしたいのは、診察券の代わりになるスマートフォン上のアプリです。
例えばデンタルライトという会社が出している歯科医院向け予約アプリ「マイ・デンタル」は、予約管理をオンライン上で行うシステムです。これで事務員の作業が省力化できるので、接客に力を入れることができます。

またこのマイ・デンタルは、患者さんに診察日が近づいたことをメールで伝える機能が備わっています。メール送信はマイ・デンタルのシステムが自動に行うので、事務員の仕事は増えません。
突然のキャンセルは歯科医院に大きな損失を与えます。予約方法のIT化は、その損失を防ぐことにつながります。


治療メニューを増やす

歯科医院の売上を短期で増やす方法は、残念ながらありません。しかし売上を確実に増やす方法はいくつかあります。そのなかでも最も確実な方法は、治療メニューを増やすことです。
一般歯科しかしていない歯科医師は、インプラント治療のスキルを身につけましょう。すでに開業してしまっている歯科医師がこれからインプラント治療を身につけることには多くのハードルがありますが、それでもそれを乗り越えるだけの価値があります。

「インプラント歯科クリニックは増えているので、いまからインプラントを始めても差別化にならないのではないか」と感じる歯科医師もいると思います。
しかし多くの患者さんはインプラント治療をしていない歯科医院に対し「これだけ一般的になったインプラントをやっていないということは、治療スキルが低いのではないか」と疑ってしまいます。
インプラント治療は1件の売上高が大きいので、インプラント患者の人数が少なくても経営への貢献度は高くなります。インプラント治療で経営が安定すれば、保険を使った一般歯科治療に力を入れることもできます。

また同じことは「インプラント治療に特化したクリニックを開業したい」と考えている歯科医師にもいえます。
多くの患者は、保険診療を一切やらずにインプラント治療しか行わない歯科医院に違和感を持ちます。「金儲け主義なのではないか」と思われてしまったら、患者さんは集まりません。
そこで保険診療の一般歯科治療にも力を入れると、「さらに噛み心地を改善するにはインプラントという選択肢もありますよ」とおすすめすることができます。


選択肢が増えると患者さんは他院と比べなくなる

治療メニューを増やすと、患者さんに多くの選択肢を与えることができます。
患者さんは常に「最もコスパがいい歯科治療」を探しています。そのような患者が、選択肢が少ない歯科クリニックにかかると、「他院はどうなのだろうか」と考えるようになります。
しかし1つの歯科クリニックが1人の患者に複数の治療方法を提示できると、患者さんはそのなかから選ぶようになるので、他院と比較しようという気持ちが薄れます。
これが治療メニューを増やす意義です。


予防歯科治療に力を入れる

予防歯科治療に力を入れる

マスコミの影響で、国民の間に「予防歯科に力を入れている歯医者さんは間違いない」という意識が広がりつつあります。
かつて予防歯科治療は、医療保険が使えないうえに歯を削るといった大きな治療をしないので、歯科医師がすすめても断る患者が少なくありませんでした。
しかしあるテレビ番組が、予防歯科治療によって地域住民の歯の健康を守っている歯科クリニックを取り上げたところ、大きな反響がありました。
健康意識が高い層はいま、予防歯科に高い関心を持っています。
そのため、歯科医師が予防治療に力を入れることは、「優良患者」の獲得につながります。


まとめ~オーソドックスな方法で新機軸を打ち出す

まったく新しい取り組みをすることはコストも労力もかかりますが、すでに世の中にあるものを自院に取り込むことはそれほど難しいことではありません。
しかし、例えオーソドックスな治療であっても、治療の種類が多い歯科医院は患者さんの支持を集めやすいのです。差別化の第一歩は「ライバルがやっていることはすべてやる」ことなのです。


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