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気になるアレコレまとめました!医師の為の歯科コラム
歯科コラム

歯科医師臨床研修指導医と施設の基準とは

平成18年4月から必修となった歯科医師臨床研修制度について、歯科業界で活躍されている方であればご存知の制度だと思います。しかし受け入れるための指導施設ついてや、指導する側である指導医についてどれくらいご存知でしょうか。今回は臨床研修を受けるための指導施設や臨床研修指導医になるための基準施設についてまとめました。また、その制度を通じて受け入れ側である指導施設側のメリットなどもあわせてご紹介します。

法改正により必修化された「歯科医師臨床研修制度」とは

法改正により必修化された「歯科医師臨床研修制度」とは
まずは平成18年4月より義務化された「歯科医師臨床研修」について、その詳細や臨床研修先についての概要を理解しておきましょう。

■歯科医師臨床研修について
法改正に伴い、歯科医師法第16条の2第1項において診療に従事しようとする歯科医師は、歯科医師臨床研修を最低でも1年以上受けることが必須となりました。歯科医師の資格を取得した者が、そのまま臨床現場に出るのではなく、1年以上の臨床研修を積むことで知識と技術の向上や臨床対応力を培うために行われるものです。

■歯科臨床研修はどこで受けるの?
臨床研修先としては、歯学もしくは医学を履修する課程のある大学に附属する病院か、もしくは厚生労働大臣の指定する病院および診療所があります。このように厚生労働省が認定している施設で受けることが義務づけられています。厚生労働省のホームページで確認できますし、指導施設のプログラムと研修希望者および研修施設の希望を踏まえ、一定のアルゴリズムに従ってコンピュータによって組み合わせを決定する「マッチングプログラム」というシステムを使う方法もあります。

歯科臨床研修指導のための指導施設になるためには

歯科医師臨床研修施設として指定を受けるための指導施設として歯科診療所が選定されるのですが、手を挙げた診療所ならどこでもOKというわけではありません。歯科医師や歯科衛生士の在籍数や設備の充実度、これまでの実績など、厚生労働省の定めたさまざまな難しい基準をクリアしなければ認定されないのです。

■まずは診査を受けるための申請書作成を行います
開業歯科医院が臨床研修施設となるには「単独型臨床研修施設」という区分となり、指定を受けるためにはまず、開始しようとする年度の前年度の6月13日までに16項目もの申請書を厚生労働大臣宛に提出しなければなりません。

■申請書に関する必要事項
・開設者の氏名および住所(法人の場合主たる事務所所在地)
・管理者氏名
・医院名称および所在地
・歯科医師の人数
・診療科名
・病床の種別ごとの数
・前年度の(診療科ごとに)入院および外来患者数
・前年度の(病床の種別ごとに)平均在院日数
・臨床研修実施に関して必要な施設および設備の概要
・研修管理委員会(臨床研修の実施を統括管理する機関)の構成員の氏名、所属する団体の名称、当該団体における役職名
・研修プログラムの名称と概要(臨床研修計画)
・プログラムの責任者(企画立案、管理、研修歯科医に対する助言や指導を行う者)の氏名
・指導する歯科医の氏名および担当分野
・研修歯科医の募集定員と採用方法
・研修歯科医の処遇に関する事項
・その他臨床研修実施に関して必要な事項
※これらの項目に関して必要事項を記載し、厚生労働省に指導施設として適合していると認められることが条件となります。

■指導施設には「臨床研修指導医」が常勤している
厚生労働省より歯科診療所が指導施設として認定されるための難しい基準のひとつとして、臨床研修指導医の資格を持った歯科医師が常勤していることが含まれます。そこで、診療所の院長もしくは勤務医が、臨床研修指導医になるための基準をクリアすることも必要になります。

歯科臨床研修指導医になるためには

歯科臨床研修指導医になるためには
それでは「歯科臨床研修指導医」になるためにはどうしたらよいのでしょうか。判定の基準や、資格を得るために行うことや学ぶことができる施設などをご紹介します。

■歯科臨床研修指導医になるための基準
臨床研修指導医になるための基準には、2つのパターンがあります。
①7年以上の臨床経験を有し、指導歯科医講習会を受講した歯科医師。都道府県の歯科医師会会長による推薦があることが望ましい。
②5年以上の臨床経験と日本歯科医学会・専門分科会の認定医・専門医の資格を有している歯科医師。
※指導歯科医講習会は以下の条件を満たしたもの。
・財団法人歯科医療研修振興財団主催の講習会
・「歯科医師の臨床研修に係る指導歯科医講習会の開催指針」(平成16年6月17日付・医政発第0617001号)に則り開催された講習会

歯科臨床研修指導施設として認定されることのメリット

厚生労働省の指導施設基準をクリアできれば、個人の歯科診療所でも歯科臨床研修医指導施設として指導施設認可を受けることができます。この改革で診療所が指導施設となることは、単に「新米歯科医師を育てる施設」という役割だけではないメリットも生まれます。

■患者に喜ばれる歯科医院になる
歯科臨床研修の指導施設であるということは、それだけ高い条件をクリアし、実績もある歯科医院であるという証になります。また歯科臨床指導医がいるということも、それだけ知識や技術において信頼のおける歯科医師がいる歯科医院であるという信頼度の向上にもつながります。ひいては患者に「選ばれる」歯科医院となるでしょう。

■常勤歯科医師のモチベーションアップにつながる
日々似通ったことの繰り返しである歯科医師に起こりがちなマンネリ化によるモチベーションの低下。脱却するためには、指導施設の認定を受けることが良い効果を生み出すと考えられます。

たとえば毎年、臨床研修のために新米歯科医師を受け入れるとします。認定を受けていない歯科医師が指導医として活躍する歯科医師から受ける刺激もあるでしょうし、臨床研修医がいることで他の歯科医師や歯科衛生士をはじめとするスタッフ全体の勤務に対するモチベーションが上がる環境になると思われます。

まとめ

法改正により歯科医師臨床研修制度が必須化されたことは、新米歯科医師の知識や技術の向上、臨床現場での対応力などを上げることにつながっていることでしょう。
受け入れる指導施設も大学病院のみならず、一般の歯科医院も認定を受けることができることで、向上心の高い歯科医師にとってモチベーションアップにもなります。そして歯科医院自体のレベルも向上し、ひいては患者にも喜ばれる歯科医院へとなるでしょう。そのきっかけとして、ぜひ「歯科医師臨床研修施設」や「指導医」を目指してみてはいかがでしょうか。
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