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気になるアレコレまとめました!医師の為の歯科コラム
歯科コラム

就職難といわれているのに歯学部の就職率が高いのはなぜ?

歯科医師の需給数が多いと、ここ数年指摘されています。また、歯科診療所の数がコンビニエンスストアより多いといわれて久しくなりました。そんな歯科医師の就職状況について、実際のところはどうなのでしょうか。

歯学部の卒業後の進路はどんなものがある?

歯学部の卒業後の進路はどんなものがある?

6年間歯学部で学び、卒業試験に合格し卒業しただけでは、歯科医師にはなれません。この時点でようやく、歯科医師国家試験の受験資格が得られたに過ぎません。歯科医師国家試験に合格して晴れて歯科医師となることができます。

そして、その後に待っているのが、卒後臨床研修です。

■歯学部卒後臨床研修について
歯学部を卒業し、歯科医師国家試験に合格した後は、臨床系に進むか研究系に進むかによって進路は大きく異なります。臨床系に進む場合が多いと思われますが、研究者の道に進むとしても、卒後臨床研修は完了しておく方がよいでしょう。卒後臨床研修が終わっていないと、将来もし開業しようと思っても、できなくなるからです。卒後臨床研修が終わった後は、開業することも出来ますし、他の歯科診療所に就職する道もあります。

卒後臨床研修を受けるには

卒後臨床研修を受けるには

卒後臨床研修を受けることができるのは、卒後臨床研修の認定施設のみに限られています。認定施設には、大学病院から一般の歯科医院までさまざまな選択肢があります。それぞれの施設が独自に組むカリキュラムに沿って臨床研修をすすめていきます。

新卒歯科医師は、将来どのような歯科医師になりたいかという展望を持っているものですが、目指すべき歯科医師像を実現するために、最適な臨床研修施設を選びます。希望する認定施設で研修を受けるには、たいていの場合に試験がありますので、受験の上、合格する必要があります。

■歯科大学の歯学部附属病院
医学部附属病院ではなく、歯科大学の歯学部附属病院では、他の臨床研修施設とは比較にならないほどの研修医を募集しています。そのため、希望する臨床研修施設が不合格になった場合でも、ほとんどの場合において、入職することが可能です。ですから、研修医が無職になることは非常に稀です。

歯科医師のおかれている状況について

歯科医師のおかれている状況について

研修医の時点で無職になる可能性がかなり低い歯科医ですが、研修期間を過ぎた後はどうなのでしょうか。

■歯科診療所数とコンビニエンスストアの店舗数の比較
最近になり、コンビニエンスストアより歯科診療所の方が多いとたびたび言われる様になりました。コンビニエンスストアも開業歯科診療所も年々増加傾向にあります。その数は統計により比較することが出来ます。

1980年代後半では、開業歯科診療所数が45,000軒弱、コンビニエンスストア数が10,000軒弱でした。その後、両者とも増加傾向を続けます。最近では、開業歯科診療所数は70,000軒弱、コンビニエンスストア数は50,000軒弱になっています。すなわち、開業歯科診療所数をコンビニエンスストア数が上回ったことは一度たりとしてありません。しかし新興業種のコンビニエンスストアより古参業種の歯科医院が多いことは、昔から当然のことだったのです。

■歯科医師の勤務先
歯科医師の大多数は臨床の道を選びます。そのうち、病院に就職する歯科医師は、厚生労働省の統計によれば3%に満たない数です。一方、開業歯科診療所に勤めている歯科医師は、90,000人弱で、歯科医師全体の90%弱になります。このことから、歯科医師のほぼ全てといえるほどの大多数が歯科診療所で勤務していることがわかります。

そして歯科診療所に勤めている歯科医師の平均年齢は平成元年頃が40代半ばだったことに対し、年々高齢化の一歩をたどり、最近では60代に迫ろうとしています。

■歯科診療所の歯科医師数について
歯科診療所に勤めている歯科医師は90,000人弱ですが、歯科診療所は70,000軒弱になります。つまり、ほとんどの歯科診療所が、歯科医師数1名、すなわち開設者が単独で診療業務を行なっているということがわかります。開設者の平均年齢は統計がないためにわかりませんが、歯科診療所勤務の歯科医師の平均年齢と大差はないと思われます。

■高齢化する歯科医師
歯科医師数は、年々増加傾向にあります。最近では、100,000人ほどにもなっています。年齢階層では、50〜59歳が最も多く30%弱になりますが、その一方70歳以上は10,000人弱になります。

この統計は、診療業務に従事している歯科医師を対象にしていますので、70歳以上でもこれだけの歯科医師が業務を行なっていることがわかります。一人で開業している高齢の歯科医師の診療所では、勤務を分担してくれる歯科医を雇っているところもあります。

■女性歯科医師の増加
最近は、女性歯科医師の増加も認められます。歯科医師数の25%ほどが、女性歯科医師になります。特に、24〜39歳では歯科医師数の半数ほどにもなります。女性歯科医師の勤務先の歯科診療所では、女性歯科医師の結婚による退職や、出産に伴う産休による欠員が生じた場合、その補充が必要になります。女性歯科医師の増加に伴い、こうしたことによる勤務歯科医師の募集が増えています。

実は勤務歯科医師が足りていない

実は勤務歯科医師が足りていない

開業してしまうと、他の歯科診療所に勤めに行くことはまずありません。自院での診療のみとなる場合が、大半です。そのため、高齢のスタッフが多い歯科診療所や、勤務していた女性歯科医師が結婚退職したり、産休で休業した歯科診療所などで、勤務してくれる歯科医師を募集するのですが、なかなか集まらないのが実情です。職安での求人に加え、歯科業界紙や雑誌、インターネットでの求人広告に加え、歯科大学で求人を行なったり、歯科材料店に歯科医師の求人を頼んだりしています。しかし、こうした点は、一般的にはあまり知られていません。

■就職率が高いわけ
歯科医師数が多くなっていますが、ほとんどの歯科医師が、開業の道を選びます。その一方、それぞれの診療所では勤務歯科医師が足りていないので、その求人は比較的多くなり、歯科医師の就職率が高くなっています。

まとめ

歯科医師になるためには、歯学部を卒業した後、歯科医師国家試験に合格しなければなりません。そして、そののちに研修医として卒後臨床研修を修了しなければなりません。歯学部を卒業した場合、ほぼ全員が卒後臨床研修を受ける研修医となりますので、この時点では就職率がほぼ100%になります。

歯科診療所が増えていることは知られていますが、実際の診療所には歯科医師がほぼ1人しかいないのが現状です。日本社会の高齢化とともに、歯科業界にも高齢化の波は押し寄せています。また、女性歯科医師は増加するも、結婚退職や産休による欠員が増えています。しかしながら、開業歯科医師が多い現状では、勤務歯科医師が集まりにくいのが実際のところです。

こうしたことから、研修終了後の歯科医師の就職についても、いわゆる就職難という状態にはないでしょう。就職先が多くても、しっかりと自分に合った診療所を選ぶことが大切です。

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