歯科医師も他人事じゃない!他県への転職で忘れがちな保険医登録の変更
国家試験に合格し、歯科医師免許を取得した際、「登録」が必要なものがあります。そして、それらの登録が無いと医療行為を行えませんし、変更があった場合にはすみやかに変更手続きを行わなければなりません。ここでは他県への転職の際忘れがちな「保険医登録」の変更について、必要な手続きについてまとめました。他にはどのような場合にどんな変更が必要か、などもご紹介いたします。ぜひ参考にしてみてください。
歯科医師が行うべき「登録変更」にはどんなものがある?
歯科医師は「歯科医師免許の登録」と「保険医」の登録をして医療に従事することが義務付けられています。これらはそれぞれ登録先が異なります。そこで変更事項が生じた場合には、それぞれ変更しなければなりません。
歯科医師免許の訂正・免許書き換え申請手続き
■歯科医師免許の訂正・書き換えの手続きが必要な場合とは?
歯科医師法施行令第5条において、「歯科医師は、前条第二号の登録事項に変更を生じたときは、三十日以内に、歯科医籍の訂正を申請しなければならない。」とされています。「本籍地都道府県名」「氏名」「生年月日」「性別」があり、婚姻等で変更することになる場合が多いと思われます。
■申請方法はどうしたらいい?
手続きに関しては「住所地の都道府県知事を経由して、これを厚生労働大臣に提出しなければならない。」とされています。居住地の保健所(一部県庁の場合あり)に書類を持参して手続します。登録免許税として1000円必要です。
■本人が申請できない場合
歯科医師が死亡したり失踪するなどした場合には、家族等の届け出義務者が30日以内に歯科医登録の抹消手続きを申請しなければならないことになっています。申請手続きは無料です。
歯科医師が行うべき「保険医登録」って何?
■「保険医」の登録とは?
歯科医師が医療に従事する際、「保険医」という登録があります。これは健康保険法第64条において「保健医療機関において健康保険の診療に従事する医師は、厚生労働大臣の登録を受けた医師でなければならない」という規定により行われる手続きです。
■なぜ「保険医登録」が必要なのか
日本では、ほとんどの診療所、病院で「保険診療」を扱っています。歯科医院も同様で、保険診療を行うには「健康保険法」に基づき、保健医療機関の指定を受けることが必要です。そして、担当する場合は「保険医」の登録をした歯科医師に限られます。そこで保険医の登録は必ずといっていいほどしておかなくては働くことができないという訳です。
■「保険医」として登録されるまで
まず、歯科医師の国家試験に合格したら歯科医師免許に登録します。その際、保険医は自動的に登録されるものではなく、歯科医師が自分の意思で申請しなければなりません。登録すると「保険医登録票」が送られてきます。そして勤務する歯科医院へ提出するという流れです。
■発行された「保険医登録票」はどうする?
発行された登録票は職場が保管するため、登録番号は自身で確認して医師免許と一緒に保管しておきましょう。またこの登録票は、勤務先を退職する場合は返還されます。もしも転職や復職する場合に、以前勤務していた時と登録内容に変更があった場合は、登録変更の手続きが必要になります。
保険医の登録内容変更の手続きでの注意点
■保険医の登録内容変更の手続きが必要になる場合とは?
保険医の変更手続きも、歯科医師免許の場合と同様、氏名等の変更があった場合や死亡した場合などは申請が必要になります。また、登録票の再交付をうける際も同様です。申請は、管轄の厚生局に申請、届出を行います。
■他県への転職の場合には注意が必要!
申請が必要になる変更事項に「保険医が登録している地方厚生(支)局の管轄を超えて移動したとき」と、「保険医が登録をおこなった管轄地方厚生(支)局内において、都道府県を超えて異動したとき」とあります。他県へ引っ越して住所変更した場合に限らず、職場を転職した場所が、登録の都道府県でない場所であれば変更手続きが必要なのです。「気づかず変更手続きをしていなかった」ということになりかねないので注意しましょう。
■アルバイト先も保険医登録を忘れずに!
保険診療を行うには、「保健医療機関」指定された医療施設で「保険医」登録された歯科医師が行わなければなりません。たとえばどこかの機関で勤務医をしつつ、他の歯科医院でアルバイトをする歯科医師もいます。このような「パート・アルバイト」勤務を行う場合、それぞれの職場での登録が必要になるのです。正規の職場で登録があることで、うっかりバイト先では登録していなかったという事態にならないようにしましょう。
保険医の登録や登録変更に必要な添付書類は?
■保険医登録をおこなうとき
「保険医登録申請書」を提出。戸籍抄本本紙、履歴書、医師免許の写し又は医籍登録通知ハガキの写しを添付します。
■保険医の氏名を変更したとき
「保険医氏名変更届」を提出。戸籍抄本、保険医登録票本紙を添付します。(登録票本紙が無い場合、未添付届も提出します。)
■保険医が他県へ転出したとき(管轄地方外へ)
「管轄地方厚生局長変更届」を提出。保険医登録票本紙を添付します。(登録票本紙が無い場合、未添付届も提出します。)
■保険医が他県へ転出したとき(管轄地方内)
「管轄地方局内の管轄事務所等変更届」を提出。保険医登録票本紙を添付します。(登録票本紙が無い場合、未添付届も提出します。)
■保険医登録票を紛失してしまったとき
「保険医登録票再交付申請書」を提出して再交付を受けます。添付書類は特にありません。
■保険医が死亡・失踪したとき
「保険医死亡・失踪届」を提出。保険医登録票本紙を添付します。(登録票本紙が無い場合、未添付届も提出します。)
まとめ
歯科医師の登録事項は、あまり頻繁に登録変更したりする機会はありません。だからこそ、手続きが必要なものとそうでないものの違いなどから手続きが必要なものができていなかったなどのトラブルが起こりかねないのです。「保険医」は歯科医師として医療行為を行う場所ごとに登録が必要。とくにしばらくブランクがあっての復職をする場合などは、必ず忘れずに登録するようにしましょう。日ごろから、どのような場合にどんな手続きを踏むのかを把握しておくことをおすすめします。