歯科としての技術を高めたいなら特定機能病院に転職という手も
単なる虫歯治療や歯周病治療に留まらず、先進的な医療技術を身に付けたい方は「特定機能病院」への転職がおすすめです。一般病院とは明らかに異なる経験が積めるからです。ここではそんな特定機能病院について詳しく解説します。
特定機能病院ってなに?
特定機能病院とは、高度な先進医療を提供する医療施設で、限られた場所にしかありません。2017年の6月時点では、全国で85の特定機能病院が存在しています。法律でも高度な医療の提供と、高度な医療に関する研修をすることが明記されていますので、一般病院とは明らかに異なる医療施設であると考えください。
具体的には、診療科数は16以上でなければならず、歯科が含まれることも多いです。そのため、高度な歯科の医療技術を学びたいと考える人が特定機能病院に転職することはよくあります。また、集中治療室や無菌室などが完備されていることはもちろんのこと、ベッドの数も400以上なければならないという決まりがあります。そういったことから、医師や歯科医師、看護師などの数は、一般病院よりも2倍近く多くなっている施設がほとんどです。
特定機能病院が作られた理由
特定機能病院は、先端医療を施す医療施設ですので、自ずと患者さんの症例も難しいものに限られてきます。逆に言うと、風邪などの一般的な症例は、特定機能病院で治療を行うことはまずありません。これは特定機能病院と一般病院とで役割分担を行ったからです。そうした線引きをした理由について気になるのではないでしょうか。
例えば、患者さんの症状というのは、個々人でさまざまです。上述したような風邪があったり、交通事故で大きな外傷を負ったりすると、必要になる治療も大きく異なってきます。それらを一般病院だけで対応していたら、そのうち病院はパンクしてしまうでしょう。実際のところ、とくに治療の必要もない患者さんも一定数受診してきます。そこで医療が滞りなく提供されるためにも、特定機能病院を設置し、一般歯科との役割分担を行ったのです。
特定機能病院なら確実にスキルアップできる
現在、働いている病院なり歯科医院では満足できていない人にとって、特定機能病院はおすすめです。なぜなら、一般病院や一般の歯科医院と比べると、間違いなく先端医療に触れる機会が多いからです。一般歯科では触ることができない先進医療の機材や医療技術、指定難病を患った患者さんへの診療など、確実にスキルアップできる環境が整っているのです。そういった職場で働くことで、歯医者としての技術水準は向上し、キャリアアップにもつながります。
患者さんとじっくり向き合える
特定機能病院と聞くと、毎日重症例の治療に追われ、せわしなく時間が過ぎていくように思えますが、実はそうではありません。冒頭でも述べたように、特定機能病院の人員は豊富です。医師や歯科医師などの医療従事者が一般病院の2倍程度、在籍していることも珍しくありません。それだけに、ひとりひとりの患者さんとじっくり向きあって治療を行うことが可能となっています。
歯科医の場合、一般病院にしろ、民間の歯科医院にしろ、ひとりの患者さんとじっくり向き合う機会というのはほとんどないでしょう。場所によっては、15分おきに診療が入っているケースもあるくらいですから、どうしても流れ作業になりがちです。そうした医療に不満がある方も、特定機能病院はおすすめといえるでしょう。
緊張感のある職場
特定機能病院は、高度な医療を提供する場というだけあって、基本的に重症例の患者さんが多くなっています。それだけに、患者さんの生き死にに関わるようなケースを日常的に診療します。そういった意味では、常に緊張感がある職場といえるでしょう。この点は、一般歯科で体験することはまずありませんので、特定機能病院におけるやりがいのひとつといえます。もしも自分がミスをすれば、患者さんの命を奪うような事態も考えられるため、常に緊張感をもって診療にあたることができるからです。とはいえ、歯科医にはそうした現場で働きたいと強く希望する人も珍しくありませんので、そういった向上心のある人にとっては特定機能病院が最高の職場といえます。
ちなみに、特定機能病院の数は、全国でも100に満たないため、求人数もそれほど多くありません。そのため、倍率も高くなりますので、転職を考える歯科医にとっては狭き門となっています。とはいえ、特定機能病院側としては、向上心に溢れ、キャリアアップを目指す歯科医を採用したいと考えていますから、始めから諦めずにまずは応募してみてはいかがでしょうか。
まとめ
このように特定機能病院は、歯科医としての技術を高めたい人にとっておすすめの転職先です。全国的にもそれほど多い医療機関ではありませんが、しっかりと探せば求人を出しているところも見つかるかと思います。歯科医としてのキャリアアップをはかりたい方は、ぜひ一度、採用試験に応募してみてください。