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気になるアレコレまとめました!医師の為の歯科コラム
歯科コラム

超高齢化社会を救う。訪問歯科の需要

自分の歯科クリニックで患者さんがやってくるのを待つ院長・歯科医の中にも、訪問歯科診療に興味を持っている方は少なくないのではないでしょうか。
超高齢社会となり介護を受ける高齢者がこれだけ増えると「歯医者のあり方」も変わってきます。訪問歯科は、時代にマッチした診療形態といえるでしょう。

ところがこれまで「受け」または「待ち」の姿勢だった歯科医が、訪問という形の「攻め」に転じるには少なからぬ不安や抵抗があると思います。
しかし訪問歯科に取り組むハードルは意外に高くなく、サポート体制も整っています。訪問歯科に挑戦するならいまかもしれません。

高まる訪問歯科診療の需要

高まる訪問歯科診療の需要

歯科医が訪問歯科に取り組むかどうか悩むのは、「できるかどうか」ではなく、「患者さんが集まるのだろうか」ではないでしょうか。
その点は安心できます。訪問歯科診療の需要は高まる一方です。

一般社団法人日本訪問歯科協会は、一般的な歯科クリニックの院長が過去のカルテのなかから80歳以上の患者さんを選び、訪問歯科診療を始めたことを電話で知らせるだけで「確実に依頼がくる」と述べています。
おおよその確率では、80歳以上の過去の患者さんに電話をすると、5割が通院困難で訪問歯科診療の受診を検討したいと答え、そのうちの2割が義歯の不具合などによる訪問歯科診療を希望するといいます。
つまり、80歳以上の元患者100人に電話をかけると10名ほどの訪問歯科診療予約が取れる計算です。
これは患者さんの確保に苦労している歯科医には朗報といえるのではないでしょうか。


訪問歯科診療を始めるには

訪問歯科診療を始めることはそれほど難しくはありません。
訪問歯科診療ユニットを準備する必要がありますが、リースにすれば、大きな出費にはなりません。訪問歯科診療ユニットは、キャンプ用のクーラーボックスぐらいの大きさの箱の中に、マイクロモーター、超音波スケーラー、バキューム、3ウェイシリンジ、フッとコントロールなどがコンパクトに収まっています。
訪問手段も軽自動車を1台用意するだけです。
また行政への手続きも簡単です。「在宅療養支援歯科診療所の施設基準に係る届出」や「歯科訪問診療料の地域医療連携体制加算の施設基準に係る届出」などの書類を、お住いの地域の地方厚生局(厚労省の出先機関)に提出するだけです。


サポート体制はかなり充実

設備投資や法的手続きをクリアできても、初めての訪問歯科診療には経営上の不安がつきまとうでしょう。しかし訪問歯科診療を始める歯医者をサポートする体制はかなり充実してきています。
例えば日本訪問歯科協会は全国各地で「訪問歯科スタートアップセミナー」を開催しています。スタートアップとは「新たに事業を始める」という意味で、このセミナーでは訪問歯科で収益を上げるための方法といった「かなりリアル」な知識を得ることができます。
また訪問歯科診療を始めると、歯科衛生士や歯科医療事務員も育成しなければなりませんが、そのようなスタッフ向けの講座も数多く開かれています。つまり、院長自らスタッフに「訪問歯科診療とは」を教える必要がないというわけです。
こうした外部の資源を活用することで、歯科医は訪問診療に専念できます。


厚生労働省が後押し

厚生労働省が後押し

訪問歯科診療の拡充は厚生労働省の政策でもあります。全介助が必要な要介護度5の高齢者たちのQOLに、口腔ケアが深く関わっていることは歯科医ならご存知のはずです。
静岡県の歯科医たちの調査によると、介護施設の入居者が定期的に口腔ケアを受けると、肺炎の発症率が8ポイント低下することがわかりました。
同省もこうした訪問歯科効果を重視していて、介護施設に訪問歯科診療をする歯科医を増やしたいと考えているのです。診療報酬でもさまざまな観点から訪問歯科を後押ししています。


潜在的な患者さんは100万人以上いる

厚労省によると、2011年の時点で歯科治療が必要な要介護度3~5の認定者は143万人いるのに、実際に訪問歯科診療を受けている人は30万人にとどまっています。
つまり訪問歯科診療の潜在的な患者数は100万人以上いるということです。
しかも訪問歯科診療の訪問先は歯科クリニックから16キロ圏内に限定されるので、なおさら「多くの歯科医の協力」が必要なわけです。


ライバルが少ない今こそ足固めのチャンス

ライバルが少ない今こそ足固めのチャンス

コンビニより多い歯科クリニックといわれるほど、歯科の競争は激しさを増していますが、訪問歯科はまだ「手つかず」状態です。訪問歯科診療を行っている歯科クリニックはまだ2割しかないのです。
近隣の歯科クリニックと一般歯科の患者の争奪戦を繰り広げるより、早い段階で訪問歯科診療に進出すれば「その道のパイオニア」になることができます。
訪問のコストを下げるには、患者さんが集中する老健、特養、有料老人ホームなどを確保する必要がありますが、「いまなら」間に合います。


まとめ~社会貢献度が大きい仕事

歯医者が訪問歯科に挑戦することは、時代の要請に応えることにもつながります。寝たきりの高齢者は、常に誤嚥性肺炎の脅威にさらされているわけですが、訪問歯科診療はそのリスクを減らすことができます。訪問歯科は社会貢献度が大きい仕事であるといえるでしょう。


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