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気になるアレコレまとめました!医師の為の歯科コラム
歯科コラム

歯科医のお仕事:学校歯科医の業務とやりがい

学校歯科医は、「学校にたまに来る歯医者さん」ではありません。半日かけて子供たちの歯を見て帰ってしまう「単発バイト」でもありません。
学校歯科医は、子供たちに歯の健康指導をする教育者なのです。その業務は学校保健安全法に規定されていて、学校歯科医は厳密には公務員に該当します。

虫歯は一度発症すると絶対に元に戻らない病気ですが、多くの子供はそのことの重大さを理解できません。学校歯科医はそのような子供たちに、歯を守ることの大切さと歯磨き習慣の重要性を教えるとてもやりがいのある業務といえるでしょう。

学校歯科医の法律的な立場

学校歯科医の法律的な立場

学校歯科医の法律的な立場からみていきましょう。
まず、学校歯科医に限らずすべての歯科医は、虫歯の治療だけでなく公衆衛生を普及する責務を負っています。そのことは歯科医師法によって規定されています。
学校歯科医制度や学校歯科医の活動は、この公衆衛生の普及に含まれます。もちろん学校歯科医は子供たちの歯を直接見るので、虫歯予防・診断・治療にも携わることになります。

学校歯科医制度は、学校保健安全法によって規定されています。
学校歯科医は「大学以外の学校で、歯科健康診断や歯科保健指導、歯科保健教育などの職務を非常勤で行う」ことになっています。

学校歯科医は、文部科学省または都道府県教育委員会または市区町村教育委員会によって委嘱されます。身分は非常勤の公務員になります。そのため学校歯科医には報酬も出ますし、職務中に事故に遭遇したら補償を受けることができます。


学校歯科医の3つの仕事とは

学校歯科医の仕事には、「保健教育」「保健管理」「組織活動」の3つがあります。一般の人に最も認知されている活動は、学校歯科医が学校に出向いて子供たちの歯を一斉に診る健康診断だと思いますが、これは保健管理に該当します。
それでは3つの仕事を1つずつ詳しくみていきます。


保健教育とは

学校歯科医の保健教育の仕事では、子供たちや学校の教師たちに虫歯予防の基本知識や正しい歯の磨き方、歯と全身の健康などについて話します。
子供たちの生活習慣は、子供の歯磨き習慣や虫歯の発生に大きな影響を与えます。そこで学校歯科医は教師たちと一緒に学校保健計画を立案したり、計画の実施や事後評価などに携わったりします。
また学校歯科医は学校が実施する食教育を支援し、噛むことと健康についての指導を行います。また、担任教師や養護教諭が、子どもから歯に関する相談を受け専門的な意見が必要だと判断した場合、学校歯科医に相談することができます。

子供たちは、普段から接している教師たちに「歯は一生ものだからきちんと磨きなさい」と言われてもなかなか危機感を持てません。しかし白衣を着た大人は子供たちにとって新鮮なので、学校歯科医から「歯は一生ものだからきちんと磨きなさい」と言われると説得力を持ちます。
さらに学校歯科医は教師やPTAなどと協力して、子供の知的好奇心を刺激するような保健教育をしていくことになります。


保健管理とは

保健管理とは

学校歯科医の保健管理の仕事で最も大きなものは、健康診断です。学校歯科医が子供たち1人ひとりに接して実際に歯を診ます。ここでは「CO、GO(シーオー、ジーオー)」診査を行います。子供たちにCO(要観察)またはGO(要歯磨き指導)またはその両方の評価を下し、歯の健康に対する危機感を植え付けます。
健康診断は集団を対象にしますが、学校歯科医は健康相談という形で子供と1対1で接することもあります。


組織活動とは

学校歯科医の組織活動では、保健所や地元の町内会や自治会、さらに地域の歯科医師会などと連携して、子供の健康づくりを推進します。

学校歯科医の歴史

学校歯科医の歴史は古く、大正時代にまでさかのぼります。1920(大正9)年に学校生徒身体検査規程という国のルールが改正され、学校医(医科)以外の歯科医などが身体検査を行えるようになりました。これを機に、歯科医が学校教育にコミットすることになったのです。
昭和の時代に入ってからは、1931年に学校歯科医及幼稚園歯科医令が発令され、学校歯科医が誕生しました。この発令日が6月22日だったことから、その日はいまでも学校歯科医の日になっています。


学校歯科医と地域の歯科医との連携

学校歯科医と地域の歯科医との連携

先ほど学校歯科医は、保健管理の仕事の中で、「CO、GO(シーオー、ジーオー)」診査を行うと解説しました。これは簡易検査ではありますが、歯に関する貴重な情報になります。
そこで学校歯科医は、虫歯が進んでしまっている子供たちについては、地域の歯科医と連携して速やかに治療が受けられるようにしなければなりません。
また地域の歯科医たちも、もし普段の治療のなかで気がついたことがあれば、学校歯科医にフィードバックすることができます。
学校歯科医は「地域で子供たちの歯を守る」取り組みの司令塔になるわけです。


まとめ~歯科医の長年の夢をかなえるチャンス

すべての歯医者は、虫歯の撲滅に情熱を燃やしているはずです。しかし治療しても治療しても虫歯や歯周病はわいてきます。なかには「もっと早くからブラッシング指導していれば、このような状態にならなかったのに」と悔やまれる患者さんもいるでしょう。
学校歯科医の仕事は、そのような悔しさを晴らす絶好の機会といえます。学校歯科医が教えた歯科指導を一生覚えている人が増えれば、虫歯撲滅に一歩近づくからです。


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