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気になるアレコレまとめました!医師の為の歯科コラム
歯科コラム

歯科医の転職、地域差で年収はどう変わる?

保険診療での歯科治療を希望した場合、全国津々浦々の歯科医院で、同一料金による診療を受けることができます。
では、患者の支払額が日本国内ならどこでも同じだからといって、歯科医の年収もすべて同じなのでしょうか?地域ごとに違いはないのでしょうか?
今回は、歯医者として生きていく上で気になる歯科医の年収について、まとめてみました。

歯科クリニックの場合

歯科クリニックの場合

歯科クリニックの勤務医の場合、それぞれのクリニックの給与体系に従って給与が定められます。クリニックの規模や経営状況に左右され、どこに勤めるのかによって給与が変わるということです。
歯科クリニックを地方と大都市部で比較すると、都市部、特に東京都の歯科クリニックの方が、給与水準が高い傾向を示しています。
東京都での勤務医の募集を見てみると、月給50万円くらいからが多いようですが、地方の歯科クリニックでは月給が30万円からというのも見られます。
もちろん、保険診療中心か、自費診療をしっかり行なっているか、通常の勤務医か分院長か、といった点により年収に違いが生じます。特に、基本給プラス歩合給としている給与体系であれば、その傾向は顕著になります。


公立病院の場合

公立病院にも、歯科・歯科口腔外科が併設されている病院はたくさんあります。公立病院には、国立病院、都道府県立病院、市立病院、町立病院などが挙げられます。

■公立病院での給与体系

公立病院での給与の水準は、医師と同じ体系をとっているところがほとんどです。そのため、卒業年度が同じであれば、医師と同じ給与をいただけることになります。自宅待機や休日呼び出し費用も同じ水準である場合が多いです。ただし、医師の場合は全科当直業務があるので、当直しない歯科医師よりは年収が高くなります。

■公立病院間の給与の差

公立病院はすべて同じ給与体系なのかというと、そういうわけではありません。国立・県立など設立主体によって給与体系は異なります。
よく言われるのが、町立や村立病院のほうが給与は高く、次いで、市立病院、県立病院となり、国立病院の給与体系が一番低いというものです。
これは、「地方に行けば行くほど医師の確保が難しくなるため、給与を高くすることで、医師を確保しようとしているから」なのではないかと思われます。

■某県立病院の例

同じ都道府県立病院でも、複数県立病院がある場合、県庁所在地や都市部に近い病院ほど給与が少なくなる傾向があります。
誤解しないでいただきたいのですが、同一県の県立病院で働く医師・歯科医師の基本給は、どこの県立病院であっても同じです。
医師や歯科医師の場合は、当然ですが医師や歯科医師として働くので、基本給に医師手当が加算されます。基本給も医師手当も、卒業年度に応じて決まるものなので、どの県立病院でも同じです。医長や部長などの役職手当も同じです。
都市と地方で給与に差が生まれるのは、初任給調整手当という地域手当、勤務地に応じて加算される手当の金額なのです。

着任に船への乗船や橋の通過が必要とされるような離島、冬場に雪に埋もれて孤立してしまうような地域などは、初任給調整手当が高くなります。もちろん、都市部の方が住宅手当は高いですが、その差を上回って初任給調整手当の差の方が大きいです。年収に換算すると、200万円くらいの差が生まれることもあります。
ただし、ボーナスは基本給と医師手当を元に算出されますので、初任給調整手当が高いからといって、地方の病院のボーナスも高くなるわけではありません。
こうした視点で見てみると、町立病院や村立病院はもともと地方の小さな町にしかないので、給与体系そのものが高くなっていると考えられます。
ただし、これは地方公共団体の財政状況にも影響されますので、すべての町立病院や村立病院に当てはまるわけではありません。

■私立病院

私立病院に併設されている歯科・歯科口腔外科では、基本的にその病院の給与体系に従います。こちらも多くの場合は医師と同じ体系で、卒業年度に応じて決定されます。
やはり当直業務がある分、医師の方が受け取る金額は高くなってきます。
私立病院は、複数の市や県にまたがって系列病院を持っているところは限られていますので、病院内では給与体系にほとんど差はないと言えるでしょう。
しかし、日本全国に系列病院を展開している病院の場合は、基本給は同じでも、地方と都市部とでは給与体系に違いがあります。やはり、地方所在の病院の方が都市部よりも給与水準が高くなる傾向があるようです。

■事業所内診療所

最近では減ってきましたが、大規模な工場などで、事業場内の労働者だけを対象とした診療所があります。内科や外科が多いですが、歯科が併設されている診療所もあります。
こちらも概ね、医師と同じ給与体系で、卒業年度に応じて給与が変わります。
診療所なので当直業務はありません。医師と歯科医師の間に当直業務による給与の差は生じませんが、産業医かどうかで給与面に差が生じますので、産業医になれない歯科医師の方が低くなります。


まとめ

まとめ

歯科医療は、保険診療で受けると全国どこの歯科医院・病院でも同じ料金で受けることができます。しかし、だからといって歯科医の給与が全国どこでも同じというわけではありません。
歯科クリニックの場合、東京都心部の方が給与は高くなっているようですが、病院では地方の方が高い傾向を示すこともあり、都市と地方で一概にどちらが高いとは言いにくいです。
しかし、病院の勤務歯科医は全歯科医師の10%ほどでしかなく、診療所の勤務歯科医の方が圧倒的に多いことを踏まえると、都市部の方が年収が高い傾向を示すと言っても良いのかもしれません。


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