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気になるアレコレまとめました!医師の為の歯科コラム
歯科コラム

クリニックや大病院以外の転職先!産業歯科医としての働き方

歯科医師の仕事は、虫歯や歯周病などの歯科治療だけではありません。産業歯科医として、労働衛生の分野での仕事もあるのです。
では、産業歯科医とは、どのような仕事をするのでしょうか。また、どうすれば産業歯科医になることができるのでしょうか。分かりやすく解説していきます。

産業歯科医とは

産業歯科医とは

■産業歯科医とは

塩酸、硝酸、硫酸、亜硫酸、フッ化水素、黄リンその他を取り扱う一定の有害な業務に従事する労働者の健康を診断する歯科医師のことです。
この業務には、バッテリーを取り扱う業務や酸を用いたメッキ作業などが当てはまります。
有害な業務によって、歯や歯周組織に健康障害が発生するのを未然に防止したり、健康障害をできるだけ早期に発見したりするのが産業歯科医の仕事と言えます。

■産業歯科医の職務

産業歯科医の職務は、2つあります。
ひとつは、一定の有害な業務(塩酸、硝酸、硫酸、亜硫酸、フッ化水素、黄リンその他)に携わっている労働者の歯やその支持組織に関する健康について、意見を適宜、事業者に述べることです。
意見とは、労働者の健康を保持するために必要な意見のことで、多くの場合、健康診断表に記載して、事業者に伝えられます。

もうひとつは、一定の有害な業務に常時50人以上従事させている事業場において、該当する労働者に、歯やその支持組織に関係する健康診断を行うことです。その結果、事業者や総括安全衛生管理者に労働者の健康障害を防止するために必要な勧告や指導をします。
なお、この健康診断は、6ヶ月に1回以上行わなければなりません。


産業医との違い

■産業医とは

産業医とは、事業場で労働に従事している労働者の健康管理などについて、医療の専門的な立場から指導や助言を行う医師のことです。
労働安全衛生法にて、「一定の規模がある事業場には産業医を専任すること」が義務づけられています。

■産業歯科医との違い

産業医と産業歯科医の大きな違いは、法律上の根拠にあります。
産業医は、労働安全衛生法にしっかりと明記されていますが、産業歯科医については労働安全衛生法に記載されていません。労働安全衛生規則の第14条にようやく見つけることができますが、これも見出しに「産業医及び産業歯科医の職務等」とあるだけで、条文そのものに産業歯科医という言葉は書かれていません。つまり、法律上の立場が非常に曖昧としたものなのです。
また、職務の範囲も、産業医よりも非常に限られたものとなっています。


産業歯科医になるには

産業歯科医になるには

産業医は、労働安全衛生規則に要件が定められています。産業医になるために研修を受ける場合は、認定された研修会を受講しなければならないのはもちろんのこと、その単位の種類や数まで決められているため、その難易度はとても高いです。
一方、産業歯科医は、法律上特に要件が定められているわけではありません。一応、日本歯科医師会が認定講習会を行っていますが、産業医と比べるとそのハードルは非常に低く、歯科医師なら誰でも産業歯科医になることができます。

■産業歯科医講習会

日本歯科医師会が年2回、2日間の講習プログラムを行っています。
日本歯科医師会に加入していなくても受講することができますが、日本歯科医師会会員でなければ受講証明書を交付されるだけで、産業歯科医認定証はもらえません。正会員であれば、産業歯科医認定証を交付してもらえます。


労働衛生コンサルタントもおすすめ

産業歯科医として活躍したい場合は、労働衛生コンサルタントの資格も取っておいた方が良いでしょう。
労働衛生コンサルタントとは、労働安全衛生法第84条に基づき、労働者の衛生の水準の向上を目的に事業場の衛生について診断し、指導を行うための国家資格です。
産業医や産業歯科医とは業務の内容が異なりますが、産業歯科医だけを持っているよりも仕事の幅が広がるのでおすすめです。
試験の区分は、保健衛生と労働衛生工学の2種類があります。歯科医師は、保健衛生で受験する方が良いでしょう。
なお、歯科医師の場合は、日本歯科医師会の行う産業医学講習会を受講すれば一次試験が免除され、二次試験の口述試験のみで受験することができます。
ただし、試験のハードルは低くありません。
産業医の認定要件のひとつに労働衛生コンサルタントがあり、労働衛生コンサルタント資格を持っていれば、研修会を受講せずに産業医に認定されます。
そこで、何日もかかる研修会を嫌い、労働衛生コンサルタントを受験する医師が多いのですが、なかなか合格しないそうです。そのため、労働衛生コンサルタントを持っていると、難易度の高さを知っている産業医の先生から一目置かれることもあるようです。
もし、労働衛生コンサルタントを受験する場合は、しっかりと試験勉強をしてから試験に望むようにしましょう。


まとめ

産業歯科医は産業医とは異なり、法律上の立場が曖昧な存在です。それでも、塩酸や硝酸、硫酸などを取り扱う一定の有害業務する労働者が常時50人以上いる事業場では、歯科医師による健康診断が欠かせません。
単なる普通の歯医者として活躍するよりも、産業歯科医として労働衛生に携わりながら働くというのも、歯科医療とは違ったやりがいがあって面白いのではないでしょうか。


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