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歯科コラム

時代に合った開業方法「訪問歯科」のススメ

訪問歯科とは、歯科医や歯科衛生士が、通院が困難な患者さん宅まで出向いて行う歯科診療のことです。
社会の高齢化により、身体に障害があったり病気があったりして通院が出来ない要介護な高齢者が増えつつあります。
近年、診療報酬の改定ごとに訪問歯科の点数が見直されており、厚生労働省も重点をおいて評価していることが伺えます。
そこで、従来通りの外来診療ではなく、訪問歯科にも取り組んでみませんか?
今回は、高齢化した時代のニーズに合った開業方法である訪問歯科について、紹介します。

訪問歯科の対象となる患者さんについて

訪問歯科の対象となる患者さんについて

訪問歯科の対象となるのは、あくまでも「通院が困難な患者さん」です。
「通院は出来るけど、面倒だから来てほしい」という患者さんは対象ではありません。
身体に障害や病気があり自力で通院するのが難しい人や、家族の手を借りても通院しにくい人などが対象となり、自宅や入所先の施設でう蝕処置や歯周病治療、口腔ケア、義歯調整などを中心にした一般的な歯科治療や、嚥下のリハビリテーションなどを行うのです。


訪問歯科の利点

従来通りの外来診療と比べて、訪問歯科にはどのような利点があるのでしょうか。

■レセプト1枚あたりの単価が高い
外来診療でのレセプト単価は、1枚あたり1200点/月ほどといわれています。
一方、訪問歯科では1枚あたり4000~5000点/月あります。
つまり、訪問歯科で患者さんを1人診察するのと、外来診療で患者さんを4人ほど診察するのは同じくらいの単価になるわけです。
患者さん宅への往復に時間がかかり、1日に診療できる人数は少なく、往復の時間は収入が得られないわけですが、その点を差し引いてもこのレセプト単価の高さは魅力的でしょう。

■経費が少ない
歯科医院での従来通りの外来診療では、ブリッジやFMCなどの補綴物の技工にかかる経費が高くなります。
しかし、訪問歯科では技工物が少なくなりますので、その分経費が低くなります。
言い換えれば、利益率が高くなるということです。

■ユニットの台数にしばられない
歯科外来では、診療にユニットが欠かせません。
ところが、患者が増えたからといって、ユニットは1台あたり数百万円する上に、占有するスペースも大きいため、簡単に増やすことは出来ません。
ですから、ユニットが塞がっていると、他の患者さんの診療が出来ないため、「ユニットの台数=外来診療の患者数の上限」でもあるわけです。
一方、訪問歯科ではユニットを必要としないので、極端な話をすれば往診に使う車とスタッフの数さえ揃えれば、患者数の制限がないとも言えます。


訪問歯科を始めるにあたって

訪問歯科を始めるにあたって

■設備投資
訪問歯科を始めるためにあたって、外来診療では必要とされない器材があります。
それは、患者さんの元へ移動するための車と、携帯できる診療器材です。
往診に用いる車は何でも構いません。
診療器材は、ハンドインスツルメントは外来診療のものが使えますが、ポータブルユニットやポータブルレントゲンは導入しなければなりません。
購入が難しいときは、リースを利用するのもいいでしょう。

■高齢の患者さんをフォローしてみる
まずは歯科医院のカルテをチェックして、過去に通院歴のある80歳以上の高齢の患者さんをピックアップしてみましょう。
その中で通院しなくなった方に、訪問歯科について電話で知らせてみてください。
統計学的には、10%くらいは依頼してもらえると考えられています。

■歯科医師の数
歯科医院にいる歯科医師が院長一人だけの場合は、お昼休みを利用して訪問に出かけてみるのもいいでしょう。
外来の診療予約に比較的ゆとりがあるのなら、お昼休みの時間を延長して、訪問歯科に出てみるのも、ひとつの手です。
しかし、「予約が多くて時間がとれない」という場合は、新しく勤務医を雇用してみてください。
たとえ勤務医の先生を雇用しても、外来診療だけでは仕事が不足して採算が合わないというようなときでも、勤務医の先生の診察の一部を訪問歯科に回すことで、仕事の効率が上がります。
すでに勤務医の先生がいるなら、より取り組みやすいですね。


外来診療との相乗効果

訪問歯科で患者さんに喜んでもらえたら、その家族も患者さんとして外来を受診してくれるようになることが期待されます。
訪問歯科で評判が上がって患者数が増え、外来診療の患者数もそれに伴って増えてくれれば、歯科医院の経営的にも良い方向に回っていくことでしょう。


まとめ

日本は少子高齢社会になり、今後ますます高齢者の人口に占める比重が高まることが予想されています。
それに伴い、歯科医院に通院することが難しい要介護者も増加していくと考えられます。
要介護者といえども、入れ歯の調整や口腔ケアなどの歯科医療のニーズはありますので、そうしたニーズに答える訪問歯科は、将来性の観点からも有望といえるでしょう。
「歯科医院に通えないから諦めていたけど、あそこの歯医者なら家まできてくれるから助かるわ」という評判を得られるように取り組んでみてはいかがでしょうか。


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