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気になるアレコレまとめました!医師の為の歯科コラム
歯科コラム

歯周病の専門性を高めることで図れる差別とは

歯科医師過剰の時代が続く中、これからの歯科医師にはより専門性を高めることによる差別化が求められます。他の歯科医師と差をつけるために専門性の高いスキルを身に着けておくことは、これからの転職や自身の開業の際にもプラス要素は多いでしょう。

近年はインプラントや審美治療が歯科業界のブームとなっていますが、高齢化が進む日本において今後需要が高まりつつあるのが歯周病治療です。そこで今回は、歯周病の専門性を高めることで図れる差別化やそのメリットなどについてご紹介したいと思います。

歯周病治療の需要が高まる理由

歯周病治療の需要が高まる理由

これまでの歯科治療は、保存修復治療や歯内療法など主にう蝕の治療を主体として行われてきました。しかし、う蝕予防に関する啓蒙活動の広がりや少子化などの影響を受けて、う蝕罹患者は年々減少傾向にあります。その一方で、生活習慣の変化や高齢化に伴う歯周病罹患者の増加などによって、今後歯周病治療の需要は高まることが予想されます。

■高齢者の残存歯数増加に伴う歯周病治療の需要
平成28年に行われた歯科疾患実態調査を見ると、75歳以上における歯周病罹患率は年々増加傾向にあることが顕著にあらわれています。

その理由として、以前であれば早い時期に歯を失っていた年代の残存歯数が増えていることが1つ考えられます。実際に高齢者の残存歯数を過去のデータと比較してみると、75歳以上85歳未満で20本以上の歯を有する人の割合は平成17年で2~3割程度であったのに対し、平成28年には5割ほどにまで増加しています。

また現在は85歳以上においても4人に1人は20本以上の歯を有しています。この傾向は今後も続き、それに伴って高齢者における歯周病治療の需要が高まることが予想されます。

■歯周病と全身疾患との関わり
これまでの歯周病研究において歯周病が全身に及ぼす影響が次々と報告され、歯周病は単に口腔内だけにとどまる疾患ではないことが明らかになりました。これらの情報は各種マスメディアにも取り上げられ、一般の方にも周知され始めています。

一方、厚生労働省の調査によると歯科診療所を受診する人のおよそ3人に1人が65歳以上であることがわかっています。近年はこの60代後半から70代前半の方の健康志向が非常に高く、健康維持や疾患予防に関する情報にも敏感です。

したがって今後は歯科受診の割合が増えつつあるシニア層に向けて、歯周病と全身疾患との関わりに焦点をおいた健康指導も考えていかなければなりません。これによって歯周病治療の重要性が周知されることも、歯周病治療の需要を高めることに繋がっていくでしょう。

歯周病を専門にして差別化を図るメリット

歯科医師の数が過剰傾向にある近年において、自身が生き残っていくためには他者との差別化を図ることが重要になってきます。

ただどの点の差別化を行うかは、個々の技量や考え方によっても異なります。その中でも歯周病の専門性を高めることは、患者側、歯科医師側双方に大きなメリットをもたらすでしょう。

■歯科医院選びの基準が明確になる
良い歯医者の選び方と言えば、ひと昔前は近所の人の評判や口コミ、紹介によるものが主流でした。それは歯科疾患やその治療に関する知識を、一般の方が得るという機会があまりなかったことが要因の1つとして考えられます。

しかしインターネットの発達によって、今は医療にまつわる様々な情報を一般の方でも簡単に得ることができます。歯科においてもそれは例外ではなく、歯周病の症状に悩まされる方は歯科医院を受診する前に疾患に関する情報を集めることが可能です。また、それらの情報をもとに、自身にはどのような治療が必要かを事前に把握している患者様も増えてきています。

そのような患者様が数ある歯科医院の中から受診する医院を選ぶ場合、歯周病専門の歯科医師が在籍していることは大きな決め手となります。つまり歯科医師の専門性が高まることは、患者側にとって歯科医院選びの基準が明確で選びやすいというメリットがあるのです。

■歯周病治療を目的にした患者層を集客できる
1つの専門科に特化すると、上記のようにその治療を目的とした患者層の集客が可能になります。これは歯科医師側にも大きなメリットと言えます。

歯周病治療はこれまで一般歯科でも行われてきましたが、歯周病という疾患に関心の薄い患者様には治療の重要性が伝わりにくいというのが実状です。そのため治療の必要性をなかなか患者様に理解してもらえないというジレンマを歯科医師側が抱えてしまうことも少なくはありません。一方で歯周病治療はある程度の期間を要するため、治療内容を把握できていない患者様とトラブルになるケースもあります。

そこで歯周病を専門としていることを大々的に銘打つことで、歯周病に関心のある患者様や実際に治療を希望する患者様を集客することが可能になります。これは術者側にとっても自分のスキルを十分に発揮できるチャンスとなるでしょう。

歯周病を専門にする資格にはどのようなものがあるか

歯周病を専門にする資格にはどのようなものがあるか

現在歯周病を専門とする資格としては、日本歯周病学会の認定によるものと、日本臨床歯周病学会が認定するものの2種類あります。

■日本歯周病学会認定の認定医・専門医
日本歯周病学会で認定される資格には、歯周病認定医と歯周病専門医があります。どちらも一定期間の研修を受けた後、それぞれの認定試験に合格することが必要です。日本歯周学会認定の歯周病専門医の資格は、厚生労働省により新聞や駅の看板などの広告に記載することが許可されています。

■日本臨床歯周病学会による認定医・専門医
日本臨床歯周病学会でも認定医、専門医の制度を設けています。資格を取得するには、学会に所属して一定期間歯周病治療に携わることが条件です。日本歯周病学会は他に歯周インプラント認定医の認定も行っています。

まとめ

歯科医師が過密な時代は、今後もしばらく続いていくことが予想されます。特に将来開業を予定しているのであれば、他者との差別化を図ることは自身の医院を存続させていく上で急務の課題といっても過言ではありません。

その差別化の方法として歯周病治療に特化することは、今後の高齢化社会のニーズにふさわしい戦略の1つと言えます。勤務医として働く歯科医師の方にとって、今後の需要に備えて歯周病専門のスキルを高めていくことは将来大きなプラス要素となるでしょう。

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