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気になるアレコレまとめました!医師の為の歯科コラム
歯科コラム

就職・転職時に確認しておくべき災害時の歯科医院の対応に関して

地震などの災害をいつ発生するか予測することは不可能でも、事前に被災時の対応について確認しておくことは可能です。しかし歯科医院での防災対策は大切と分かっていても、何を準備すれば良いのかわからないかもしれません。事前に歯科医院として準備できることや、歯科医師として何を優先として考えるべきなのかを見てみましょう。

防災マニュアル、チェックリストの作成

防災マニュアル、チェックリストの作成

防災マニュアル、災害発生時のチェックリストなどは、災害が発生する前に準備しておくべき物です。マニュアルやチェックリストの内容には、日ごろから注意しておくべきことから、診療中に災害が発生した際の対応などが含まれているべきです。

■被害の想定
まずマニュアル作成にあたって、その地域で災害が発生した場合に起こり得る被害について、ある程度予想しておきましょう。ハザードマップで地質や住宅の密集度、土地の高低などを確認し、地盤の揺れやすさや火災の広がりやすさ、さらに津波、浸水の危険度を知っておきます。都道府県別に表層地層の区別をあらわした地図や揺れやすさマップなどがあればそれも活用できるでしょう。

建築物の耐震強度も確認しておきます。建築物の耐震基準に関する法律の変更があったので、ある建物の場合は設計士による耐震診断を改めて行うべきかもしれません。

これらの情報、分析をもとにして医院内の防災マニュアルやチェックリストの作成をしていくことから防災対策ははじまります。

■危険物対策
防災マニュアルの中には様々な安全対策が含まれていなければなりません。歯科医院内にある危険物の中には、劇薬だけでなく特定化学物質(エチレンオキサイドガス)、引火性物質(アルコール類、歯科用レジン液など)、感染性廃棄物などが含まれます。これら危険物の保管場所についてすべてのスタッフの周知徹底を図るとともに、転倒や飛散防止対策を考え施しておきます。

■医療器具や棚の安全対策
チェアーユニットやカルテ棚、レントゲン室のパノラマ装置なども、あらかじめビスで固定しておくと安全でしょう。また診療室内の避難経路を確保するために、機械器具や備品などは重心の低い場所に収納し、ガラス窓付近に倒れる物を置かないようにしておきます。蛍光灯や窓ガラスなども飛散防止対策を施しておきます。

■避難所、避難経路の確認
非常口、非常灯、蓄光材を活用して、避難経路を確保できることを確認しておきます。災害時における院内の避難経路を地図で示したものを待合室や診療室内に掲示しておきましょう。

■役割分担のチェック
診療中に災害が発生した時の安全を確保するためにスタッフにはあらかじめ役割分担をしておき、緊急避難時にはそれぞれの係に分かれて行動すべきです。避難誘導係は避難経路を確保し速やかに避難誘導し、危険物対応係は火元のチェックと危険物の保管場所の確認、緊急持ち出し係は緊急持ち出し品を持ち出すなどの役割です。

もし担当の人が出勤していないとその役割を果たす人がいなくなってしまう、という状況を避けるためにも、スタッフの役割分担はしっかり確認しておきましょう。

■防災セットや備蓄品のチェック
緊急持ち出し品は十分前もって準備しておくとともに保管場所もチェックしておきましょう。対応マニュアル、連絡名簿、建物の設計図・配電図、レセコンのバックアップデータなどは緊急持ち出し品の中に含まれます。

備蓄品として食糧、飲料水、毛布、暖房などを備えておきます。また帰宅支援用品として小型ライト、防災帽、軍手、マスクなども準備しておきます。

災害時に優先すべき事柄

まずは人を守ることが最優先です。医療に携わる者としては当然とも言えますが、災害時に患者の安全を確保することは歯科医師としての責任です。院長には歯科医院で勤務しているスタッフたちを守る責任もあります。患者、スタッフを含めたすべての人の安全を確保することを、災害時においてもくれぐれも忘れないようにしましょう。

そして人の次に守るべきなのは病院の情報です。カルテはもちろんのことながらその他の患者の個人情報も含め、歯科医院では多くの情報を管理しています。

現在はカルテの電子化が進んでいるので、電子カルテの場合は日頃からバックアップ対策をとっていることでしょう。災害時にもそれらのバックアップが有効に活用できるかどうか、バックアップの頻度を見直すとともに、さらにバックアップをとっておくべき情報はないか考えると良いでしょう。

紙のカルテを使用しているとしても、情報をどのように保護できるか、情報の管理体制が整っているかどうかを確かめておきましょう。

避難訓練の大切さ

避難訓練の大切さ

避難訓練の重要性を決して軽視せず、定期的に避難訓練を実施するようにしましょう。訓練と言っても、何も大掛かりな訓練をしなくても構いません。停電や断水などの、比較的取り組みやすい日常的なトラブルを想定したものからはじめられます。

訓練にはすべてのスタッフが参加できるようにし、訓練終了後にはスタッフで反省会を開き、医院の防災マニュアルの見直しをするべきかを検討していきましょう。

転職時にも防災対策の確認を

ここに挙げた防災対策は、開業している歯科医師だけが防災のために留意していればよい事柄だけではありません。勤務医である歯科医師にとっても、転職、または就職した際にはそこで勤務する歯科医師としてどんな点に注意しなければいけないのかを知ることはとても大切です。

転職先によって医院の防災対策は異なるでしょうが、転職するごとにその歯科医院での防災に対する取り組みを必ず確認するようにしましょう。災害時における患者やスタッフの安全確保、さらに病院の情報保護など、歯科医院としての対応をスタッフ間で統一させなければなりません。転職しても、決して防災対策を転職先の院長や他の歯科医師任せにしないようにして下さい。

災害時に歯科医師が行うべきことは数多くあります。いざという時に自分の役割を十分に果たすためにも普段から備えをしておき、歯科医院での防災対策を確認しておきましょう。また日頃から地域との連携も深めておくなら、緊急避難時も迅速に対応、行動できるようになるでしょう。

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