歯科医師にもノルマ?就職先選びの見極めポイント
歯科医師としての資格を得ていざ就職先を探そうとする時には、一体どんな歯科医院を選んだら良いのか悩むものです。歯科医院によって新人教育に熱心な所もあれば、ノルマを与えて歯科医師を教育していく所もあります。
歯科医師の中には就職先に対する不安や不満が降り積もって、歯科医師を辞める人もいます。長く働ける就職先を選ぶために、どんな点に注意するべきなのか考えてみましょう。
勤務歯科医師の抱える不安
まず勤務医として診療所でしばらく働いて知識や技術を身に着け、歯科医師としてレベルアップをはかっていきたいと思っている人は多いことでしょう。しかしそうした期待が思っていたようにかなわずに、不安感につながる場合もあるようです。
例えば、有名な歯科医師の在籍する歯科医院での就職が決まったのだが、自分はほとんど見学か診療補助で、知識は増えても手技が向上していかない、ということもあります。さらにノルマがきついと感じて歯科医師を辞めていく人もいます。
ノルマがあるので多くの患者を診ることや、保険点数を上げることばかり求められるように感じることもあります。またノルマを達成するため時間に追われていて、疑問点があっても聞きに行けず、練習をしたくても練習時間がとれないということもあります。
しかし歯科医師が辞めていく原因がすべてノルマを設けている歯科医院の方にあるという訳でもありません。それは歯科医師が自分のキャリアアップに関してどんなプランを持っているかによって、歯科医院に求める条件も異なり、ノルマがあるのが良いと考える歯科医師もいるからです。
一日何人、もしくは保険点数何点などの明確な目標を定めることによって、歯科医師としてのキャリアをアップさせていくことは十分に可能ではないでしょうか。まず歯科医院でどんなことを学べるのかを考えてみましょう。
歯科医院により異なる環境
歯科医院が新しい歯科医師を教育するにあたってどんな環境を備えているかは、まず調べなければ分かりません。就職先を選ぶ際には、前もってそれぞれの歯科医院がどのような環境を備えているのかを知っておきましょう。
その後に自分の求めている環境に合っている歯科医院を選ぶようにしましょう。例えば以下のような環境を備えている歯科医院があります。
■研修期間がある
歯科医院によって期間は異なりますが、診療所で働き出して最初の数か月間は研修を必須とする歯科医院もあります。研修内容はいくつかのステップに分かれており、各ステップでチェック、またフォローが入ってきます。
不安を感じる場合や難しい症例の場合はその時にもチェック、フォローすることも可能です。研修期間の治療計画は院長や他の先輩歯科医師と立てていきます。研修期間中の勤務日報をつける歯科医院もあります。勤務日報で診療中には聞けなかった疑問点、さらには不安も書き出すことによって院長や他の歯科医師に知ってもらい、ふさわしいアドバイスをもらうこともできるでしょう。
また研修期間中は治療前に練習時間を確保することができます。模型での練習だけでなく、歯科医院に残っている抜去歯も利用して根管治療の練習をすることも可能です。
また診療所内での研修だけでなく、講習会やセミナーなどに積極的に参加するようにすすめ、学んだことをレポートでまとめて発表する場を設けている歯科医院もあります。
これらの歯科医院の中には、高い給料というよりも歯科医師に確かな知識と技術を習得してほしいという目的を持っている歯科医院も多くあります。ですからこうした研修の過程を通して歯科医師は歯科に対する知識をさらに深めていくことができます。
■幅広い年齢層の患者を担当する
もし特定の年齢層の患者の口腔内だけを診ていたら、開業した後に今まで経験したことのないタイプの患者の主訴を解決できないということがあるかもしれません。
ある歯科医院では担当歯科医のスタイルを取っていて、幅広い患者を担当するように歯科医師に患者を振り分けています。最初のうちは簡単な症例を診ることが比較的に多いとしても、徐々に自分にとって難しい症例や、苦手なタイプの患者が増えていくと、これも一種のノルマと感じるかもしれません。
しかし難しい症例も経験しないと技術を習得することは出来ません。それにお年寄りから子どもまで、幅広い年齢層に接することは開業後には毎日のようにある事です。歯科医師として一人の患者を担当し診ていくことによって、治療計画の立案から始まって治療終了、さらにはメンテナンスへと至る治療のすべてに関わることができます。
回復していく口腔内を経過的に観察できることにより歯科医師としての技術や考えが身に着くだけでなく、自信また責任感も育っていきます。数多くの患者と接していく事はさらに経験を積み重ねていく上で欠かせません。
歯科医師として成長するプランをしっかり持つ
上記で触れたようなポイントは、それぞれの歯科医院が持つ環境やスタイルの違いの一部について触れたに過ぎません。
さらに多くの研修カリキュラムやプログラムを取り入れている歯科医院もあります。また、歯科医院が歯科医師に求めていることも異なるでしょう。
ですから就職先を選ぶ際にはまず歯科医師である自分が、歯科医院のどんな条件を重要視するべきなのかをはっきりさせましょう。
例えば歯科医院が定める研修期間内にノルマを達成することによって、知識や技術を習得していきたいと考える人もいます。また別の人は、ノルマなどは必要なく最初は実際の治療の補助などをしてアドバイスをもらいながら、少しずつキャリアアップしていければ良いと考えるでしょう。
どちらが良いか悪いかではなく、歯科医師としての自分の成長のためにはどちらが合っているのかを知っておかないと就職先は選べません。歯科医院としても、医院の方針をよく理解した上で働いてくれる歯科医師に就職先として選んでほしいと思うはずです。
まとめ
歯科医師としての成長を遂げる時、歯科医院の環境が歯科医師に及ぼす影響は大きいものがあります。今後どんな歯科医師になるのか、なりたい歯科医師になるために、就職先を選ぶことはとても大切です。
求職者はこれから働く歯科医院についてよく知り、後悔の無い選択をしましょう。歯科医師の就職先に対する不満や不安は、就職先を選ぶ際によく考慮して選んでいれば未然に防げたものかもしれません。