将来開業を望むなら転職先で何を身につけるべき?歯科医に求められるのは技術だけじゃない
歯科医を目指す方なら誰しも将来は自身の歯科医院を開業したいと考えるでしょう。もちろん歯科医としての技術は重要視されるため、知識や経験を増やすべきです。しかし、近年歯科医院が増加し、それに伴い患者が歯科医院を選ぶ際に技術のみを求めるかというとそうではないということがわかりました。
また、審美歯科やインプラント専門と言うような多様化した専門歯科医院も増え、技術のみでは患者が集まらないというのが現状です。
では、どのような歯科医院が求められるのか、転職先で身につけておきたいことについてご紹介します。
いま歯科医院に求められていることとは
ある歯科医院検索サイトにおいて、会員サンプル800名のアンケート調査を実施。こちらの結果をもとに患者側からの意見内容をまとめました。
このアンケート結果によると、患者が歯科医院に求めていることと、歯科医院側が「患者様が求めているであろう」と考えていることに相違があることがわかってきました。
■技術面と同じく重要視されている快適さと身近さ
実際に来院した患者が満足した点は、待合室や診療室の清潔さ、快適さといった環境や利便性、スタッフの親切さが挙げられました。また歯科医院に期待している点としては、歯科医師の適切な指導力・アドバイス力、症状への理解度向上や歯科医師の人間性の良さが上位を占め、さらに歯科医師との話しやすさも挙げられました。
診療室や待合室の快適さは、歯科医院側も力をいれていることにより、患者側も満足しているようです。しかしこのアンケートからは、患者は歯科医師と治療に関してよく話したいということもわかります。
つまり、患者は歯科医師とのコミュニケーションをより求めているのです。来院患者が増えると1人の患者に時間を取ることが難しくなってしまうこともあります。しかし、患者は自身の症状をより詳しく説明してもらい、理解したい気持ちがあるようです。
■信頼される説明はできているか
例えば、患者を待たせする時間が長くなってしまいご迷惑をおかけしてしまった際に、何も言わずに治療を進めていくか、患者に納得してもらえるように説明するかでは患者の気持ちに変化がでるでしょう。
治療に関して大して説明もないまま治療が進められると、どんな治療がされ、いつ終わるのか、患者としては不安を抱えたまま来院することになります。
歯科医師は様々な症例を日々診てきているため、簡単にできる治療なのか等をおおよそ検討がついている状態ですすめているはずです。しかしインターネットが普及し、良い情報を簡単に検索できる反面、間違った情報も出回ってしまっている現代。間違った情報をうのみにした患者は、治療に関して不安ばかり増してしまいます。
また、近年では詰め物も様々な種類があり、保険適用内での治療を望まれる患者や、見た目にこだわり自費診療をしたいと考える患者もいます。
例え症状が類似していても患者の求める治療は変わってきます。しかし、患者全員が自身の要望を歯科医師にうまく伝えられるとは限りません。また、治療中は知らず、治療後にどういった治療が行われたか知った場合もあります。
患者とのコミュニケーションが取れていて、患者に治療の選択肢を与えることができていれば、トラブルになることはないでしょう。そのためには常に最新の情報を知る必要もありますし、患者から聞かれた時に対応できる知識も豊富でなければなりません。
ですから、コミュニケーションのみうまくできても信用されませんし、知識ばかりあり院内が清潔なだけでも継続して来院してくれるとは思えません。
歯科医師とスタッフとの連携も重視すべき
上記ご紹介した通り、歯科医師は説明の仕方も重要となります。例えば、むし歯治療の際の説明で、ただ単に「むし歯の治療をしていきます。」だけ伝える場合と、「現在このような状態のため、こういった治療を行います。治療完了までには大体何日来ていただいて、最終的にはこのような状態になります。」とお話しするのとでは、患者はどちらが信頼できるでしょう。
「何かわからないことや聞きたいことはございますか?」という一言だけでも、患者にとっては安心できる対応の1つではないでしょうか。
とはいえ、直接治療を行う歯科医師にはうまく伝えることが難しい患者もいるでしょう。このようなときに活躍してくれるのが歯科医師以外のスタッフです。
■スタッフ教育で医院の第一印象を決める
歯科医師は歯科医院を経営していく中で、スタッフの教育も必要となります。
歯科医院は基本的に電話での予約制が大半です。初めて行く歯科医院に初めて電話し、自身の状態を説明するのは勇気がいることですし、うまく伝えることができない場合が多いはずです。そのため、電話対応が誠実かつ丁寧でスムーズかどうかが、患者は歯科医院を選ぶ1つとなることもあるのです。
電話は顔を見て話すことができません。なので声のトーン、話し方で相手の印象を決めます。例え笑顔でお話ししていても、言葉が綺麗でないと伝わりません。電話対応は歯科医院の顔ともいえるでしょう。
■スタッフの対応が評価に影響することも
さらに患者とお付き合いしていく中で、歯科衛生士や歯科助手は治療以外でも対応します。
お席に誘導することや簡単な説明、クリーニング等はスタッフが行います。その中で患者と接する時間も増えてきます。些細な気遣いができていたり、話しかけたり、言葉が丁寧だったりとスタッフの対応が良い歯科医院は通いやすい環境を作ります。歯科医師にうまく伝えることができないこともスタッフになら話してくださる患者も少なくありません。
もちろん、初めから完璧なスタッフはいないでしょう。例え基本的なことができていても、その歯科医院のスタイルに合わせる必要があります。スタッフの教育も歯科医師は歯科医院を開業するうえで欠かせないことです。
しかし、スタッフへの教育の仕方も難しいもの。スタッフがいてこそ歯科医院は成り立つため、スタッフの仕事にたいするモチベーションを下げてはいきません。お互いの信頼関係も大事なことなので、転職先の院長先生がスタッフに対してどのような対応をしているかみるべきでしょう。
成功する開業歯科医は技術以外も魅力的
近年、歯科医院が増え競合が多い中、いかに自身の歯科医院を患者が選択し、かつ定期的に通いたいと思ってもらえるかが大切になってきます。歯科医院を経営していくには、技術ももちろん大切が、患者とのコミュニケーションや環境が重要ということがわかりました。
患者はなんでも相談でき、自身の思った通りもしくは思ってる以上の治療を求めています。そのため、歯科医師が説明を怠らないことやスタッフ教育も重要になります。
転職先で、歯科医師が患様にどのような対応で接しているか、そして説明の仕方、更にはスタッフへの対応をじっくり学び、将来へと繋げていくべきでしょう。そして患者から信頼される歯科医師となっていきましょう。