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気になるアレコレまとめました!医師の為の歯科コラム
歯科コラム

歯科医師法理解している?実はこんな条例があった

歯科医師のおこなう業務や内容については、「歯科医師法」に基づいて行わなければなりません。診療の形態からカルテなどの保管業務、スタッフの管理等に至るまで、細かな規定があり、違反すると罰則もあるのです。
歯科医師として、歯科医院を経営するうえで知っておかなければならない内容です。
今回、これら歯科医師に関係する法律を確認し、間違いのないように確認しておきましょう。

法律目線から見た歯科医師の仕事

法律目線から見た歯科医師の仕事

■歯科医師の任務とは
歯科医師は「歯科医師法」という法律の下、義務行為が細かく定められています。
歯科医師法第1条を要約すると、「歯科医師は歯科医療行為と保健指導を掌ることにより、公衆衛生の向上・増進に寄与し、国民の健康な生活を保護する任務」と記されています。

■歯科医師の法的定義とは
また、「歯科医学大辞典」においては、「厚生大臣の免許(歯科医師の免許)を取得して歯科医業を行う者(行うことのできる者も含む)」とされています。

■歯科医師法によって定められている歯科医師の義務とは
歯科医師法の1条を受け、7つの義務が細かく掲載されています。

1.歯科医師法22条により、患者に対する療養指導を行う義務がある。
2.歯科医師法19条2項により、患者に診療を求められた際、断らずに診療を引き受けなければならない応召義務。
3.歯科医師法19条2項により、患者に診断書の交付を求められた場合に断ってはいけない義務。
4.歯科医師法20条により、診察しないまま治療を行うことを禁止する無診療治療の禁止義務。
5.歯科医師法21条により、必要な薬を処方しなければばらないという処方箋交付義務。
6.歯科医師法6条により、歯科医師の現状を届けなければならないという義務。
7.歯科医師法23条により、診療録(カルテ)の記載および保存義務。
他にも刑法134条1項に、患者の個人的な情報を口外してはいけないことを定めた「守秘義務」などもあります。

これらに反した業務を行うと、罰則や罰金が科せられてしまう場合があるのです。

歯科医師法に違反してしまった場合の罰則・罰金

歯科医師法に違反してしまった場合の罰則・罰金

■歯科医師でない者が医業行為を行った場合
たとえば、歯科医師免許を不正に取得して医業を行ったり、歯科医師の資格を所持しないスタッフが歯科医業を行った場合、歯科医師法29条1項により2年以下の懲役または2万円以下の罰金とされています。

さらに歯科医師ではないのに歯科医師を名乗っていた場合、歯科医師法29条2項により3年以下の懲役または3万円以下の罰金とされています。
臨床現場においてはスタッフの医療行為をきちんと分業し、どこまでできてどこからはできないなどの線引きをきちんと把握することが必要です。

■業務について受けた命令に従わなかった場合
厚生大臣から業務停止の命令を受けたり、歯科医師試験委員の試験事務において不正をおこなったような場合、歯科医師法30条において1年以下の懲役または1万円以下の罰金とされています。
気付かずに間違いを起こしてしまっていたという場合もあるかと思いますが、警告を受けた際には素直に応じることが大切です。

歯科医師業務規定の例外

歯科医師業務規定の例外

■歯科医師法にて定められている歯科医師の業務には例外がある
歯科医師法で禁止されている行為の中には、時と場合によってはおこなってもよい「例外措置」の場面があります。

■守秘義務の例外事項
歯科医師に関わらずですが、歯科スタッフは歯科医院に来院した際に得た患者の情報を、口外してはならない「守秘義務」があります。たとえば犯罪等の捜査に関して必要な情報を捜査機関に提出したりする行為は守秘義務違反にはなりません。

■無診療のまま診断書を交付できないことの例外事項
歯科医師は患者を診察しないまま診断書を交付してはならないとされていますが、最終受診してから24時間以内に患者死亡の場合や、治療中に患者が死亡してしまった場合、「死亡診断書」の交付ができることになっています。

■処方箋交付に関する例外事項
歯科医師は患者に治療上薬が必要となった場合、処方箋を交付しなければならないとされていますが、患者から不要と申し出があった場合などは処方箋を必ずしも交付しなくてもよいとされています。

歯科スタッフの職務範囲の確認

歯科スタッフの職務範囲の確認

■歯科医師がしっかりスタッフの職務範囲の管理を
日々忙しい診療に追われていると、つい「ちょっとなら代わりにしてもらっても…」と思って任せてしまいたくなるシュチュエーションもあるでしょう。しかし歯科医院を経営する立場である歯科医師であるならば、これら歯科スタッフが関わる職務範囲に間違いがおこらないよう、しっかり管理してほしいと思います。

■歯科衛生士の職務範囲
歯科衛生士は国家資格であり、業務内には一部歯科医療業務が含まれています。
業務内容としては、「歯科診療補助」「歯科予防処置」「歯科保健指導」の3つとされています。

治療の際のサポート業に関しては歯科助手と同じですが、直接口腔内に触れる行為を行うことができるところが大きな違いです。フッ素塗布や歯みがき指導など、お口の予防に関する処置や指導を単独でおこなうことができます。
しかし、歯科医師の業務である歯科医業行為をおこなうことや、レントゲン撮影などはおこなうことができません。

■歯科助手の職務範囲
歯科助手は「患者の口腔内に触れなければならない行為」や「レントゲン撮影」などはおこなえません。

ひと昔前には、このあたりの線引きが曖昧にされ、歯科助手が、歯科衛生士が行うような業務をおこなっていたり、歯科医師しかおこなってはいけない業務をおこなうなど違法行為の横行がみられました。しかし現在は厳しく取り締まりがあり、歯科医師のみならず歯科助手も刑事罰を受けることになります。
歯科助手は国家資格ではなく、業務内容としては受付業務や診療台への誘導、治療の際のサポート業、電話応対などになっています。

まとめ

歯科医院を経営し、従業員を管理することは、歯科医師の役割の中でも重要なことです。歯科医師法の規定をしっかり把握し、歯科医師の義務やどんな違反行為がありどんな罰則になるのか十分注意する必要があります。その中には歯科衛生士や技工士などの業務範囲にも気を配り、法律を侵してしまうような間違いのないように確認しおくようにしましょう。

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