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歯科コラム

歯周病への効果が期待される水素水を治療に使う歯科医院

巷でよく目にする水素水ですが、様々なメディアなどで癌や糖尿病、脳梗塞などの疾患に対する抑制やアンチエイジングをはじめとした美容効果が高いと伝えられています。

水素水を体内に取り込むことで体に有害な活性酸素を取り除き、美肌や腸内環境の改善などに効果的ということから、通販やドラッグストアなどでも手軽に手に入るようになってきました。

体の健康と美に対する効果が期待されることから、この水素水を歯科治療、特に歯周病の治療にも取り入れる歯科医院が出てきています。では水素水は、歯科治療に対してどんな効果が期待されるのでしょうか。

体に変化を起こす活性酸素とは

体に変化を起こす活性酸素とは

人は年齢を重ねるにつれて、徐々に体に変化が出てきます。それはシミやシワなどの美容面、癌や糖尿病、アレルギー性疾患などの健康面など様々な形で現れてきます。これらを引き起こす原因が「活性酸素」と呼ばれるもので、健康面や美容面に様々な悪影響を及ぼす物質と言われており、細胞や遺伝子を傷つけ、体をサビつかせていくものです。

リンゴを切って空気に触れると酸化し、徐々に茶色く変色するのと同じように、人間も活性酸素により少しずつ機能が衰えていきます。紫外線も活性酸素の発生に大きく関わりがあり、皮膚の表面に発生した活性酸素がシミやソバカスとなります。この活性酸素はいくつか種類があり、なかには人間の体内に存在する酵素で除去できるものもありますが、その中でも細胞を攻撃する力がとても強い「ヒドロキシルラジカル」という活性酸素は体内に除去できる酵素が存在しません。

このヒドロキシルラジカルを除去するためには、食品から体内に取り込むしか方法がありません。これが「抗酸化物質」であり、イチゴなどに含まれるビタミンCやβカロテン、トマトに多く含まれるリコピンや、ポリフェノールなどに多く含まれています。

■水素水に期待できる効能
このように、活性酸素は体にとって様々な害を及ぼす物質であり、取り除くためには抗酸化物質を含む食品をまんべんなく摂取する必要があります。しかし食品だけで毎日たくさん摂取することは意外と大変であり、手間もかかります。そこで手間をかけずに体内へ取り入れる方法のひとつとして注目されているのが「水素水」です。

水素は存在する元素の中で最も小さいため、体内に取り入れることで体の隅々まで行き渡るとされています。ある研究所が水素ガスを飽和状態まで溶かした水をマウスに与えたところ、脳に関わる病気の原因となる活性酸素の量の軽減を確かめたことを発表しました。これは水素水が認知症など脳の疾患の予防に役に立つ可能性があることを意味しています。


歯周病と水素水

歯周病と水素水

では歯科治療、特に歯周病治療において水素水はどのような役割が考えられるのでしょうか。まず着目すべき点は、水素水が持つ「活性酸素の除去効果」が全身の抗酸化作用に深く関連することです。

歯周病は、歯周病菌により歯肉や歯槽骨が破壊され、やがて歯が抜け落ちてしまう口の中の病気です。抜けた歯の機能を回復させるためにはブリッジや入れ歯、インプラントなどで補うことができます。しかし、歯周病が本当に恐ろしいのは、口の中だけで終わらず、全身へ影響が及ぶ恐れがあることです。

全身疾患にも大きく関わる歯周病は、菌が歯肉から体内に入り込むことで糖尿病の悪化をはじめ、動脈硬化や脳梗塞、誤嚥性肺炎、骨粗しょう症、早産や低体重児出産など、様々な全身疾患の引き金となります。

歯周病と診断された場合、まずプラークコントロールが必要になります。歯科医院での歯周病治療とともに日常のセルフコントロールで歯周病と向き合わなければなりません。例えば糖尿病の持病がある患者は、歯周病に罹患すると治りにくいと言われています。そこに加齢や日常生活のストレスなどの要因とともに増加する活性酸素が、さらに糖尿病、歯周病双方の症状を悪化させてしまう恐れがあります。

糖尿病や心筋梗塞、脳梗塞などは活性酸素により細胞や遺伝子が攻撃されることも原因とされています。そのため、抗酸化作用のある食品やサプリメントなどを摂取し、活性酸素を除去することが推奨されています。つまり歯周病菌が影響する全身疾患と活性酸素が影響する全身疾患はイコールのものもあることから、歯周病治療において活性酸素の除去効果が期待される水素水に注目が集まっているのです。

国内の大学が2012年9月、水素水を摂取することで歯周病菌の抑制および歯周病の予防に効果があることを発表しました。歯周病のラットにそれぞれ水素水と蒸留水を与えた結果、水素水を与えたほうのラットには蒸留水を与えた方と比べ、血中の活性酸素が抑制されていることがわかりました。「さらに歯周病菌も抑制されていることが判明した」と発表しています。

この研究結果の発表ののち、歯周病の治療に対して水素水を取り入れる歯科医院が少しずつ増えています。メーカーも、水素水の持つ効力から医療機関向けに開発した水素水生成サーバを病院や歯科医院に設置するなどの動きも見られます。歯科においては、治療中に水素水を使う、また院内にて水素水を販売する歯科医院もあるようです。

水素水の持つ効果を日常の生活に手軽に取り入れることで、歯周病や歯周病に関わる全身疾患の改善や抑制に繋がる事が目的と言えるでしょう。例えば普段飲む水を水素水に変える、歯磨きのときには水素水でうがいをするなど、いつも利用している水を水素水に置き換えてみると、自然と水素水を体内に取り入れることになります。

歯周病治療はあくまでもプラークコントロールを第一に

歯周病治療はあくまでもプラークコントロールを第一に

ただし、水素水を使うからといって歯周病が治るわけではなく、あくまで進行の抑制と考えたほうが良いでしょう。歯周病を治すためにはやはりプラークコントロールであり、正しい歯磨きと生活習慣の改善が第一です。

そのうえで日常的に水素水を取り入れることで活性酸素の除去、歯周病とかかわりの深い全身疾患の症状の改善が期待できます。特に糖尿病が持病の患者においては、先に書いたとおり歯周病が悪化しやすい傾向があります。このような患者が日常生活の中で水素水を取り入れることで血中の血糖値を安定させ、糖尿病の悪化を防ぎ、改善の兆候が見られることで歯周病の進行も抑制できるのではないかと考えられます。

このように、水素水の効能は医学的に認められている上、人体に無害なため飲料として手軽に取り入れることができます。そして水素水を歯周病治療の手段のひとつとして取り入れることで、歯周病の抑制効果を期待する歯科医院が今後増えていくのではないかと思われます。

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