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歯科コラム

歯科医師が処方できる薬剤とは|薬価基準について

内科で薬をもらうのと同様、歯科医院でも薬を処方してもらうことは珍しいことではありません。治療中の歯が痛むのを軽減するため、痛み止めを処方してもらった人も多いのではないでしょうか。

歯科医師が処方できる薬剤の種類は

歯科医師が処方できる薬剤の種類は

歯科医院でも、患者に薬剤(薬)が必要だという歯科医師の判断の下で、薬剤を処方することが出来ます。以下は投薬に関して歯科医師法で定められている文章の抜粋です。

■処方せんの交付義務
第21条では、歯科医師は、患者に対し治療上薬剤を調剤して投与する必要があると認めた場合には、患者又は現にその看護に当っている者に対して処方せんを交付しなければならない。ただし、患者又は現にその看護に当っている者が処方せんの交付を必要としない旨申し出た場合及び次の各号の一に該当する場合においては、その限りでない。
  
歯科医院では痛み止めだけでなく、感染を防ぐ抗生物質やうがい薬、口内炎が出来たときの軟膏など、個人の状態にあった、また体質などを考慮した実に様々な種類の薬が処方されます。
例えば妊娠中の女性に薬が必要な場合は、母体と胎児に安全なものが、歯科医師の判断のもとで処方されます。また、特定の抗生物質で下痢をするなど副作用が顕著な場合など、こちらも医師の判断で薬が変更になるなど、患者個人の状態に合わせて総合的に判断します。
では実際に歯科医院ではどんな薬剤が処方されることが多いでしょうか。薬効別分類で以下に示してみました。

■消炎鎮痛剤
いわゆる「痛み止め」「頓服」などと呼ばれる薬です。ボルタレン、ロキソニン、カロナールなどという名称で呼ばれ、痛みの具合や飲み合わせ、年齢や体重などで歯科医師が判断し、処方します。小児に対しては一般的にカロナールを処方されることが多いです。つい飲みすぎてしまう傾向がみられるので、副作用をおさえるためにも歯科医師や薬剤師の指示や指導をきちんと守ることが大切です。

■抗菌剤、抗真菌剤、抗ウィルス剤など化膿止め
いわゆる「抗生物質」と呼ばれる薬です。主に親知らずの腫れ、歯肉炎などによる歯肉の腫れ、抜歯のときの感染予防などに処方されることが多いです。歯科ではペニシリン系のサワシリン等、セフェム系のセフゾン、フロモックス、メイアクト等、マクロライド系のクラリス、ジスロマック等、キノロン系のクラビット等、テトラサイクリン系は歯周病治療薬として歯科用軟膏などが処方されます。
例えば親知らずが腫れて痛みを訴えた妊娠・授乳中の女性に投薬する場合は、ペニシリン系及びセフェム系の化膿止めが安全性が高いとされており、歯科医師が症状に応じて処方します。抗菌剤は処方された分量を飲みきらないと効果が現れにくいため、最後まできっちりと飲むことが大切です。
抗真菌剤は口腔カンジダ病に対して、また抗ウィルス剤はヘルペス性口内炎などの症状に対して処方されます。
抗菌剤は、薬の飲み合わせに影響が出る場合がありますので、注意が必要です。他の薬を服用中のときは、薬の相互作用による重篤な副作用や効果の軽減を避けるようにしなければなりません。

■うがい薬
うがい薬は、口中や咽喉を消毒し、清潔にするために処方される「含嗽剤」と言われる薬剤です。口に含んでガラガラとうがいをします。「ネオステリングリーン」や「イソジン」という名称で呼ばれています。主に抜歯の後などに、細菌感染などを予防し、口腔内を清潔な状態に保つことを目的に処方されることが多いです。また歯周病治療の補助的な役割として使われることもあります。これに対し、市販されているものは「洗口液」と呼ばれ、歯牙や口腔内粘膜を清潔にするために口に含んで使用するものです。こちらは、うがい薬と違い、くちゅくちゅと含んで口腔内を清潔にします。


口内炎ができた時に処方される薬剤

口内炎ができた時に処方される薬剤

■軟膏
口腔用ステロイド製剤で、主にケナログ等が処方されます。患部を清潔にし、水分をできるだけなくしてから覆うように塗ります。

■歯科用貼付剤
ケナログ同様、口腔用ステロイド製剤で、口腔粘膜に貼り付ける錠剤やシールです。主にアフタッチ等が処方されます。

■胃腸薬
消炎鎮痛剤(痛み止め)を服用した際に、胃や腸を荒らしてしまうことがあります。特に胃潰瘍や十二指腸潰瘍を患ったことがある患者に対して胃薬を一緒に処方することがあります。

止血剤に関しては、歯科治療における出血に対して止血剤を使うことがありますが、最近では滅菌ガーゼを強く噛んで圧迫し、止血する方法がよく用いられているようです。

薬価基準について

薬価基準について

まずは「薬価基準」とはどういう意味なのかを説明します。これは「社会保険診療で医療機関が保険者に請求する薬剤報酬を算定する基準価格と薬の種類。厚生労働省が薬価調査をして、毎年改定されることになっている。日本の医療は95%以上が保険の対象となっているため、薬価基準は医薬品メーカー、医師、患者に大きな影響をもつ」(ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典より)

というふうに定義づけられています。今年度(平成28年度)では、歯科製品に関して4品目の薬価基準が改定されています。

■口腔洗浄・含嗽剤「ネオステリングリーン(うがい液0.2%)」1ml/5.40円(改定前薬価)
→5.40円(改定後薬価・変更なし)

■歯科用抗生物質製剤「テトラサイクリン・プレステロン歯科用軟膏」1g/233.30円(改定前薬価)
→233.30円(改定後薬価・変更なし)

■歯科用表面麻酔剤「プロネスパスタアロマ」1g/88.30円(改定前薬価)
→88.30円(改定後薬価・変更なし)

■歯科用局所麻酔剤「スキャンドネストカートリッジ3%」3% 1.8mL 1管/92.00円(改定前薬価)
→92.00円(改定後・変更なし)

このように、保険診療における歯科用製薬を含む医薬品の基準価格の改定が毎年行われ、官報に告示されます。薬剤が処方されると、会計のときにもらう「診療報酬明細書」の投薬欄に点数が記載されます。これは保険診療を行い、歯科医師が必要と判断し、薬剤を処方したということです。

また、最近では歯科医療に漢方を使用することも増えてきました。日本歯科医師会で平成24年に発行された「薬価基準による歯科関係薬剤点数表」に、漢方薬が7種類掲載されており、その後も掲載が継続されているようです。

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