既にある知識、経験を活かし副業をするには歯科医師として非常勤で働くのが最も簡単で早いものです。しかしながら、同じ歯科医師ではありますが、非常勤ということもあり、待遇は本業と比較しても劣る部分があります。

雇用形態がアルバイトという扱いになることもあります。待遇は劣りますが、歩合を付けている歯科医院もあり、自由診療の金額に応じて、歩合給が入る仕組みになっています。インプラント治療が出来るなど高額な診療になるほど、歩合給も増える仕組みになります。

歩合の金額は歯科医院によって異なりますが一例として自由診療治療費の2割がインセンティブとして入る設定のところもあります。東京では人口が多く、患者数も多いですが、その分、歩合給は抑えられる傾向にあります。一方、地方では歯科医師の数自体が少ないため、患者数の問題はありますが、待遇は良くなります。

しかしながら、非常勤の歯科医師では、将来的に勤務が厳しくなるケースもあります。若いうちは働き口も多くありますが、年齢を重ねるうちに給与も高くなることから、院長に煙たがられることも考えられます。スキルを磨くことが出来る環境かなど、選択する際の基準にすることで治療の幅も広がります。

動物病院というと治療内容にかかわらず獣医師がすべての処置を行うというイメージをもっている方も多いことでしょう。もちろん歯の治療も獣医師が行うことになりますが、獣医師のみの歯の治療は危険が伴うという意見もあります。

最近では、ペットニーズの高まりもあり、市場が活発になるとともに、歯の治療に力を入れている旨の看板を掲げる動物病院も増えてきています。しかしながら、歯科医師が治療を行うのではなく、獣医師が歯の治療を行うことから、思うような治療を提供できていないケースもあります。このような背景もあり歯科医師の副業として、動物病院を選択肢として選ぶ方もいます。

では、なぜ歯科医師による治療が注目をされているのでしょうか。従来の動物病院では、例えば歯周病など歯の治療で来院した場合には抜歯をしてしまうケースも多くありました。

抜歯が歯の治療の選択肢で大部分を占めている状況でもあります。しかしながら、人間と同様に残せるものなら歯を残したいと飼い主様も考えています。「治療としても抜歯は最終手段であるべき」という考えが根付いてきています。こうしたニーズが広がるとともに歯科医師が動物病院で働きやすい環境が整っていきます。

動物病院で働く獣医師は、当然ではありますが、学校で学ぶ歯科の知識、技術は歯科医師と異なるものといえます。そのため、歯科医師が基本としているう蝕の際のCRの充填や根幹治療が適切に行われないことも多くあります。処置が難しいと抜歯が行われてしまうのが現状です。

動物病院では、内科、外科ともに同じオペ室で行われていることも多く、これは感染症のリスクが高い状態でもあります。人間の治療では考えられない状況が日常的に行われています。

特に重度のう蝕など歯の神経の治療が必要でデリケートな処置を行う場では注意が必要です。菌が共有されてしまうことで手術室に消毒をしないで入ることと同様の状況にもなりかねません。毛が舞いやすい動物の治療では重要なポイントの一つです。こうした環境にある獣医科業界は歯科医師の介入によりまだまだ改善の余地がある分野でもあります。

歯科医師にも様々なタイプの人がいることでしょう。トークが得意な方など得意分野はそれぞれですが、一つに専門分野を活かし、講演を行う方法もあります。

歯科医師向けに行うことが出来ればブランド力がさらについていきますが、いきなりは難しいものです。まずは患者さま向けの簡易的なサロンのようなものを開くことから始めてみましょう。その後、口コミで広まっていくことで将来へのステップにつなげていくことも出来ます。

また、最近ではインターネットを利用した相談ビジネスを行う歯科医師もいます。歯の悩みは人それぞれですが、患者さまの意識の高まりとともに自由診療を希望する方も多くなり「ネットの情報だけではなくプロの意見を聞きたい」というニーズも増えてきています。

テレビ電話もSkypeなどネット回線から無料で使用できる環境になってきているため、診療の合間に行うことも出来ます。専門知識はもちろん、日頃のケアや歯科医院の選び方まで有料でも価値がある情報を歯科医師は提供することが出来ます。

実際に診療を行っているからこその副業ともいえます。チケット制にするなどビジネスのやり方は自由に決められるので幅は広くなります。このようなビジネス感覚は将来的にも歯科医院の経営に活かすことが出来るでしょう。

現在歯科医師を取り巻く環境は厳しい状況にあります。両親のどちらかが歯科医師で歯科医院を継ぐことが出来る場合などは状況が異なりますが、大半は銀行からの融資で開業資金をまかないます。その審査も年々厳しくなってきています。

副業をする歯科医師も増えてきていますが、歯科業界にこだわらず、異業種へ挑戦することで将来的に新たなスキルや人脈が広がるなど金銭面以外にも多くのメリットがあります。ジャンルにこだわらず自分の得意とする能力を活かした職種であればストレスを感じることも少なく、むしろストレスの発散になることもあります。歯科治療のスキルを活かせる動物病院での勤務など、まずは自分の適性を知ることが大切です。