Quick Search
気になるアレコレまとめました!医師の為の歯科コラム
歯科コラム

インフォームドコンセントから考えよう!女性歯科医師の役割とカウンセリングの重要性

歯科治療において、インフォームドコンセントが非常に重要であることを認識できているでしょうか。一方通行な説明は、治療を進める上で最も大切な信頼関係を築くことが困難です。今回はカウンセリングの重要性と、女性歯科医師の役割について考えてみました。

歯科治療の成功のカギは、カウンセリングにある

歯科治療の成功のカギは、カウンセリングにある
医科におけるインフォームドコンセントは広く認識されており、満足のいく結果を得てもらうだけでなく、医療事故や訴訟を防ぐためにもなくてはならないものです。歯科も同様で、治療計画をきちんと立て、患者にわかりやすく説明を行い、合意を得た上で治療を行うことで、双方が納得できる治療を行うことができます。

それがたとえ簡単な虫歯治療であっても、説明もなく勝手に歯を削られると、患者は納得しないでしょう。何も言わない患者もいるかもしれませんが、説明もなく何で勝手に歯を削るのか、と当然怒る患者もいます。これでは歯科治療に最も必要なコミュニケーションや信頼関係を築くことはできません。患者が安心して治療を受けることができる基本は、まず丁寧な説明と、それに納得した上での治療です。このことが、治療の成功のカギとなるのです。

しかし、意外にも歯科医院選びの基準はカウンセリングではないようです。インフォームドコンセントやカウンセリングの重要性が医科ほど浸透していないということが考えられるのではないでしょうか。

なぜカウンセリングが重要なのか

歯科医院のホームページでもよく「丁寧なカウンセリングを行います」「カウンセリングを重視し、満足のいく治療を行います」とありますが、そもそもなぜカウンセリングが重要なのでしょうか。

■自分の口腔内の現状を把握する
カウンセリングを行う目的として、まず患者に自分の現在の状況を把握してもらうことが挙げられます。レントゲンやP検など必要な検査を行い、患者の口腔内の状態を確認します。それをもとに患者にわかりやすく、詳しく説明を行います。

ただ単に歯が痛く、その原因がちょっとした虫歯であろうと思っていたら、歯根が折れていた、など患者が予測していなかったケースであることが多々あります。このように、患者に自分の口腔内の現状をきちんと把握してもらうことを、第一の目的としています。

■治療の選択肢および治療計画の確認
患者が自身の口腔内の状態を把握したのち、今後どのような治療を行うのか、またその治療方法はどのようなものが選べるのかについて、歯科医師が詳しく説明します。また選んだ治療のメリットとデメリット、保険治療を行うか自費のものを選ぶのかなど、選択肢によりどのような違いがあるのかなどを詳しく説明します。これしか方法がない、と提示することもありますが、様々な治療法を提示することにより、患者が自身の歯の健康について真剣に悩み、向き合うように誘導します。

また治療期間はどのくらいかかるのか、費用はいくらなのかなど、治療計画を立てることもカウンセリングの目的です。この日までに治したい、無理なら仮歯だけでも入れてほしいなど、患者の希望に沿い、ライフスタイルに応じた治療を提示することで、より患者との距離を縮めることが可能でしょう。

■患者の疑問や不安を聞く
カウンセリングを行ううちに、患者の中にも当然疑問や不安、希望などが出てきます。歯科医師が行うのはあくまでも「提案」であり、絶対に従わなければならないわけではありません。決定権はあくまで患者です。患者が自分の口腔内のことを真剣に考え、どうすればよいのかを考えたとき、様々な疑問や不安を覚えるでしょう。歯科医師はそのような患者の気持ちをきちんと受け止める義務があります。十分な説明と同意、つまりインフォームドコンセントがきちんと行われることで信頼関係が築かれ、患者が満足のいく結果を得ることができるかどうかが決まります。

女性歯科医師によるカウンセリングのメリットとは

女性歯科医師によるカウンセリングのメリットとは
ここで女性歯科医師における、カウンセリングの適性を考えてみます。もちろん男性歯科医師によるインフォームドコンセントは大切です。しかし、患者が思春期の子どもや女性となると、その役割は男性歯科医師よりも女性歯科医師のほうが適していると考えられます。その理由として、子どもから大人へと成長する段階で、特に女子は男性に対し、一種の嫌悪感を覚えることがあります。男性歯科医師の前で口を開けることに気恥ずかしさを覚え、歯科医院に行きたがらないこともあるでしょう。

実際、何かしらの理由で歯科医院に来ることができず、耐え難い痛みのため来院したときは虫歯で口腔内がボロボロの女子の姿も見受けられます。またホルモンバランスの影響で、この時期特有の歯肉炎もよく見られるなど、この年代の口腔内の状態は非常に不安定です。成長期は体と心の成長がアンバランスであることが多く、なかなか自ら進んで歯科医院へ行こうとはしません。

男性歯科医師側としても、思春期の女子には接しにくいことがあるかもしれません。これに対し、女性歯科医師の場合は、母親に相談するような安心感を覚えることが多く、口の中の悩みを打ち明けやすくなるでしょう。不安定な年頃の子どもには、女性特有の優しさや柔らかさはもってこいなのです。

訪問診療にも女性歯科医師の活躍の場が見出せる

高齢化社会に伴い、オーラルフレイルへの対応などでも女性歯科医師の役割が大きくなります。思春期の子ども同様、高齢者にとっても女性歯科医師の優しさや、きめ細やかな対応は安心感を覚えるでしょう。口腔機能を維持するための指導はもちろん、家族の悩みを聞いてあげることも立派なカウンセリングです。長寿社会が進む中、口腔機能をなるべく正常なものに保ち、口からの健康をサポートするためにも女性歯科医師の役割はとても重要なのです。

カウンセリングの重要性を患者に認識してもらうこと

患者の口腔内の健康を支えるのは歯科医師です。患者は治療を受ける身ですが、自分の意志を持たず常に受身でいることは、自ら口腔内の健康を放棄することに繋がります。なぜインフォームドコンセントが大切なのか、カウンセリングを行う意味は何なのかを患者に認識してもらわなければ意味がありません。患者が自分の口腔内に関して関心を持ち、自分から進んで歯科医院へ通えるような環境を作ることが、歯科医療従事者の大きな課題ではないでしょうか。
お問い合わせ
当サイトに掲載されているコラムの内容や求人情報に関するご質問は左のボタンからお問い合わせください。

^