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気になるアレコレまとめました!医師の為の歯科コラム
歯科コラム

インプラント治療の技術向上と必要なスキルとは

昨今、失った永久歯の修復方法として注目を浴びている「インプラント」治療。敵切な治療であれば、インプラントは優れた機能を果たす修復方法です。しかし、安易に治療を進められるわけではありません。そこで、インプラントを取り扱う歯科医師、またこれから学ぼうとする歯科医師が、どのようなスキルをどう向上していけばよいのかについて、ご紹介いたします。

失った歯を補う「インプラント治療」とは?

失った歯を補う「インプラント治療」とは?

・失った永久歯の修復方法
「インプラント」は、失った永久歯の見た目や機能を補うための治療法のひとつです。歯のあった部分に根っこの代わりとなる土台を立て、その上に人工的な歯を被せます。その他にも両側の歯に支えを持たせて連結して修復する「ブリッジ」。また、「義歯」(入れ歯)でも補うことができます。

・インプラントで修復するメリット
ブリッジや義歯は、健全な他の歯を削って負担をかけることになったり、周囲の組織が虫歯や炎症を起こしやすくなるなど不具合を起こすことがあります。また、噛む力も健全な歯よりも落ちてしまいます。しかしインプラントは、周囲の歯に負担をかけず失った歯の部分のみで修復できます。且つ、噛む力も落とすことなく自分の歯と同じようにしっかり噛めるように修復できます。

・広まりつつある「インプラント」治療
他の修復物のデメリットである部分をカバーできる修復法として、インプラントは注目を浴びています。保険外の治療になりますが、希望する患者も増えてきているため、取り入れる歯科医院も増えてきています。そこで技術や料金設定等での競争が起き始めているのが実状です。


インプラントの知識と技術について

インプラントの知識と技術について

・インプラント治療は資格が必要か?
インプラント治療は特に資格が必要ということはなく、歯科医師の免許があれば導入できる技術。しかし、だれでもすぐに出来る技術ではないため高度な専門技術を習得しなければなりません。

・インプラント治療の一般歯科と異なる点
一般歯科での精査は、目で見えるお口の中の精査や、歯や歯茎の症状の原因を取り除き、回復・修復させる治療が主となります。ですが、インプラント治療を行うにあたりこれらはより精密に行わなければなりません。顎の骨に人工歯根を埋め込む外科手術を行うため、神経や血管などの組織を傷つけないよう、高度な技術と判断力が問われるのです。

・インプラント特有の高度な技術とは?
インプラントは治療と言っても「外科手術」。観血的処置になるため、細菌感染には特に注意が必要です。インプラントの種類や適切な本数、埋入位置などの治療計画を立てるにあたり、一般歯科とは異なる知識や技術が必要になります。また術後も、噛み合わせの調整などはインプラント独特の特性などを考慮して調整するなどのスキルを持ち合わせる必要があります。


インプラント治療を行うために必要とされる知識

インプラント治療を行うために必要とされる知識

・口腔外科的知識
治療は、まず歯茎を切開し、顎の骨に穴を開けます。そこへ土台となるチタンを埋入する「外科手術」。虫歯治療とは違う、細菌感染対策が必要となります。また、顎の骨が支えられるだけ残っていない場合、人工骨を移植するという高度な技術も必要です。

・補綴分野の知識
土台完成後、今度は上部の人工歯を作ります。患者の噛み合わせに合わせて設計・製作・装着するにあたり、インプラントの特性を知り噛み合わせを考えながら行います。これを誤ると、インプラントの破損や脱落に繋がるので、より一層の補綴分野への学びも必要となります。

・歯周病の知識
歯周病に関しては、術前・術後と関係します。術前に歯周病を発症している患者がそのままインプラント治療を受けると、インプラント周辺も歯周病原菌が感染。インプラント周囲粘膜炎やインプラント周囲炎を引き起こすことがあります。また、歯周病でなくインプラント治療を受けた患者も、インプラント治療後に発症する場合があります。術後のセルフケアの指導や、定期的な管理のためのリコールを行い、インプラント後のトラブルを避けるための知識を医師も身につけておかなければなりません。

技術向上させるためには

技術向上させるためには

・インプラント導入当初は…
以前は歯科大学でのカリキュラムの中で、インプラントを学ぶことができませんでした。そこで、歯科医師は技術習得やスキルアップのため、インプラントの知識や技術に関心がある有志でのスタディーグループに参加したり、講習会への参加などで学んでいました。また、インプラント治療を行っている歯科医師の元で技術を学ぶという歯科医師がほとんどでした。

・インプラントが普及してきた現在は…
最近では、歯科大学のカリキュラムに「口腔インプラント学」が導入。歯学生の段階でインプラントの基礎知識を学ぶことができるようになりました。まだ全てではありませんが、治療実習を行う大学も出てきています。日本口腔インプラント学会や日本顎顔面インプラント学会などの学術研究団体も発足し、「専門医」の制度も導入されています。昔に比べ、インプラントを学ぶ場が増えてきているのです。

・なぜインプラントには高度な技術が必要不可欠なのか
先に述べたように、インプラントはこれまでの補修方法の中でも「自分の歯に近い修復」ということから、「保険が適用されなくてもしたい!」という患者が増えています。また、特別な資格も必要ないことから、安易に導入し、安価を売りに患者を呼び込もうとする歯科医院があるのも事実。しかし、術中のミスや管理不足などから、日常生活に支障をきたすような障害に発展することもあるのです。しっかりとした知識と技術を身に着け、そのようなトラブルを起こさないようにしたいものです。


まとめ

どのような治療であっても、的確な診査・診断・治療の技術は歯科医師にとって必要不可欠です。しかしインプラント治療は、これらがさらに精密に行われないと大きなトラブルに繋がることもあります。需要が増え、取り入れる歯科医院が増えてきているからこそ、患者の安心につながる知識と技術を身に着けることが大切なのではないでしょうか。

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